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群青と焔(あおとあか)  作者: 旭ゆうひ


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第四章 今生 同僚編 とも、遠方より来たりなば

冒険者のジョブについて紹介

戦士:武器を持ち物理で戦う人。装備の種類で、重装、軽装と分けられる。

野伏:屋外での斥候やサバイバル、狩猟に秀で、弓や罠を使って獲物を狩る。森詠族エルフに多い。

盗賊:屋内での斥候。罠などに詳しく、毒などにも詳しい。小槌族コブラーが付くことが多い。

回復術士:名前の通りだが、手段が異なり薬師、祈祷師、回復魔法士などが存在する。

吟遊詩人:魔法を旋律に乗せて発現させる一種の魔法使い。支援系の魔法に長けている。

巫女:支援系の魔法に優れる。その魔法は祈祷と言われ代償を必要としながらも非常に強力なものがおおい。

魔法使い:白も黒もなく、発現手段もさまざま。術者の資質により使える者に違いが出る。

 空は青く、遠くには積乱雲がその威容を誇っている。

 周りを見渡せば、緑の絨毯のように広がる小麦畑を、風が撫でるように吹き抜けていった。

 そんなのどかな風景の中、ルー率いるルクスヴィカ近衛騎士団が全力で馬を駆り立てていた。


 先頭を走るルー。それに続くのは装備の軽い目隠し巫女――『梓月(あづき)』。

 続いて、近衛騎士たちが列をなす。


 馬の蹄が大地を打つ音は、まるで雷鳴の如く轟き、巻き上がる砂塵は、千軍が征くかの如く天高く舞い上がった。

 その姿はすれ違う人々をして『戦神の行進か』と畏怖させた。


 王城から約二百三十キロ。

 時間にして約4時間半。

 常識ではありえぬ速度での追跡だ。

 酷使した馬は途中の宿営地や中継所で乗り換え、常に新たな馬を利用した。

 さらにはその都度、梓月の強化魔法による速度強化・持久力増強の魔法を掛けなおす。

 騎士たちがとる休息は、新しい馬が用意されるまでのわずかな時間だけだった。

 水を口にし、軽く体をほぐす。

 すぐに馬に跨り、追跡を再開する。

 この驚異的な速度は、巫女の祈祷(まほう)によって成し遂げられたのだ。


 とはいえ、これまで無理な速度で駆けさせて来たため、疲労から落馬するなど脱落者が続出していた。

 強化魔法を掛けられた馬でさえも、泡を吹き痙攣し、動けなくなるほどの強行軍を続けた騎士たちだった。

 これにより当初の半分ほどまでその数を減らすに至った。


 騎士たちは断腸の思いで、枯れた声で叫んだ。

「ルー!すまん!馬が潰れる!先に行ってくれ!」

「必ず後を追う!殿下を!リア殿下を頼む!」


 ルーは振り向きもせず、その叫びを背に受けて、ただ一心に馬を駆ける。

 脱落していった騎士たちも皆、リアの救出をこそ望んでいるのだ。

 振り向いて、ほんのわずかな時間のロスでさえも、彼らは許さなかったろう。

 ルーにはそれが分かっているのだ。


 なにより、彼女こそがいま一番そう感じているのだから。


 そうして今や残っているのはルーと十名の近衛、そして夢魔族の目隠し巫女――梓月の12名だけだった。



 ※※※※



 空は青く、遠くには積乱雲がその威容を誇っている。

 周りを見渡せば、緑の絨毯のように広がる小麦畑を、風が撫でるように吹き抜けていった。

 そんなのどかな風景の中、リアをさらった犯人たちを乗せた馬車は、気が緩みのんびりと西へと向かっていた。

 次の町で船に乗り換えれば、これまでの苦労も報われ、文字通り肩の荷が下りるというものだ。


「ここまでくれば、もう安心だろう」

「国に帰ったら、しばらくはゆっくり休みを取りたいな」

「城門が閉じられたと聞いた時には、キモが冷えたぞ」

「どこのだれかは知らんが、門を開けてくれて助かったぜ」


 馬車の中で、商人風の男とその護衛たちが軽口をたたいていた。

 しかし、ひとり真剣な面持ちの者がいた。

 ――書記官である。


「……そろそろ出さないと、やばいかもしれん」

「……ここでか?」

「ここでもいいが、最悪、王女が元気だった場合、出した途端暴れる恐れがある」

「なるほど、では……あれに見える、納屋か……あそこで休憩がてら出すとしよう」


 そうと決まれば、街道から少し外れて、畑の中をすすみ、納屋へと向かう。


 納屋の裏には小川が流れており、馬へ水をやり彼ら自身も休憩へと入った。


 納屋は、倉庫としても使われていたようで、かなりの広さを持っていた。

 埃の積った梁や、いたるところにかかる蜘蛛の巣が、この納屋の放置具合を物語っていた。

 一部に休憩用に設けられた椅子や、ベッド替わりだろうか長椅子が置かれたスペースがあった。

 持ち主はこのあたりの領主なのかもしれない。

 さらには屋外では火を使えるように竈もあった。


 これは好都合とばかりに、彼らは旅装を解き食事の用意を始めた。

 空を見あげれば、陽はかなり傾いていた。

 この時間に休憩をはさむとなれば、目的地の町門は閉じてしまうだろうと思われた。


 半数の者が、納屋の周りを見張り、もう半数は食事の用意と、『王女を外へ出す』用意をしていた。


 納屋の床に転がったバケツなどを蹴飛ばしてスペースを作る。


 書記官の足元には影が、異様なほどはっきりと映っていた。

 彼は影に掌を充てると、なにやら呪文めいた言葉をつぶやいた。


「闇に沈みし 肉の人形 今こそ還れ」


 男の影からゴポリと泡が浮かび弾けた、その中には糞尿に塗れ異臭を放つ少女が横たわっていた。


 納屋にいた誰しもがその姿と異臭に顔をそむけた。


 ――少女はピクリとも動かない。

 一同はそれをみて、最悪の事態――これまでの苦労がすべて水の泡かと息をのんだ。


 書記官は近寄って、のぞき込んだ。

「大丈夫だ、生きている」

 一同はひとまず安心したが、リアが放つ悪臭には耐え難かった。

「くせぇよ!早く影の中へもどしてくれ!」

 誰かがそういった。

 それに対して書記官はため息交じりに振り返ると、簡単に説明してやった。

「この『影蔵』はな、開くのに使っていた時間と同じ時間の『(なら)し』が必要なんだが……簡単にいえば、4日間は使えんって事だ」


 そう言いながら、書記官は金属製の拘束具を取り出す。

 鎖が擦れる不快な金属音が納屋に響く――ガチン!

 リアの体格には不釣り合いなほど大きなそれを、首、手足にはめた。

 首輪から二本の棒が突き出し、両手を縛る手枷へと繋がっていた。

 両足の枷の間にも、棒が付けられており、一定の歩幅しか取れぬよう制限されていた。

 それらはリアの自由を奪い、魔法に必要な印を結ぶことも、ステップを踏むことも出来ないようになっていた。

 さらには、首輪に『無声』の魔法が付与されており、詠唱も封じられていた。


「王族は強力な魔法を使うって話しだし、やっぱりそれ対策なのか?」

「当たり前だ。この方はまだ幼いが、あの、統一王の直系だぞ。特殊能力こそ発現していないものの、油断は禁物だ」



 特殊能力とは、転生者の子孫に現れる能力である。

 発現の確率は低く、内容も法則性を見出せず、ランダムだとされている。



「おい、だれか殿下を裏の小川で洗って差し上げろ!」


 誰もが嫌がって顔を見合わせたが、一番若い男がしぶしぶそれに従うこととなった。


 若い男は覚悟を決めて、リアを抱きかかえ、裏手へと向かった。


 商人姿の男は部下に掃除を命じて、自身は書記官と一緒に表へ空気を吸いに出たのだった。



 若い男は歳の頃、17〜18といったところか。

 息を止め、リアを抱えながら小川へ降りると、どうして良いか分からずとりあえず川の中へ。

 そのまま、ばちゃばちゃと水をかけていく。


 若い男はこの行為に、かつて妹と水遊びしたことを思い出して、郷愁が胸を締め付けたのだった。


 生命の危機にあったリアの肉体は、崩壊しかけた精神をよそに水分を要求する。

 彼女は水面に顔を突っ込んで水を飲み始めた。

 幸いだったのは、水量が多く流れも速いことで、リアの体から流れ落ちた汚物を口にせずにすんだことだった。

 その少女の必死な様子をみた若い男は、己の仕事について疑問を抱いた。


 本能のままに水を飲んだ結果、飲み過ぎたリアは、ついに堰を切ったように大量に吐き出した。


 吐き出した汚物が、流れの速い川に吸い込まれていく。

 そのあまりにも哀れな姿に、若い男は眉をひそめた。

 仕事だと、自分に言い聞かせても、目の前の少女の姿は、ひどく惨めで、痛々しかった。

 溜息をひとつ。

 冷静になるために、男は一歩彼女から距離を置いた。


 王女のまとう服は、泥と汚物で見る影もない。

 吐き戻した液体まで加わり、さらにひどい状態だ。


 そして、この衣服は紐やボタンが多く、脱がせるには手間がかかる。


 ――面倒なことこの上ない。


 男は、仕事に徹した冷静な判断を下すと、懐からナイフを取り出した。


 彼は汚れたそれをいちいち解いていくのが面倒になり、汚れた服を処分する意味も込めて短剣で服を切り開いて投げ捨てていく。


 あたりは徐々に暗くなり、納屋では食事の用意が出来上がっていた。


 商人に雇われた冒険者達は、納屋に入ること、裏手に回ることを禁じられ、納屋の前で固まって食事を摂り始めていた。


「お前らは護衛なんだ!護衛の仕事だけしてればいいんだよ!」


 冒険者をリアに近づけないための扱いだった。

 リアの正体が分からずとも運んでいるのが『少女』だと分かれば、後々面倒になるかもしれない。

 それを避けるためだった。



 その時街道を西へと駆けていく、騎馬の一団を冒険者が発見したが、彼らは商人の『護衛』という依頼を受けている冒険者だ。


「騎馬隊だな」

「ああ……護衛(おれたち)には関係ない」


 その騎馬が自分達へ向かってこない限りは、彼らの仕事には無関係だった。



 ※※※※



 辺りが暗くなり始めた頃、ルー達は目的地の街まであと少しというところまで来ていた。


 ここまで特に変わったこともなく、ずっと小麦畑だった。

 何か変化があったとすれば、先ほど倉庫のようなところで農作業をする農夫達だろうか、火を使っているのが見えたくらいだ。


 しばらく進んで倉庫が見えなくなった頃、ルーは馬を止めた。


「ルーどうした!」

 同僚の騎士達がルーの異変に気がついて、同じく馬を止めた。


「……おかしいです、こっちじゃない気がするんです」

「なにを言ってるんだ。目的地はすぐそこだぞ」

 怪訝に思いながらも、ルーの言うことは無視できないだけの信頼があった。


 見えないはずの納屋を見ながら梓月が口を開く。

「確かに先ほどまで感じていた魔法の残滓を、ここには感じません。先ほどの納屋辺りピークだったようです」


 ルーの直感を、梓月が裏付けする形となっていた。



 ルーの決断により、戻る事にした近衛達だったが……

「敵の数は30は超えているはずです。正面から行っては失敗しかねません」

 視線を巡らせながら冷静に言い切るルーに、異を唱える者はいなかった。


「アメリア、貴女はそのまま街まで行ってちょうだい。駐屯する兵と冒険者を最低20は集めて戻ってきて」

「わかったわ」

「ただし時間は3時間以内よ。さ、行ってちょうだい」

 ルーの声は落ち着いて、そこに迷いはなかった。

 アメリアと呼ばれた女騎士は、その確信に背を押され、矢のように馬を走らせた。


「メイ」

「はい!」

 呼ばれた女騎士は、この中で最も若く、その小柄な体を緊張で堅くして応えた。

「貴女は来た道を戻って――」

「嫌です! 私も殿下のために戦います!」

「……勘違いしないで、メイフィーネ・アルトリス」

 ルーの声は落ち着いて、一片の揺らぎもなかった。

「私は貴女にしかできない役を任せたいのです」

「私にしか……?」

「そうです。暗闇でも目立つ貴女の特殊能力(スキル)幻影(プリズラク)を使えば、後から来る仲間たちは迷わず進めます。だからこそ、この役割を任せられるのは貴女だけです」

「でも……」

「必ず来ます。信じて、待っていてください。――頼みます」

 その力強い言葉に、メイの胸を締めつけていた不安は、静かに消えていった。


「分かりました。お姉様方……ご武運を!」

 手綱を巧みに操り、来た道を駆け戻るメイ。


 その後ろ姿を見送って、残った9名の近衛騎士は、目隠し巫女へ向き直る。

「梓月殿……ここまでの助力、深く感謝しています」

 儀式めいた仕草で頭を下げた。

 そこには、言葉では表しきれないほどの感謝が込められていた。


 ルーが硬い表情で口を開く。

「これより先は危険が伴います。……それを踏まえた上で、まだご助力いただけるなら、これに勝る喜びはありません」


「あの子はイナンナの恩人で、イナンナは私の恩人だ。なら、恩人に恩返しするためになんだってするさ」

 そう言った梓月は、さらにルーにだけ聞こえるように囁いた。

「それに……私自身が、あの子のことを気に入ってるからね」


 目を合わせて微笑みあう二人。


「では、行きましょう!」




 道を戻って、納屋を見張れてかつ身を隠せる場所に陣取ったルーたちは、さらに作戦を練る。


 遠くで雷鳴が響いている。

 空は一瞬、閃光に包まれ嵐の予感を抱かせた。


 応援が来るまでの3時間を有効に使うために、【情報を制する者は戦を制す】の言葉通り、まずは偵察を出すことにした。


 そして、齎された情報に、ルーの冷静さは怒りに呑まれ、一瞬で消し飛ぶ事となった。


「納屋の裏手には、小川があった。連中は我々に気づいていない」


「殿下のお姿は?殿下はいらっしゃいましたか?」

 様々な感情がルーの胸中に渦巻いていた。


「……そこまで確認できなかったが……」


 取り出したのは、無残にも切り裂かれ投げ捨てられていたリアの衣――。


 それを目にした瞬間、ルーの怒りは爆発した。

「おのれ――!」

 声を荒げて駆け出そうとした彼女を、仲間の騎士たちが押さえつける。

「離せ! 殿下が!」

 必死の抵抗を、仲間は声を荒げて押しとどめた。

「落ち着け! これが最後の好機だ! 逃げられたら二度と殿下に会えなくなるんだぞ!」

「……っ!」

「失敗できないのは、お前が一番分かっているだろう!」

 仲間の声に、ルーは歯を食いしばり、悔しげに吐き出した。

「……殿下……!」



 ルーは怒りが収まらないながらも、落ち着きをなんとか取り戻し、各班から齎された情報を整理していく。


 街道側、納屋の表には護衛で雇われたのであろう冒険者が固まっており、裏手には見張りはいない。

 完全に油断している状態だった。


 敵拠点の出入り口は、表の大きな荷物を出し入れする用の大戸と、人の出入り用の裏口のふたつ。


 ルーたちの作戦は、表の冒険者たちを、近衛率いる冒険者たちで排除、これを陽動とする。

 表に敵の注意をひきつけている間に、裏口から突入。


 第一に王太女の安全を確保する。


 そして可能であれば敵の指揮官の捕縛。

 それ以外は、この場で……。


 というものだった。


 ルーたちは戦闘の専門家ではあるが、人質救出の訓練など受けていなかった。

 そんな彼女たちが考えた作戦である。


 しかもぶっつけ本番である。


 不安に思わないわけではなかったが、これ以上思いつかないため、ひとまず交代で休息をとる事にした。

 本番でのパフォーマンス低下を防ぐためだった。


 気が付けば雨が降っていた。

 大粒の雨は容赦なくルーたちを打ちつけ、文字通り休息に水を差した。



 やがて夜の帳が下りたころ、街道の西からランタンの光と共に、アメリアが率いた兵と冒険者たちが姿を現す。その数二十余。


「ルミナ近衛騎士。アメリア、ただ今帰還いたしました!増援の兵士十二名、冒険者二十名、本隊へ合流しました!次の指示まで待機します!」


 アメリアの声は、近衛たちに安堵を齎した。

 近衛騎士がいかに精強であろうとも、彼女らはまだ若く、これが初めての実戦であり、初めての救出作戦だった。

 しかし、その若さに似つかわしくない重責が、今まさに彼女らの背にのしかかっている。

 失敗は、決して許されない。

 そこへ増援が来たと成れば、安堵もしようというものだった。


「アメリアよく戻ってくれました。貴女のおかげで成功率が大きく上がります」

 ルーはアメリアを抱きしめ感謝を示した。

「あなた方も、よく駆けつけてくれました。あなた方のおかげで明日への希望が見えてきました。本当にありがとうございます」

 そういってルーは、深々と頭を下げた。


 通常、騎士が兵士や冒険者へ頭を下げることなどありえないのだ。

 しかし目のまえのこの女騎士は、彼らに深々と頭を下げた。

 それは、騎士というよりも、王宮に務める宮女のように(しと)やかで優雅であった。


 眼の下にある隈や、肌の具合、手入れができていない髪……この騎士は、よほどの疲労、よほどの思いで、この場に立っているのだろうと推察された。

 それでもなお、目的を達成するために、下げなくてもいい頭を下げたのだ。

 彼等の胸に、静かに闘志が沸き起こる。


「この戦いは、王国の明日を左右します。我々はこの命を(なげう)ってでも目的を遂げ覚悟です。……どうか皆さんのご助力をお願いします」


 その思いは静かに、そして確実に彼らの胸に宿り、来たるべき時へ向けて誰もが武器を確かめ、呼吸を整えた。

 静けさのなかに、熱が満ちていった。


 少し遅れて、東からメイを先頭に騎士の一団が到着。

 その数、十騎。

 これにてリア救出部隊は五十余を数え、騎士約二十名、兵士十二名、冒険者二十名。

 冒険者の内訳、戦士6名、野伏4名、盗賊2名、魔法使い2名、回復術士4名、重装兵1名、吟遊詩人1名となった。


 ルーは、作戦と配置を騎士たちへ伝え、それを受けた騎士たちは各隊へ散っていく。


 短い言葉、交わされた視線、その手には愛用の獲物。

 誰もがただ、この時を待っていた。


 雨脚はさらに強くなり、地上を打ちつける。

 雷鳴が轟き、夜空を切り裂く閃光が(つわもの)らの影を浮かび上がらせた。


 暗闇と豪雨と雷鳴は、敵の目を欺きその進軍を容易にさせた。


 いまやこの豪雨さえ彼らの味方であるかのごとく、彼らの闘志を燃え上がらせた。


 ──やがて各隊が配置につき、ただ一つの合図を待つ。

 その瞬間をもって、全てが始まるのだった。


如何でしたでしょうか?

ここがよかったというポイントなどあれば、お聞きしたいです。


よろしくお願いします。

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