表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

憐憫

作者: 悪い方のスライム

憐れなのは誰なのか。

私は人が大嫌いだ。信用ならない。

お願いだから1人にしてくれと思う。



私は人の中心にいながらにして、誰よりも孤独だった。

同調するのは一人でいたくないから。

コミュニティに所属したいのは自分は点でなく線なのだと実感したいから。

ここからは立ち入らないで欲しいという明確な線引きが確かに存在するのに、見えないものであるが故に誰かが気づく事はない。

うまく立ち回り、愛想良く躱してきた。


人は鏡とはよく言ったものだと思う。偽った表情や愛でも、上辺の姿を返す鏡。

情をかけた相手が情をくれる事も、私がかけた労力の成果に過ぎない。

たとえどんなに心を尽くした相手でも、人はみなふとした瞬間に裏切る。


私を好きと言ってくる相手ほど信頼できないものはない。その瞳の奥に映る私は表面を取り繕った歪んだ顔のままだ。幾重にも隠された歪んだ私自身を知りもしない愛しい人。


「ありがとう、私も好きだよ」

そう言いながら心の中で相手を誹る。


私のような醜い存在を愛するなんて見る目のないやつだなと相手の価値が下がってゆき、憐憫が滲む。


ああ馬鹿だなあ。


馬鹿であるはずなのに。

こんなにも歪んだ心を持った私を。

好きだと言ってくれるあなたに、いつしか心底愛されたいと願ってしまった。


自分を繕うことでしか愛されないと思っている

こんな私を好きになってくれてありがとう。


憐れなのは私だった。


私は人が大好きなんだ。信用されなくてもいい。

お願いだから1人にしないでと思う。


今日も鏡に映る私は歪んでいる。


それでも愛おしい憐れな人に、憐れな私はまた

「君が大好きだよ」

と伝えるのだろう。


初めての小説です。

読んで頂いてありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ