004 『アルちゃっちゃっ』
み、短いでこざる……( ; ; )
明日、頑張る。何書くかは決まってるから。行ける。
「マジ神助かった。ありがとうヴェリィ!!」
摘まれた身体は既に解放済み。鋼腕の手のひらの上に私はポツンと立っていた。
操作された鋼腕が地面スレスレの位置つく直前に、感謝感激の意を伝えるため恥も外聞もなく、私はヴェリィへと思いっきり抱きついた。
「おっとと。本当にびっくりしたよ。空をボーっと見上げてたらカンナちゃんが突然降ってきたんだからさ?」
「久しぶりすぎて距離感覚ミスった」
「あほ」
「いぃ――――ッたぁ!?」
華麗にヴェリィにキャッチされ、先ほど羞恥が起きた理由を軽く薄情すれば、反応する間もなく脳天に手刀を叩き込まれてしまう。
やっぱこの人容赦ねぇ!!
痛覚が軽減されているとは言え、突如奔った痛みに思わず涙目になりながらヴェリィの腕の中から飛びのく。
何もここまで強くやらなくてもいう恨みを籠めて睨んでみるが、再びため息を吐かれるだけであった。解せぬ。
私が何をしたって言うんだッ!?
「仮にも元廃人なのに操作ミスで死にかけるとかダサすぎて思わず……」
「的確に心臓ぶち抜くのやめてぇ?」
「テヘッ?」
なんで疑問形なんだ……?
相も変わらずよくわからん人だと考え、そういえばと。他のメンツはどこにいったのかと思い至る。
今日はあと二人ほど来ているはずなのだが、辺りを見回してもそれらしきプレイヤーの影も形もない。
首を傾げ、分からないなら聞くかと何故か鋼腕に頬擦りを初めていたヴェリィに向き直る。
「乱闘は何処へ!?」
「カンナちゃん。なんか色々抜けてるから落ち着いて」
「じゃ、変態と爆殺狂は何処へ!?」
「ついに名前で呼ばれなくなちゃったよあの馬鹿ども」
「まあ残当でしょ」
「カンナちゃんにまで言われたらいよいよ末期だね」
失敬な。私はまだ、まだ常識人だし!!
「で?変態と爆殺狂はどこに行ったの?」
「あ、ホントに気付いてなかったんだ」
――あっちだよ
ヴェリィが言葉を紡ぎ、おもむろに指さしたのは……ここから更に遥か東に見える、細くともこの距離から分かる通り、強大な威力を誇るであろう巨大な赤い竜巻だった。
その様は、まるでミキサーにかけられたトマトが如く――
「え、あれ?」
「そうそう」
思わずの二度見。え、半年であの規模の攻撃出来るようになってんの?しかも転移してきてからずっとあったぞ?
「フィールド効果じゃないのかよ……一体なんのスキルを習得したんだよ」
「多分トメトが自爆系統のスキルを使って、それにアルも一緒に巻き込まれたんじゃない?」
「絶対そうだ」
前作での記憶の数々が蘇り、私は即座に頷く。
あいつらのビルドっていつも大概よくわからないことになってるからなぁ…今はどうなってることやら。
「あれ?消えたぞ竜巻」
「ほんとだね?」
どうせトメトのやつは爆弾系統のスキルを伸ばしてるから、安牌なら《爆弾魔》辺りだろうなとアタリをつけてると、何故赤いのか非常に気になる竜巻が消え去るのが見えた。
と同時に、私たちの目の前に魔法陣―――《転移の陣》が展開される。
さて、どっちが勝ったかな?
「酷い目に遭った……暫くトマトは見たくない……」
《転移の陣》から出てきた人影には―――純白の輝きを放つ翼が携えられていた。
「やっぱアルかぁ……」
PN"アル"通称『清楚なピンク』と呼ばれている――
「うん、アルちゃんだぞぉ!!!」
「うわぁ抱きつくな変態ィ!!」
――重度の美少女好きの変態である。
普段は清楚な態度で微笑むコイツだか、一度美少女を見れば目の色を変え。
「はぁはぁ、カンナすきぃぃいいい!!!」
「いやぁぁぁぁああああ!?!?!?」
「カンナちゃん君の犠牲は忘れないよ」
このように、鼻息を荒くし、顔面を擦り付けてくるという拷問が始まるのだ。
ぶっちっけアバターが銀髪碧眼の美少女だからギリギリ大丈夫なだけで、絵面は完全に肉食獣に襲われる小動物である。
「うへへへぇ……」
「あばばばばばば……」
しかも、コイツの性質が悪いところが、セクハラ目的ではなく純粋な好意からの行動なので、ハラスメントブロック機能の一切が反応しないことだ。
なんで目にハートが浮かんで涎まで垂れてるのに反応しないのは分からない。多分運営が悪い。
というがヴェリィさんは私の冥福を祈ってないで早く助けてくれないかなぁ!?
なんか百合の花が咲いてるんだが٩( ᐛ )و?(困惑