019 『爆裂天塔、果ては黎明』
謝意しかないです!!!!
「さて、そろそろでしょうか」
あれから数十分後。
目の前には相も変わらず、吹雪と氷柱をまき散らしながら空にて暴れ回っている『白龍』の姿。
相対するのは、地上を植物で埋め尽くし、閃光と衝撃に塗れた地獄を作り出したトメィトゥ。
まだまだ元気に暴れまわっているトカゲですが、前回の攻略から考えれば第二形態はそろそろ終わるはず。
そう考えた直後、事態は動き出しました。
最初に動いたのは『白龍』。
いつまでも纏わりついてくる雑草に痺れを切らし、お得意の豪雪と『白』を侍らせ、突撃を強行してきました。
……好機!
「アルちゃーん!!!」
「ご勝手に!!」
「ほぉらこっちだよ!!!」
以心伝心。相手の意図を把握した私達は即座に動き出します。
「《螺旋の大千塔》」
器用に自分を守りながら自爆で吹っ飛んだトメィトゥと『白龍』の間に《塔》が割って入ります。
目的は妨害。《塔》は囮です。
『白龍』がこちらを向きます。センサーとしての役割を果たしていた『白』を自身の周りに従えているので、感知能力が下がっているのでしょう。
ですが、そんな隙を晒せば。
「バァーカ♥」
爆殺狂が見逃すはずありません。
「アハハハ――ッ!!爆殺!爆裂!爆滅ゥ!!!全部全部、ぶっ飛んじゃえ!!」
塔が降りしきる戦場に、赤い誰かさんの狂笑が響き渡ると共に、全身を突き抜けるような爆音と爆風が白龍の身体が空高く打ち上がりました。
……空中で連鎖爆破が起きてますね。いつの間に体内に種を仕込んだのやら。
ふむ。ちょうどいいですね。
「空中は任せたよぉ?その間はMP回復してるからねぇ」
「ついでにこの形態もそろそろ終わらせてきます―――位相転換」
召喚物との位置を入れ替える能力。入れ替わる先は上空で待機状態させておいた塔です。
目標は上です。
新たに召喚した塔の側面に立ち、現在進行形で連鎖爆破されている『白龍』を追います。
……今、光りました?
「《聖なる盾》」
隙を窺っていたのか、塔に乗る私ごと消し飛ばす勢いのブレスが飛んできました。
……耐えきれましたが、これでは進めませんね。
間髪入れずに第二射も飛んできそうです。どうしたものか……,
《聖なる盾》を構え、少しの逡巡。
「よし、突撃しましょう」
結論は、特攻でした
荒ぶる吹雪、飛んでくる氷槍。えぇ結構です。小細工も面倒なので正面から突破してやりますよ!
「《過剰詠唱》!!」
塔の下部に召喚の陣を再展開し、加速。弾幕によるMPとHPのロスを無視し突っ切ります。
が、突如視界が晴れます。
現れたのは『白龍』。直接ぶん殴りにきましたね。
「――――――ガァッ!!!」
「痛ッ―――たいですッ!!!」
けど、狙い通りです!
「《簡易多重召喚・螺旋の大千塔》」
直撃を受けながらも発動した《召喚の陣》から一部だけ飛び出した計十本の《塔》が、追撃を加えようした『白龍』の動きを止めました。
ぶっちゃけ一瞬しか無理なんですが、充分です。
「《限定解除》」
全力の飛翔で瞬時に『白龍』の頭上に陣取った私がお見舞いするのは、既に臨界体制へと至った《聖なる盾》。
この盾、否。
本来の大槍として内蔵された機能は装備者が受けたダメージの『蓄積』と―――『開放』。
「堕ちろ―――《汝、逸話を語れ》」
解き放たれたのは蓄積された光の結晶。
約一時間弱。《聖なる盾》に蓄積されたダメージはかつて光の大槍と成され。
『白龍』の身体を、穿ちました。
「――――――――ッ!!!」
声にならない威圧を撒き散らしながら、風穴を開けられた『白龍』は、赤いポリゴンを撒き散らしながら落ちていきます。
少し息を整え、通話を起動し軽く報告を入れます。
「今落としました。しくじらないでくださいよ、ヴェリィ」
返事は聞きません。のんびりしてる場合ではないので。
チラリとステータスを確認すれば、特盛したはずのHPが一割を切っていました。
……反動だとしても消し飛び過ぎでは?
《限定解除》は反動が大きいのは知ってましたが、やはりショックですね。これはまだまだHPを盛らねば。
いえ、取り敢えずは今どうするかが優先です。
「仕方ないですが、近接は無理ですね。なら…」
こちらは、支援塔撃と行きましょう。
◆◇◆
『白龍』攻略戦の手順は三段階に分けた。
まず、先鋒をカンナに任せた。理由は明快、彼女が一番相性がいい。
一番HPが低いっぽい第一形態に火力が一番低そうな彼女を充てたというのもある。
ただ、まさか三十秒で本当に片付けるとは思ってなかった。ブランクどこいった??
次に、アルとトメイトゥを第二形態に。この中では一番慣れているだろうからと、あの二人を選んだ。
「で、最後にあたしって訳なんだけど……」
「なんで一緒に戦わないの?サボり?」という新規からの煽りコメントならぬ質問コメントに答えながら、しれっと手元に展開した《錬成の陣》を見る。
「実はねぇ……あたしが錬金したモノ、厳密には魔法・魔術で作った物体は『白龍』に巣食う『白』にとって恰好の獲物らしくてね…」
思い出すのは二ヶ月前の悪夢。
白く彩られた。錬金された兵器達。
「いやー笑ったよね!造った傍からバンバン浸食される上に、いつの間にか乗っ取られてボコられたんだから!」
:分かるぅーゴーレムに雪に被ってるなーって思ったらとんでもねぇやつだった
:あれプレイヤーにも害あるのヤバイ
:常に乗っ取りデバフを撒きながら暴れる畜生
:あの惨状で笑いながら戦ってたのは流石
:負けても悔しくなさそうだからなこの人
「ふふん。その通り!」
嘘である。
いつの間にか浸食されていた兵器が『白龍』に取り込まれて回復された時には、確かに乾いた笑いは出た。
だが、形態が変わり取り込むのではなく乗っ取って来たときは、奇跡的に掻き消えたが「は?」と声が出た。
解析したのか何なのか、死に損ないの身体から無数の針を生やし暴れ始めた時には表情が抜け落ちた。
挙句の果てには最終形態にてこちらが錬成した兵器を完コピと来たものだ。
碌に対策も取れず錬成するため資源も尽き、最後の最後には不壊である初期武器の斧槍をぶん回してみるも勝てるはずもなく。撃沈。
計三回挑んだか、惨敗だった。
端的に言おう。クソほど悔しかった。
だから、できる限りの全てを「コレ」に注ぎ込んだ。
直後、鬱屈とした曇り空に、光が輝いた。
一瞬の眩しさの後。目を開ければ。
待ちに待った『白』が落ちるのが、見えた。
『今落としました。しくじらないでくださいよ、ヴェリィ』
「―――あぁ、勿論さ!!」
起動するのは、『白龍』にバレる限界まで隠蔽しておいた「大砲」。
「最終段階、構築開始!」
『プロコトルを起動。展開します』
『白龍』。プレイヤー間ではそう呼ばれる『隔ての地のバイザール』という存在は、魔力を感じ取るのが異常に上手かった。
現状の魔力隠蔽ではこのフィールドで魔力を使うだけで察知されてしまい、すぐさま『白』に侵食されてしまう程に。
だから待った。雪に似せ作られた『白』が消え、奴に集まる瞬間を。
頭上に展開された《錬成の陣》を見る。
準備期間は一ヶ月。溶かした素材は残り大ボス三体のレア素材、合わせて千個オーバー。試行錯誤に犠牲になったアイテムの数を思い出すのは辞める。
残る結果は二つ。惨たらしい全ロスか、満点のドヤ顔勝利か。
空から落ちるバイザールが、こちらを視た。
無機質な瞳から、溢れんばかりの殺意が浴びせられる。
ギリギリまで隠した「コレ」の存在は既にバレた。自身を撃滅しうる存在を消しに、『白龍』はもうすぐこちらへやってくる。
最終構築に掛かる時間は、三十秒。
「ふふっ」
耐え切れば勝ち。さもなければ、あの地獄の素材マラソンの開催だ。
「あははっ」
暫くはやりたくもないと思いつつ、勝利後の未来が見え、笑いが止まらない。
……前作より一年は早かったけど―――ようやく、だね。
資源は万全。奥の手は準備済み。あとは自分の技量と仲間に任せて。
「さぁ、チュートリアルを終わらせようか」
言い訳「受験」。ほっっっっんとごめんなさい。時間足りなすぎました。これは時間捻り出して書きました。
一応、年末に一章完結まで連続更新しようと思ったけど無理だった。まじごめん。今地面に頭擦り付けてる。
続きは受験終了後でお願いします。




