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サ終したVRMMO、廃人達の本気で復活した件  作者: Kamkam
前日譚『想奇想曲』
2/20

前日譚 『鬼札と死札と切り札』

文章が拙い?だから練習するのさ!(読みづらくてすみません



「「「「皆人間やめ過ぎじゃね?」」」」


 残りの出番は私だけとなった第一ラスボス(サンドバック)の前で、全員が漏らした感想だった。


 当たり前かのように次元を叩き割り、星を落としたりブラックホールを生み出したり、無限自己蘇生やらなんやらと来て、挙句の果てには宇宙戦艦からの特大ビーム砲である。巨大トマト爆弾に関しては知らない。なんでトマトなの?そしてなんでワンパンなの?答えはトマトのみぞ知る……!!


「あの、ヴェ、リィ、あれは、何……?」


 魔導書を抱き魔導士のローブ纏った彼、先ほど起きた惨状について聞き出す少年のPN(プレイヤーネーム)は”カオル”。


「大陸溶かして作った宇宙戦艦」


 そして聞き出されたプレイヤーのPNは”ヴェリィ”。蒼髪を靡かせ、軍人風な装いの女性である。


「えぇ……第10層の大陸消したの君かよ……」


「島ごとボス蒸発したナ……」


「あれでも一応最小出力だよ?因みにドロップとか何もなくダンジョンごと消すからアレ」


 その他の大勢のボヤキを聞き、自分が使ってこなかった理由をサラッと開示するヴェリィ。なんでそんな重要なことを……あ、サ終するだったこのゲーム。


「さっすがヴェリィ!ボクたちに刻まれた爆殺が何たるかを体現してるね!!」


「でしょ」


「ステイ、トメィトゥ」


 騒ぎ始めたトメィトゥ(爆殺狂)とそれに乗っかるヴェリィ(メカオタ)を必死に宥める。


 因みにトマト爆弾を起爆したのはこいつである。因みにボクなんて言ってるがアバターは(ロリ)だ。厄ネタの宝庫かなんかか貴様。


 ッと。気になることがあったんだった。


「因みになんて名前なの?」


オールデストロイヤー(全てを破壊する者)だよ!!」


「何を破壊しに行く気だよ!?」


「星」


「宇宙レベルのテロリストじゃん……」


 はぁ~とため息をつき、この場にいる面々に目を向ける。


 頭にトマトの被りモノをした少女。相変わらず自分の機械仕掛けの斧槍(自分の得物)に頬ずりしまくってるしまくってる変人。人間を辞め、悪魔や天使、精霊と来てキメラとトンチキ生物と化したその他大勢……おいそこ目をそらすな自称凡人(ラインハルト)。お前もこっち側で苦しむんだ……


 結論。


「まともなのは私だけか……」


「生身でジェット機並みの速度を制御する変態が何か言ってるゾ」


「厨二病全開なスキル満載のやつがなんか言ってるな」


「よし世界一周ツアーでもする?代金は命でいいよ??」

 

 正しいことを言ったはずなのに古傷を抉られた私は軽く脅しをかける。光速で世界一周したことはあるかなぁ?


「激しく振り落とす気?ん?激しく?激しく、はげしく……!!」


「アル、こいつは振り落とす気しかないゾ」


「あいきゃんふらいってやつだよ」


 おいそこアル(変態)。危ない目を向けるなこっちは一応未成年だヴェリィさんに向けろ。


「冷ややかな目……うへっ、うへへへっ……」


「助けてカオル君::」


「アル、こっちに、くる。話が、ある」


「へへへえぅ!?」


「oh……」


 一瞬にして気配を消したカオル君がアル(天使の姿をした変態)をノックアウトし、どこかへ引きずっていく行く。悪は去ったのだ……

 

「さて、茶番はこのくらいにして私もやるか」


 インベントリから自らの獲物である二振りの刀を取り出し、ボス部屋(外)に足を向ける。


「カンナちゃんは何秒かかると思う?」


「ハンデルよりは早いと思う!!」


「盾特化のヤツと比べるのは酷だと思うゾ」


 私もそう思う。


「というかそもそも失敗しそうじゃね?」


「あり、うる」


「なんかいつも壁か床のシミになってますよね」


「消えたと思ったら宿屋からすぐ出てきたのは笑った」


「カンナちゃん!!自爆すれば解決だよ!!」


「あーうっさいうっさい!過去は振り返らないの!!というかそこ!自爆を勧めるな!できるけど!!」


 思わず後ろを振り返り文句を言う。だって試運転しようとしたらバカみたいな速度でカッ飛んで大体死ぬんだ、どう回避しろと……?


 というかその「できるの!?」って顔はなんだロマンに喧嘩売ってるのか?


「やつらめ、私の苦労も知らないでズケズケと……」


「もう始まってるゾ?」


「へっ!?」


 そう言われ後ろを振り返ると、自分で自分を操っているメカ人形―――推定キロ単位。バカでしょ―――が目に入る。相変わらず綺麗な金属光沢ですね……わあこっち見てるぅっ!?


「即乙は無しぃ!!」


「おーナイス回避」


「相変わら、ず変な、挙動を、する」


「曲芸だナ」


 回避用のスキルを使い、頭上から降ってきた鉄腕をアホみたいな速度のバク転で避ける。外野がうるさいが無視だ無視。


「カンナちゃーん!サービスシーンはー!?」


「しゃらーっぷ!!っておわあああ!?」


 頭上から降り注ぐ飛んでくる多数の糸―――乗っ取り効果あり―――を悲鳴を上げながら全力で回避しまわる。因みに乗っ取られたら関節を無視して強制ブレイクダンスである。勿論死ぬ。


「あぶない、危うく即落ち二コマでデスするところだった……」


「カンナちゃーん!!まだー!?」


 未だふざけたことを宣う変態にピキッと頭に血管が浮き出そうになるが、いい粛清法を思いついたので一旦落ち着くことにする。

 

「今は、目の前のこいつだ」


 ラスボスということもあり、レイド仕様であるこいつの攻撃には範囲攻撃も多数用意されており、正直言ってくそだるい。


 更には設定面でも、こいつには神代の敗残兵やら、機械神の写し身やら大層な名前がついており、中々に強敵なのだが……


「だが所詮サンドバック!!1秒フラットでスクラップにしてやるよ!機械仕掛けの伽藍洞(ラスボスの手下その一)っ!!」



 ――魅せプをする上で考慮する必要なしである。



 因みに初期はラスボスだと認識されてた―――体力3000万越えの癖に後半になるほど耐性系が上がるクソボスだったからね、参加者全員でお気持ちメール爆撃をしてやった―――のにまさかの四天王にすら入ってなかったのだ。


 だがコイツの存在は私達(廃人達)の心に深く刻まれている。何故なら――


「殴れば殴るほど耐性も上がるわ!取り巻きは無限にばら撒くわ!挙句の果てには空は飛んで空爆やりすぎなんだよ!!」

 

 現在進行形でミサイルの雨を降らしながら、多数の雑魚的(取り巻き)をばら撒き、目から熱烈な視線(ビーム)を放ちながら変形し、タイヤのような形になり突撃してくるトンテキロボを見やりながら過去の怨嗟を吐き出す。


 まあ、あの段階に辿り着くまでには相応に時間がかかる。何より……


「長引くほど強くなるってんなら、バフをかけまくってワンパンすればいいだけなんだよねぇ!!」


 背中に装備した二本の刀を抜き、左手に握った刀は逆手持ちする。


「知ってる?このゲームバカみたいな速度はくれるのに、制御するためのスキルは皆無なんだよ」



 ――さあ。魅せプの時間だ



 動き続けていた脚を急停止させ。切るべきスキルを脳内浮かべ、片っ端から起動していく。


 私の構築した戦法(ビルド)はスピードアタッカー!火力系スキルオマケ。火力バフは物理演算君が頑張ってくれる!!

 

 あまりの加速力に封印していたスキル。再使用までの待機時間(クールタイム)が長すぎてラストエリクサー(最後の切り札)とかしていたスキルをも動員し、ボスエネミー(カラクリ人形)と――――駆け出した。


「次回作があったら思考加速くらいはくれよ運営!やっぱり音速越えをマニュアル操作はアホだと思うッ!!」


 そんな文句を垂れていると、追いついたボスがタイヤ形態から元の人形形態へと一瞬で変形し、激しい蒸気をあげながら鉄腕が振り上げ―――空気を引き裂きながら振り下ろされる。


 だが私はもうそこにはいない。


「【忍法・身代わりの術】……言い忘れてたけど私、NINZYAなんだよね」


 印が刻まれた丸太が私が稼いでいた熱烈な視線(ヘイト)も引き継ぎ、一瞬で疑似ワープをした私の代わりに砕けた。代償割と重いが相応に活躍してくれる便利スキルである。


 あとその技、硬直長いの知ってるよ?


「ッフ!!!!!


 硬直が長いといってもたかだか数秒。でも、私にはそれで充分。


 地面に突き刺さった鋼腕を一息未満で駆け上がり、その頂点から全力の―――跳躍。


 もはや景色が線にしか見えないが、私にとっては相も変わらずの慣れ切った景色。


「ヨッ」


 感覚はバッチリ。キッチリと()()()()()()()()()


 天井へと逆さ吊りとなった身体で地上を見上げ、すでに復帰し異常を察知したのか爆撃機形態へと移行しようとしているボスの姿が見える。


 だけど、今の私はどうでもいいことだった。


 久しく感じなかった全力全開のフルスロットル。


 嗚呼。なんて―――


「―――楽しいんだッ!!」


 さあ、天に描くは八亡星!!こちとらプレイヤー最速、地を砕き!海を割り!空を駆けた疾風迅雷なんだよなあ!!


 サ終?どうでもいい。


 今はただ、楽しむまで!!


「いざ尋常にィ――――ッ!!!」


 一度として放てなかった鬼札!一度として制御できなかった死札!!一度として切る判断が出来なかった切り札!!


 其の切り時は――――


「砕け散れッ!!」


 今。ここにッ‼



――――【終ノ太刀・永夜の月光】



 描き出された八亡星(八連撃)


 咲き乱れる月光の残影(スキルエフェクト)


 十キロ以上はある距離からの音速の数十倍の速度で、文字通り()()()()、渾身の八連抜刀術を喰らった機械人形(カラクリ)は―――



―――――キィン!



「最初に挑んだときは全員でギリギリだったのに、まさかの一撃とはね」


 美しい月光へと誘われ、至極当然に、砕け散ったのだった。



 ――称号【最速の討滅者】を獲得しました。



「ぶい」


 かつての強敵と、何度聞いたか分からない称号を耳に聞き届けながら―――


 仲間達の方へと、迫真のタブルピースを披露したのだった。


 

 スキルに興味ある人だけお読みください


 供養です。


『雷焔』

 アバターの『モーション感度を倍加させる』効果とついでに『壊雷』と『浸焔』を付与するスキル。カンナが持っていたスキルの中のじゃじゃ馬ランキング第2位である。

 簡単にいうと「走る」という思考をした場合「h」で走り始めるレベル。なおこのスキルがないと音速下で行動するには反射神経が圧倒的に足りないため消去もできなかった模様。『壊雷』と『浸焔』は本編にも出るので今は伏せます。


『終ノ太刀・永夜ノ月光』

 一定速度下&空中でしか発動不可な刀術の派生の特殊技。実は刀一本でも発動できたりするが威力が文字通り半減するため基本二本推奨。

 スキルを起動するとバフ『月光』をスタックし、攻撃をヒットするたびにスタックを一つ獲得する。『月光』の持続時間は1秒。(上限7〉

 スタックを上限まで全て溜めると、全てのスタックを消費し、八連撃目である『永夜』を発動する。

 イメージとしてはスキル発動→殴ればバフ獲得(上限7〉→上限に達すると一発デカいダメージが発動する。

 デメリットはヒット数を重ねるごとに速度が青天井で倍加するため制御性がカスということ。『雷焔』を以ってして「無理」と言わしめるアホ必殺技。

 なお全ヒットさせると敵に即死を付与するバカ技でもある。インフレって怖いね。


 なお本編に再登場するかは未来のカムカム氏次第です。


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