017 『白』
毎度恒例、ほぼ週一更新のお時間です。
轟いていた雷鳴が収まり、静寂に包まれた大地。
中心となる龍が、死んでなお残り続ける吹雪の中、
雷と焔に焼かれ、黒焦げの肉塊に成り果てた『白龍』を見て、一言。
「てっ、撤退ぁーい!!」
異変から全力で逃走を決め込むことだった。
軒並みクールタイムに入っているスキル達に理不尽な恨みを抱きながら、回帰し種の本流に限りなく近くなり、高まった身体能力を全力で駆使し走り始めた直後。
吹雪が、目の前から消えた。
いや、正確には。ある一点に突然目の前から消えたという認識に見えるレベルの速度で、移動したと言うべきか。
「おー!?やばいやばいやばいやばい!!」
遥か遠くの上空。前方の空の方から殺到する雪の軍勢の行き先……『白龍』のほうを見れば、恐ろしい光景が広がっていた。
『雪に食われていた』
『氷に喰われていた』
白龍の黒焦げになった巨躯が『白』に侵されていく。
まるで火に魅入られた蟲が群がるように。
一見すれば龍の力で再生し、皮膚の色が戻っているようにも見えるが、あれは断じて違う。あんなのは聖なる力じゃない。
理由は色々あるが、絶対的根拠が一つ。
「あんなキメェのが聖属性な訳ないッ!!」
シンプルキモすぎて、無理。
と、事前に聞かされたとは言えキモすぎて発狂することしばしば。
絶賛なんか喰われてる『白龍』の死骸からある程度の距離を取り、聞かされた「安全区域」に退避を完了すると。それは起こった。
焦げた表皮は見る影もなく『白』に染められた。
ただそれだけなはずなのに。
「っ……?」
瞳が、開かれた。
ツーッと。ゲームのアバターに搭載されていないはずの汗が、背を伝う感覚に陥る。
なんだ、あれは?
「生き返った?」
違う。モンスターは生き返らない。『白龍』という存在は生まれるだろうが、私が今、この手で幕を下ろした『白龍』が生き返ることは絶対にない。
あとはゾンビ化して復活することもあるが、明らかに挙動が違う上に、復活するのが早すぎる。
あの『白』がゾンビ化を加速させる瘴気の違いなのかもしれないが……
「乗っ取られた……かな?」
まあ、何は兎も角だ。
私の出る幕は、一旦終了と言ったところで。
刹那。
見覚えのある二人組が、戦場に乱入する。
一人は、白銀を主とし黄金の装飾が施された聖騎士鎧を着た天使。
一人は、どこで編んだのか素材不明の縦セーターを着こなす謎の幼女モドキ。
「……雨を降らせましょう」
「はーろぉ御礼周りに来たよぉ!!」
派手な爆発と、降り頻る『塔』の雨と共に登場した二人を呆れた目で見つめ。
相変わらず意味のわからんビルドをしてるなと諦観の念を叩きつけながら。
「……さてと」
観戦モードへと入り、地べたに座り込むのだった。
この二人が最後に登場したの一ヶ月前では?という事実に気づいた今日この頃のアホ一匹。




