014 『雷霆、祖の龍姫につき』
分かりやすく纏めしたけど結局断念して出癖で書いてたら二週間経ってた。怖ッ!!
「っふぅ……ついた」
これと言って不備もなく、いや強いて言えば吹雪が鬱陶しかった空の旅を終え、例の如く天へと《韋駄天》で張り付いた今現在。
私は今から辿る道を今一度確認していた。
全盛期には全然及ばない反射速度と認識能力で今から到達する速度域に行った場合。間違いなく『東都』にカスダメを叩き込む一匹の蜥蜴になる訳なので当然だ。
……まーた愉快なシミになってたまるかっての。
スキル検証中に起きた数々の事故を思い出し、悪寒が走る。具体的には音速で壁に稀によく叩きつけられた。怖い。怖かった。
……っと。そろそろだね。
「まずは……えーっと確かこうだったっけ?……《我は其の獣なり》」
詠唱する文節は三つ。それ以上は負荷に耐久力が足りないから断念だ。
魔力がゴリゴリ削られて行くのを感じながら、クナイを取り出しておき。
「《かつての栄華を再び頂き》」
それを手のひらへと構え――
「――《この血を代価に戴冠しよう》」
一切の躊躇なく、貫いた。
途端。肉体に訪れた変化は劇的だった。
後頭部に生えた龍の角はより捻じれ。
体中から特異な魔力が迸り。
瞳に写る瞳孔は龍のモノへと。
正しく《竜人族》より祖の龍へと近い《龍人族》へと変貌していた。
「おおぅ精神統一ぅ……制御制御……」
ただこの漏れてる魔力の分だけ漏電してるようなモノなのですぐに引っ込める。
……勿体ないからね。
このスキルは前作で獣人系。つまり、人族以外の魔獣の特徴を持つプレイヤーにとっては、死ぬ程お世話になったであろう能力を呼び起こすためのモノ。
スキル名《始原回帰》
クエスト『百獣の黎明』の最終報酬にして、瞬く間に拡散され、今まで物理一辺倒だった獣人系プレイヤーに激震を走らせたこのスキルの効果を凡そ二つ。
それまで存在だけが仄めかされていた『始原』。所謂種族の大元的なモノへと回帰するということ。
そして一つの効果。それは――
「んひぃ……やっぱいいねこのスキル」
――始原状態を経ることでしか得られない、固有能力の解放だ。
◇スキルを解放しました◇
・始原回帰
・壊雷
・浸焔
独特の通知音と共に流れたシステムメッセージを瞳に写せば、予想通りの結果と共に見慣れたスキルが並び、その存在を誇示していた。
お久しぶり壊雷&侵焔君。これからも酷使するね。
「ッととっ!?」
邪悪な笑みを浮かべ、前作でも大変酷使させて貰ったスキル達に挨拶をして間もなく、《韋駄天》のベクトル操作効果が切れ、天へと向かっていた重力が正常な方向へと戻る。
……こういうスキル効果のカウントもちゃんとしないとね
加速度的に上がる背から感じる風を浴びながそう心に刻み、向き直るは『東都』中心部に鎮座してるであろう『白龍』。
計画はこうだ。
――マッハで落下してぶん殴って殺す以上閉廷グッパイ宣言続きは地上で言ってやらァ!!!!
「いざ尋常に死ねぇッ!!」
……《空転走破》ダッシュ運用。《壊雷》&《浸焔》も仕事していけぇ!!!
空を踏めば文字通りの疾風迅雷と化した身体がもはやバカバカしいほどの速度でカッ飛んでいき、思わず目を瞑りたくなる。
そんなことをしてたら余裕で死ぬので実際はガン開きなのは当然である。
「んぎぃ!!」
ただ。久しぶりにこの速度域に到達した故、情けない叫びを上げるのは仕方ない。確かこれ音速の半分くらいはあるはずだし。
ただまあこれ以上の加速はやっぱ無理だ。もっと感覚を取り戻さないと制御できん。
……そろそろだ。
八歩を踏み出し、音の速度の端くれへと手をかけた直後。
吹雪によって白銀色に染めらいた世界が、久方ぶりに透き通っていた。
分かりやすく言おう。視界が晴れ『白龍』の姿が―――見えた。
「――穿つは一つッ!!」
距離にして約500弱。さらに一歩を踏み出せば簡単に呑める範囲内。
息を吸え。当たらなきゃ最悪攻略失敗だ。
視界は晴れた。バフもコンディションも万全。ならばこの龍に打倒し得ないモノなんて、ありゃしない。
刹那。
「死ィ―――――ッねぇえええ!!!!」
殺意溢れる怒号と迸る紅の雷を龍と成し、共に飛来したのは、一人の《龍人族》。
「タイムリミットは30秒なんだ。このまま行くぞオラァ!!!」
かつて『龍姫』と呼ばれた忍はこの日。
祖の龍と、再び邂逅したのだった。
全十節くらいある詠唱文を何節詠むかで出力が決まります。《始原回帰》は詠唱要らず・最後に発動した段階の出力で起動してくれるショートカット的なヤツ。
因みに全種族に方法は違うけど《始原回帰》的な、いわゆる覚醒技はあるよ。




