012 『静かな馬車』
数十分後、スキル検証を終えた私はヴェリィ達と合流し、数時間前に通った道をなぞるようにして平原を移動していた。
因みに移動手段は変わらず馬車だ。『魔導列車』を引っ張ってくることも考えたらしいが、今は色々と事情があるらしく使えないためこんな形になった。
ぶっちゃけ「なにそれ気になる」となったのだが、教えてくれる雰囲気ではなかったのでスルーした。
凄く気になるが。
ものすごく。
「………」
馬車の中は静かだ。
馬が駆ける音。
車輪が駆動する音。
風が吹く音。
たったそれだけの音しか、ここには流れていなかった。
視線を彷徨わらせば、見えるは三者三葉の在り方。
ヴェリィは一見社交的に見えるが、頑張ってるだけであの人はとことん研究者だ。
腕を組み、虚ろな目で宙を眺めている今も、脳内ではトンチキ図面が書き上げてるだろう。
アルは、今は外を眺め、じっと固まっている。
コレについてはよくわからない。何せ有り余る変態性を一生叩きつけてくるだけあって、表面は見えてもその奥までは分からないから。
まあただボケっとしてるだけに一票入れとこう。顔が美少女だから何か憂いてるように見えるけど。
どうせボケっとしてるだけだ。
最後にトメイトゥだ。彼女は――
「すぴぃ」
「いや寝てるんかーい」
日差しが一番照る後方を陣取り、寝こけていた。
あどけない少女……幼女?の顔を見ながら、私はこう考える。
――この人これでサイコキラーだからなぁ。と
割と今は良識的だが、プレイヤーからキルされた場合デスペナが発生しないことをいいことに、背後から爆殺されたことは数知れず。
ガチのマジのときは邪魔しないので、そこだけは救いだろう。多分。
反射的に刀抜きたくなるけど。
大丈夫だ。
多分。
「むにゃぁ」
「うっ」
トメイトゥが寝返りを打ち、比較的近くにいたアルがそれを合図に彼女に視線を移した。
血を吐いた。
おそらくトメトの顔面を見たからだろう。口と鼻から血の代わりにポリゴンがだらだらと溢れてる。
綺麗に倒れ込むアル。変わらず寝こけるトメト。微動だにしないヴェリィ。そして私。
奇妙な間が訪れ、私は懐からある者を取り出しながら立ち上がる。
「……ここは一発ド派手に」
「カンナちゃんストップ。なにそれ」
「カシの実入りの爆竹」
「手榴弾じゃん、何用なのそれ」
「アル用」
「……なるほど……はいストップ」
「……いっぱいあるよ?」
「……す、ストップ」
「ういす」
ヴェリィに止められたので、爆竹パーティは止めた。
なんだかすごく疼いてたので興味はあるらしいが止められた。
「時間の流れは速いなぁ」
そんな懐古な言葉を思わず呟く。
ここから暫く、珍しい静寂は続いた。
キリよくやったら短くなったから今日はもう一つ上げたい。(願望




