011 『スキル検証』
パッシブ……常にかかるバフスキルが汎用にぶち込まれてます。汎用=パッシブと覚えてください。分かってます。作者も見ずれぇなと思ってます。スマンッ!!!!!
あれから出来立てのご飯に感謝し、その熱さに四苦八苦しながらも爆速で掻き込み、シャワーを済ませた後。
「戻ってきたぜ仮想世界!!」
私は再びログインし、解散した場所である時計塔の前に舞い戻っていた。
こっちの時間ではまだ三十分強の時間が残っているが早めにログインした理由は一つ。それは。
「さて、スキル検証と行きますか」
獲得した想定外のスキルの試運転をするためだ。
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◆Status◆
Name:Kanna
種族:竜人族
職業:忍者
Lv:0→17
STR(筋力):0
AGI(敏捷):30
DEX(器用):0
VIT(頑強):15
MID(防御):5
LUC(幸運):0
◆skill◆
・忍者適正
《隠れ身の術》
《身代わりの術》
《分身の術》
《空転走破》
・刀術適正
壱の太刀《旋風》
弐の太刀《轟鳴》
参の太刀《昇滝》new!
肆の太刀《蓮華》new!
《豪鳴旋風》new!
・汎用適正
《韋駄天》new!
《投擲》new!
《不屈の肉体》new!
《見切りの心得》new!
◆Unique Skill◆
・竜人適正
《エレキブレス》
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「ふむ」
ステータスウィンドウを開き、順におかしなところがないか追っていく。
まずステータス。こちらはまだポイントを振っていないため特段思うことはない。次。
次はスキル。見覚えのあるスキルばかりで味気な―――はいストップ。
「空転走破?投擲?見切りの心得?」
なにそれ知らん。怖!
私が想定していたスキルは《変化の術》とか《アクセルテンポ》とかなのだが……?
ただ見当は付く。システムが変更されたことで新しく追加されたステータス、つまりは器用に関連するものだろう。具体的な内容はさっぱりだけどッ!!!
「……取り敢えず、使ってみよ」
分からなければ試せばいいと切り替え、特別な起動用の台詞がないか確認する。
このゲームは、わざわざ鑑定スキルを取らなければスキルの効果を把握することもままならない。だが、実際に使用することで『使い方』は理解できる。
「《空転走破》」
心の中でスキルの名を呼んだ瞬間。発動の合図を表す緑色の風が私の身体を包んだ。
身動きはせず、効果が発動するのをじっと待つ。
「……取り敢えず動かなければ発動しないと」
よし、次は歩いてみるか。
三十秒程待ち効果が発揮されないと分かると、私は少し躊躇いながらも一歩を踏み出し――
「よ――――ッッッッとおおおお!?」
――宙を踏み込んだ。
踏み出した右足が、まるでトランポリンに弾かれたような反発感に襲われ、危うく転倒しかける。
「ぉぉぉぉおお!……おっおっおっおっおっ?」
だが咄嗟に足を前へと進めると、まるで宙を駆けるかのようにして身体が浮き始め、一歩を歩むごとに加速度的に速度が上昇していく。
ははーん。なるほど。
「有能枠決定」
この感覚は多分系統のスキルだろう。宙に足場を造り、空を駆け抜けるためのスキル。前作の私もこれの発展形使ってたし。
まあ、違う点があるとすれば……
「アホみたいな加速ぅ!!!!!」
あのスキルにはついてなかったはずの過剰過ぎる速度バフだろう。
三歩。四歩。五歩。
合計たった五歩で、二十メートルはある時計塔をとびこえてしまった私は、そう叫んだ。
おそらく、宙を踏み抜ける回数は決まっている。初期スキルであることを差し引けば、精々十歩が限界か?いや充分壊れてんなやっぱバカだわ運営。
六歩。七歩。八歩。
「上に行って正解だったぁ……こんなの街中で無理矢理試してたら壁か床のシミになってたわ……」
私お得意の技。壁ジャンプの軌道で空へと上昇し、優に二百メートルは越える高さから王都を見下ろしながらそう呟く。
さて、そろそろだッ!
「――――っう!十ッ……歩ぉ!!」
最後の一脚。弾丸の速度には届かずとも、風の速度には負けず劣らずの速さに達した身体を、もはや蹴りぬくようにして踏み出した。
途端に吹き飛ぶ景色。流石に線とまではいかないが、常人が認識できる速度ではない。
「まあ慣れっこなんだッけどッ―――!」
効果は――――切れたッ!
「そッッッイィ!!」
姿勢反転。空へ脚を向け、偽りの空へと着地し、天となった大地へと視線を向ける。
見上げた街は、記憶に刻まれたあの頃の光景と似ていて、そして明らかに違うモノだった。
魔力で動く古代遺物は、ボロボロだった王都を、新たな煌めきで照らしていた。
魔車が大通りを駆けずり、飛竜が空を巡る。
街灯が街を照らし、造られた太陽が街を照らす。
機械仕掛けの生命体が人々の間を闊歩し、獣人や天使、悪魔が空を飛びまわる。
まさにカオス。中世ベースのファンタジーの癖して、人種差別もへったくれもないハッピーハッピーな世界だ。
でも。
「やっぱり好きだなぁこのゲーム!!」
こういう滅茶苦茶なのが好きなんだよ!いやぁ来てよかった!!!
久しく見ていなかった景色にテンションをぶち上げ、はしゃぎまくってた丁度その時。
「ぉお!?」
《韋駄天》のパッシブ効果が失効。天へと向かっていた重力のベクトルが、本来の効力を取り戻した。
途端に下へと急速落下する身体だが、まあ問題はない。
「コツは掴んだ――――ッ!」
《空転走破》
息を吸い、頭から落ちていた身体を起こし、斜め下へ向かって、勢いよく蹴り込む。
今度はジャンプじゃない。ダッシュだ。
「全速力ぅッ!!!!」
さっきのように減速してから踏み出すのではなく、次から次へと空を駆けるようにして踏み出す。
はい八歩だ地上見えてきたぞぉ!!!
「取り敢えずスライディング判定になればダメージ軽減で生き残れんだろオラッァア!!!!」
九歩ッ!
辛うじて認識できる景色を頼りに、足を進めこのままでは平原に着弾するというタイミングで―――
十歩。
突如として進行方向が逆転し、王都の大通りと着弾した。
「ジッ――――ッ!」
凄まじい摩擦熱と砂塵が巻き上がり、今度は別の意味で見えなくなる、が。
「っしゃ成功だぜい!!!」
その感覚があると言うことは、まだ生きていると言う証明だ。
「はーひやひやした」
よっこいしょと身体を起こし、体についた砂を払い、普通なら混乱に陥るであろう出来事を、さも当たり前のようにスルーするnpc達を横目に収めながら。
「ッシ。次は刀術だな〜」
再びスキル検証へと向かうのであった。
忘れてたぜ…この作品のバフスキルは全部イカれてるからどんだけ出力高くても問題ナッシングだってことをなぁ!!
ps.早ければ明日、遅くても土曜日までには出ます。




