010 『休憩』
一週間更新サボったのに評価ポイントが二倍になってる……え、総合100ptあざます……どういうことだってばさ?あブクマもありがとナス。
あと短い。
「どうしよう、これ」
少し時間は経ち、馬車の前に集まった面々の中、私が開幕一言に放った言葉だった。
目の前には百鬼夜行の原因になった《魔香に黄昏る真花》が無惨にも散っており―――散ってなかったら困る―――ついでのように馬車自体もぶっ壊されていた。
木材を基調に造られたどこにでもありそうな見た目の馬車は、外からの光を遮る布は見る影もなく引き千切られ、車輪は全て破損していた。はっきり言って使えるような状態じゃない。
移動手段失った。どうしよ。
だがうちにはヴェリィがいる。馬車の修理とか新しい物を呼び出すくらいは余裕で……
「うーん出せるには出せるんだけど今私金属系の素材しか持ってないからさー」
「絶妙に不便な仕様まだ受け継がれてるぅ……」
「いや無茶すれば変換できるようになったんだけどさ。コストが、ホントに重くてね……」
ヴェリィが保有してる金属系素材。おそらくは魔鉱石などは戦闘にも使う……というかそれが役割の大半を占めていたはず。大物狩りの前にポンポン使っていいものじゃない。
かと言って走って行くのも消耗するしな……
どうするべきかと考えるがいい案は思い浮かばない。
「では」
うんうんと頭を捻っていると、沈黙を保っていたアルが口を開いた。
視線を向ければ珍しく真面目な顔をしており―――大体ヤヴァイ表情をしてる―――まともなことを言う気らしい。
でもアルのことだ、真面目な顔をしてトンチキなことを言うやも―――
「一回解散しませんか」
「妥当すぎる」
「それしかないよねー」
「賛成するよぉ」
◆◇◆
ということで、王都へ転移し、少しの間解散ということでログアウトしたのが先ほどの出来事。
「んぁー」
現実世界へと舞い戻り、少しばかり固くなった身体を鳴き声と共に伸ばし、ほぐす。
あちらでは大体三時間程経っていたが、こちらの時計を見ればフルダイブした時から一時間しか経っていない。
あちらの時間は現実の時間と比べて流れが速い。仮想世界での二十四時間はざっと現実世界での八時間なのだ。うーん超技術万歳。
「今日のご飯はなんだろなッと」
頭に装着していたヘッドフォン型のVR機器をベットの端へと追いやり、ガバッと勢いよく飛び起きる。
解散と行ってもヴェリィが新しい移動手段を確保するまでの話。まだ更新したステータスにも慣れていないし、というか制御できるかスッゴイ不安だし、なるべく早く戻りたい。
よし、湯舟には死んでもらおう。
「ユイ姉ェ――――ッ!!飯ィ――――!!!」
「だーれがご飯だアホナスゥ!!!」
即刻削り取るモノを決めながら部屋の扉を開け、廊下へと足を踏み入れた丁度とその時、階段の下から生意気な声が聞こえたので、いつもの調子で応える。
ヤツの名は「神崎 悟」端的に言えば弟だ。
思春期真っ盛りな中二なのに親の眼力と筋肉によって反抗期を封殺され、少々言葉荒くなってるだけの可愛い奴である。因みに私はゴリゴリに反抗した。死んだ。南無。
あと私の名前はお察しの通り「神崎 結」である。
ッと。そんなことは置いといて。さっさと下に降りよう。
「へっっくち」
廊下へ足を踏み入れた瞬間。異常な寒暖差にくしゃみが出る。寒すぎない?
「ユイ姉。大丈夫か……――――――ァ!?そんな恰好でうろつくんじゃねぇ!」
「アガァ――――ッ!?」
妙に強い寒気に違和感を感じた時には既にお寿司。いや遅し。階段を上がってきた弟と目が合うなり、握りしめられたしゃもじが私の額へと直撃した。痛い。
手加減とかないの?という切実な思考を回しながら、声にならないうめき声を最後にバタリと倒れる私。
「服着てこいバァーカ!!」
「お、おいす……」
捨て台詞と共にクソデカため息を吐き、下へと降りていく弟。
ぽくぽくちーん。
「服、着よ」
数秒の静寂の後、むくりと起き上がった私は、床に転がったまま放置されたしゃもじを手に取り、部屋に戻るのだった。
因みに下着とTシャツしか着てなった。ほぼ半裸である。そりゃビックリするわ。
最近真面目で勤勉な姿しか見てなかった姉から妙に高いテンションと荒い口調の返事を返され、心配で見に行ったら半裸だった時の恐怖。




