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どうも、木⋯⋯の妖精です。  作者: 夏巻き
目覚めは中盤のエリアで
9/108

来るべき日に備えて、ダイジェストォォォッ!

元々私がこのゲームを始めた頃には、すでに雀もどきもとい妖焔雀ジャービルというレイドモンスターは、倒され存在していませんでした。

このリアリティを求めたゲームにおいて一度きりの命というのは、NPCに限らずモンスターにも適用されていたので。

故に一度倒されたモンスターが復活することは無い。

絶滅しないように極端に減ったモンスターはAI(神様)が元々そこに居たように追加することもあったみたいですが。(公式談)

レイドモンスターに限っては、その場所で2番目に強いモンスターが次のレイドモンスターとして君臨するシステム(AI(神様)からもりもりとその立場に見合うステータス補正をかけられる)でした。

ちなみに私がプレイしていた時は蝶型のモンスターでしたね。


なので、今現在あの雀が生きているということと、セルンがまだ死んでいなかったことを考えると過去へと転生したのでは?となるわけです。

もちろんAI(神様)もしくはゲームの開発元がこの方達のデータを復活させたという可能性も捨てきれないので断言は難しいですけど。


まだゲーム開始まで余裕があるかと思っていたのですが、そんなに時間はなさそうですね。

転生初日がβテスター来訪の日となるとは⋯。


「ぢゅぢゅっギャアぢゅっ」


ええ、そうですよね。早くレベルを上げてここから移動できるようにしないとですよね。

なので目の前で死体を食べるのやめてもらえます?

トラウマを量産しないでください。




体感にして20分セルンの死体を貪った雀もどきは、満腹になったのかどこかへと飛んでいきました。

可哀想なセルン。せめてあっちを向いてくれませんかね。ゾンビみたいな今のあなた怖いんですよ。

ああでもそっちは穴だらけの同族がいる方ですか。そうですか。


と言うかよく見たら血がそっちの方に流れてません?

同族の方、血で濡れていませんか?それ根で吸って大丈夫なやつですか?


「⋯⋯」


⋯⋯返事がありませんね。

ええ、反応がないので一人芝居みたいなものです。

さ、わさわさしときましょ。






はいあれから3日経ちました。

全く変わらない景色で3日です。

周りに生える同族達に穴だらけの同族、遠目に見えるあの雀もどきと⋯⋯セルンの死体。

変わったのは血が乾いたということくらいですかね。

雨も降らなかったのでカピカピです。

心なしか同族達もしなしなして見える。私もか。

水が欲しいなぁ⋯。

こう言う時こそ動けるといいですよね。そのためにレベルを上げようとしているのですが。

血でも水分補給は出来たのでしょうか。どうですか穴だらけの同族よ。


「⋯⋯」


⋯⋯ふむ返事はない。

一滴でもいいからこちらに流れてきてくれないものか⋯。

ああ、ごめんなさい。そんなに見つめないでセルンさん。

目のないあなたの顔怖いです。






という訳であまり周りに変化がなかったのでダイジェスト。

はいカレンダー的にペラペラとまくってどうぞ。


5日目:ついに雨降ったぜひゃっほうっ。

干からびるかと思った。

雨の影響で何か可哀想な死体から黒い液体がこちらに⋯⋯。来ないでくれます?あ、無理?

あれ液体腐ってね⋯?


10日目:1日前に降った雨で水分補給がすんで元気もりもり。今日も一生懸命わさわさしてます。

あと、ちょっとだけ成長した気がします。

え、そんなことはいいから、あの後黒い液体を吸収したのか知りたいって?⋯⋯聞かないでくれますぅ?

少なくとも根腐れとかしてませんよ?


30日目:成長して30cmを超えましたたぶん。

どうやって知ってるのかって、あれですよあれ。

人間と同じくらいの所にある目で見て知ります。あくまでもそんな感じがするだけで、実際に目がついているのかは知りません。

てかついてたらそれ魔物の類じゃないです?


60日目:ついに2m超しましたよ恐らく。着実に伸びてます。

ああ、最近知ったことがあるんですが、私草じゃなくて木っぽいんですよね。

なんか変に体から芽みたいなのが出るなとは思っていたのですが⋯。今はそれも伸びて枝になっています。


100日目:さらに成長を果たしました。体というか幹部分もだいぶ太くなりましたね。

同族達の一部も同じように成長しています。

あの穴だらけだった同族もその一部なのですが⋯。なんかあの方だけ色が赤茶なのが異様です。


150日目:そこそこ立派な木に成長。

今日も元気にわさわ⋯⋯ごめんなさい、ここまでになると枝が同族に当たりますね。控えます。一礼。

あ、気にしないでと小さく枝を振ってくれました。お優しい方。許してくださるんですね。

⋯⋯おや?あなたも動けるんですか⋯?


200日目:またまた成長。同族にぶつからないように小さくわさわさしています。

この行為でレベルが上がるのかは知りませんが、もはや日課ですしね。

と言うかもはや成長しすぎてここから動けない。

当然これまでの間にも根を出して動けるか試したりもしましたが、それは不可能でした。

ここでNPCないし探索者(プレイヤー)を見つめるだけの第2生なのでしょうか。

まあ、同族ともコミュニケーションを取れることが分かり、寂しくは無いのでそうなったらそうなったです。

この先動けるようになるかもしれないですしね。まだ分かりません。

ただ1つ気になること⋯⋯同族よ、あなた達は魔物ですか?


300日目:はい木の完成です。これはもう立派な木と言ってもいいのではないでしょうか。

素晴らしい幹の太さと大きさ。枝に生えた葉っぱ達も成長をわさわさと喜んでくれています。

同族のあなたもおめでとうございます。

え?何にって?成長にですよ?⋯⋯あ、まだ成長するから不要?⋯そうですか、頑張ってくださいね。

ま、私も自分の成長を止められるわけじゃないので、どこまで伸びるのやら。

先に生えていたあの先輩の木よりは小さいですし、あのくらいになるまでは成長するのかな。

ゲームとはいえ人の手が入らないからといって、さすがに無限に成長しますとはならないでしょうし。

ま、大きくなったことで視野が広がったのは嬉しいことです。

さてそろそろ太陽の光(スポットライト)が私に多く当たる時間ですね。

枝を広げていざ日光浴。

ちなみに蜂達は、雀もどきが出てきたことで元の場所へと戻っていきました。セルンヘの怒りは持ったまま。

そのまま間に割り込んだら殺されるのが分かっているので仕方なく。

レイドモンスターの名は伊達じゃない。



〘天候〙

晴れ・曇り・雨・雷雨・雪等、エリアごとに一定時間毎にランダムで変化。

現実と同じく、雨が降っているエリアの隣エリアは曇っているか同じく雨が降っている。



〘家具アイテム:カレンダー〙

技術の発達により誕生したつるりとした滑らかな高品質の紙を使用した、日を知るために作られたアイテム。

月や日付は現実のものとリンクしている。

〘消耗品アイテム:ボールペン〙等で書き込むことが可能。

もちろん破り捨てることも出来る。

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