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どうも、木⋯⋯の妖精です。  作者: 夏巻き
蜂蜜片手に笑うは骸
88/92

己の直感信じて良き相棒見つけるべし。

「町長宅を右か」


道端(みちばた)で広げるのはマラトスの地図。行き先は武器屋と防具屋。

地図に描かれている剣と(よろい)が一つになったマークは、その店で武器と防具の両方を取り扱っていると見る者に知らせてくれている。

(けん)隣には武器屋と鍛冶屋がセットのお店があるみたいだが、先に既製品の商品を見ておきたいのでこちらはあと。


地図を仕舞い飛んで行く。

十字路を右へ進み、町長宅の前を右折。五軒過ぎれば到着。剣と鎧のマークが入るレンガ造りの建物。


「いらっしゃい」


「妖精族か。小さいのはそこにまとめてあるぞ」


「どうも」


ギィッと木製のドアを開け店の中に入ると、50代くらいの男性二人がお出迎え。ショートソードを布で拭き手入れしている口すら隠れる(ひげ)もじゃさんと、カウンターに片肘(かたひじ)をついて頭を支えぼんやりと空中を(なが)めるカイゼル髭さん。


褐色(かっしょく)の肌に福耳、そして整った髭。その特徴はドワーフと呼ばれる種族のものと類似(るいじ)している。

ゲームや漫画に出てくる彼らは、それに加え低身長のずんぐりむっくりという特徴もプラスされるが、この世界(ゲーム)でのドワーフは人間と同じで、身長の高い人がいれば低い人もいて、太っている人がいれば()せている人もいる。


それがドワーフという種族だが、福耳褐色肌の人間族と見た目が似ているため判断がつきづらく種族を間違われることもしばしば。

他のゲームと違って特別ものづくりに特化した種族というわけでもないしね。


ペコリと会釈(えしゃく)し、店員さんに教えられた所へ向かう。示されたテーブルの上には(ふた)がなく高さのない箱が6つ置かれており、それぞれに値段の書かれた紙が貼られている。

一個何マニーと表記されていることから、まとめ売りではないことが(うかが)えた。


3つの箱に武器が並び、1つの箱に武器が乱雑に入れられ、残りの2つに防具が並ぶ。

箱の中から出しては持ち手を握り軽くブンブンと振りお試し。


「これいいな」


その中で手にフィットしズレることのない、あまり重さを感じない一つの武器を見つけた。

およそ15cm程の短刀で、素手で振りやすい使いやすい武器。


人間にしてみれば小さいナイフだが、私にしてみれば身長と同じくらいの業物(わざもの)

片刃でそこまで厚くない刀身、海賊の武器(カットラス)みたいなそれ。輪っかの持ち手も付いている。


「そこまで湾曲してないし⋯⋯うん、使用するのに問題はなさそう」


皆がイメージする、かなり湾曲(わんきょく)した刃先が徐々に大きくなっていくあのカットラスとは少し違う。

刃先は細さをキープ、湾曲もそれほどといった感じ。


「これと、後は⋯」


カットラスと思われる武器の購入は決定。見た目も気に入った。

他にも良い武器はないかと探したが、それ以外に目を引くようなものはなし。防具も鎧ばっかりで欲しいと思うようなものはなかった。


今のところ武器や(こぶし)での近接戦闘をする予定はない。この小さい体では一振で腕や足を断ち切ることはできないし、体格差でゴリ押しも無駄。押し負ける。

武器を購入するのは、懐に潜り込まれたとかMP(魔力)の残量的にしばらく魔法が使えない等といった非常事態の時に取れる選択を増やすためである。


防御面でいえば鎧が最適解だが、背中に穴が空いていないため羽が出せずに飛べなくなるし、仮に穴があったとしても重い防具では移動に支障をきたす。

飛べなくはないがいつもより羽を動かすことになり疲れるし、飛ぶ高度も低くなる。

よって()を使用したものはないかと探していたのだが⋯この店には置いていないみたい。

人間サイズのものならあるんだけどね。残念。


購入するのはカットラスと剥ぎ取り用のナイフ。ナイフは人間サイズと小さい種族用のもので2本。全部で7千5百マニー。

内訳はカットラスが4千マニー、小さいナイフが2千マニー、大きいナイフが1千5百マニー。シンプルなデザインで量産が容易(たやす)い剥ぎ取り用のナイフは安く、ちょっと複雑な形のカットラスは高めの値段となった。

小さいものの方が高いのは、大きいものに比べ作るのが難しいからという理由であろう。






武器屋&防具屋を後にし、向かうは武器屋&鍛冶屋⋯⋯ではなく、先に換金所へ行って本体()の葉っぱを換金。2万3千マニーを手に入れた。


「武器はオッケー。後は防具」


素材はある。欲しい防具がないなら作ってもらえば良いだけだ。

そういうものの、立ち寄った防具屋は今の一軒のみ。もっと他の店を見てから決めた方がいいだろう。


「ここら辺の防具屋巡りするか」


武器屋&防具屋のお隣は武器屋なのでパス。その隣は武器屋&鍛冶屋なのでパス。その隣は飲食店パス。その隣防具屋入る、小さいサイズなしパス。その隣も防具屋、巨人族専門店パス。その隣美容院パス。その隣わらび餅専門店パス。なかなか目当てのものを置いているお店に当たらない。


「やっぱり鍛冶屋か」


行く予定だった武器屋と鍛冶屋が一つになったお店。鍛冶屋は武器や防具を作ってくれる場所。

武器屋と一緒になっているようなので、作るのは武器のみという可能性もあるが行ってみることに。






「いらっしゃいませー。あら、珍しいお客さん」


「こんにちは」


〈URUDO&LEANNA〉という店名を(かか)げるお店に入ると、エルフの女性が挨拶(あいさつ)。耳が細長く先端が(とが)っているので間違いない。


「こんにちは。ゆっくり見ていってくださいね。欲しいものとか探しているものがあったら遠慮(えんりょ)なく呼んでください」


体が小さい種族だからか、大変だろうと親切な言葉をいただいた。

しかし欲しいのは既製品の武器ではなく、オーダーメイド品の防具。欲しいもの探しているものは店内に並べられているものの中には存在しない。


「あの、ここってオーダーメイドの防具は作ってますか?」


「ごめんなさい、うち武器がメインなんです。武器ならオーダーメイド可能なんですけど、防具は専門外で⋯」


なんとなくそうかなと思っていたが当たり。武器屋とセットのお店ならそうだよね。

オーダーメイドの武器を作る時にまた来ますねと言葉を交わし、店の外へ。


「この先に鍛冶屋は一軒、反対側にも一軒。数が少ないな」


地図を見て確認。マラトスの鍛冶屋は三軒だけなのか?

この地図が作られたのがいつの時点か分からないし、売られ始めてから新しく建った所もあるかもしれない。とりあえず現時点で確認できる残り二軒の鍛冶屋を見に行こう。

〘ドワーフ〙

褐色(かっしょく)の肌に福耳、そして整った(ひげ)を持つワイルドな見た目の者が多い種族。

人間族と同じく、身長の高い人がいれば低い人もいるし、太っている人がいれば()せている人もいる。

男性の六割は髭を生やし整え大事にしており、女性の三割も同様。髭を生やしているのは種族の伝統を重んじる50歳以上の者達。若い世代は不潔だと嫌い、ほぼ生やしている人はいない。

獣人族より筋肉がつきやすく腕力に優れ、(こぶし)(あし)による肉弾戦・接近戦が得意。魔法や魔術は不得手、習得(修得)しづらい。

獣人族より長命、ハーフエルフ族より短命。

レア度低めな一般人(NPC)


〘防具屋〙

色々な防具を取り(そろ)え販売を行うお店。

同じ型で造られた防具、既製品や、弟子作の半端(はんぱ)防具等を買うことができる。

皮製や革製、鉄製等のメジャーなものだけでなく、木製やプラスチック製、アメジスト等の宝石を使用した珍しいものもある。

防具とは己の身を守る、武器と同じく少なくない時間を共にする相棒。同じ防具を大切にし使い続けていれば、いいことがある。かもしれない。


〘武器アイテム:小細(こぼそ)いカットラス〙

★★☆☆☆

短い刀身で湾曲した刃を持つ、軽く振り回しやすい武器。

細かい作業が得意なプレイヤー作。小さい種族にも戦闘力をと心を込めて作られたもの。

斬れ味は鋭い、小さいからと侮ることなかれ。

STR(筋力)+5

製作者:神人(しんにん)族の人間族@PURPLEEE


〘アクセサリーアイテム:小細(こぼそ)い湾曲した黒鞘〙

★★☆☆☆

小細(こぼそ)いカットラス用に作られた(さや)

湾曲した刃を持つ剣でも危険なく持ち運べるようにと製作者が苦心しながら完成させたもの。

黒いシンプルな鞘で、上の縁と下の先端部分だけ赤く塗装されている。

鞘にしまったまま相手を殴ることも可能だが、塗料が剥がれることがあるので注意。

DEX(器用さ)+3

製作者:神人(しんにん)族の人間族@PURPLEEE

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