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どうも、木⋯⋯の妖精です。  作者: 夏巻き
御座すはエリアの頂点巨大亀
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羞恥心は遅れてやってくる。

探索者(プレイヤー):サキドリ緑からパーティーへの招待を受けました。承諾しますか?】


チリンと現れた、ウィンドウのはいをタッチ。それが消えると代わりに別のウィンドウ、パーティーメンバーのリストが表示された。サキドリ緑・たけまる・私の順で並んでいる。


「え、ヴェステルさんHP(体力)表示ないんだけど⋯⋯もしかしてバグ?」


「本当だ。MP(魔力)しか表示されてない」


「あー、それ正常です。HPとMPが合体してるんで⋯。そう言うものだと思ってください」


「合体って⋯そういうことあるんだ」


「不思議だけど了解です。戦いに支障がなければそれでいいですし」


取り敢えず納得してもらう。魔力体云々を詳細に話しても別に構わないが、あまり興味を持たれても説明が面倒臭いだけだ。

HPとMPが合体していることだけ伝われば戦闘に支障はあるまい。


「2人は準備出来てる?もう行ける感じ?」


「僕は行けるよ」


どちらも準備は万全か。私も別に大丈夫だ。いつも通り。魔力回復ポーションの類があればもっといいんだろうけど、いつも使ってないし今回も大丈夫だろう。


「私も行けるよ」


「それじゃあ、早速行こうか熊退治」









始まりの町マラトスを出発して5分。現在第1エリアの草原。辺りを警戒しながらも、軽く雑談を交わしながら歩いていた。


「敵さん何も出てこないな」


「いい事じゃないですか。目的地まで安全に行けるなんて」


戦いながら進んで、パラメータ外の気力と体力が奪われた状態で熊に挑むよりはいいんじゃないだろうか。

そう思って発言すると、たけまるさんが何やらチラチラとこちらを見てくる。


「何か気になることでも?」


まさか欲情したとかではあるまい。たけまるさんの中身がどんな人かは知らないが、こんなにも小さい体にそうなるとは思えない。女性の可能性もあるし。

おおよそ顔かどこかに何かが付いていたのだろう。教えてくれると助かります。


「⋯気づいていましたか。チラチラ見てすみません。いや、なんでヴェステルさんから魚の匂いがするのかなと」


「あ、それあたしも思った。なんで血なまぐさい臭いしてんの?」


「え、あぁそういう⋯。来る前に魚を捌いたからですかね」


なるほどその理由で見られてたんか。臭いヤツいたら気になるよねうん。洗い流したつもりだったがまだ臭いますか。

気になって魔力でできた服を掴んで嗅ぐ。

んー、確かに少し臭う⋯か。鼻が臭いに慣れて、あんまり気にならないパターンかも。分体作り直してから来ればよかったな。


「あ、ちょっ。たけまるこっち見んなっ!」


「なんうがっ!?」


変な声が上がったので、服から手を離してそちらを見る。たけまるさん、顔押さえてどうしたの?

首を傾げていると、サキドリ緑さんに詰め寄られ耳元で注意を受ける。


「あんた何やってんのっ。下着見えそうになってたよ!気を付けな!」


「え⋯えっ?あっ、ウン⋯⋯キヲツケマス」


「まったく、のほほんとし過ぎなんだよ。可愛いんだから、そんなんだと変態共に祭り上げられるよ」


「⋯⋯ハイ」


そんなことと言ったらあれだが、確かにまったく気にしていなかった。新しい体はそこそこ珍しくただでさえ注目を浴びるのに、それに踏まえ少女の見た目。確かに自覚が足りない。

ほぼ常に飛んでいる故、下から誰かに見上げられると見えてしまう問題もあるが、大人の視線の高さくらいでいつも飛んでいるので、見上げるであろう対象は子供だけ。

とはいえ今は女性体。気を付けるところは気を付けて、直していかないとな⋯。




♢♢♢♢♢




項垂れた妖精を見て理解したと思ったサキドリ緑は、タケマルの肩を叩く。


「叩いてごめん。たけまるが変態になるかどうかの瀬戸際だったんだ」


「え?何それ、僕が変態に?⋯⋯なんかよく分からないけど、ありがとう?」


「どういたしまして」


反応的にたけまるは見ていない。守れて良かった。

それにしても、ヴェステルさん何であんなに無防備なんだろう。恥ずかしげもなく胸の部分を掴んで持ち上げるなんて⋯。

魚臭いとか血なまぐさいとか言っちゃったから、臭いを嗅ぐために?いやだとしても、そのまま持ち上げたら下着が見えることになるのは気がつくよね。天然さん?




♢♢♢♢♢




なぜ急にビンタをされたのかとか、何が変態になる瀬戸際なんだとか、何が何だかさっぱり分からないが、とりあえず僕がそうなるのを阻止してくれたようなのでお礼を言った。

ビンタというか張り手?はすごく優しかったしヒリヒリもしてないから、別に怒りはしない。


「それで⋯その、かなり臭いますか⋯?」


「いや、そんなことないよ。ね、たけまる」


どうやら臭うかどうかが気になるらしいヴェステルさん。しかし臭うと言っても、魚屋さんにいる時のようなそんな臭い。神経質になるほどの臭いじゃない。


「魚屋にいる時みたいなそんな臭いですし、大丈夫ですよ」


「おいっ、デリカシー!」


どうやら伝え方が悪かったようだ。緑に怒られてしまった。


「あ、えっと、この後モンスター討伐で汗とかかくので、どの道と言いますか。気にしなくていいってことです」


このゲームのすごいところは、出来る限りリアルを再現しようとすることだ。

動けば汗をかくし泣けば涙が出る、お腹も空くし生理現象も起きる。さすがに女性の月のモノや男性のソレは再現されていないみたいだが。

それでも子供はできる。行為を行ったという事実そのものが大事なのだろうということらしい。掲示板にそう書かれているのを見た。


と話がそれた。

つまり、食事もトイレもお風呂もただのフレーバーではないということだ。

現実世界でその全てを行ったからと言って、ゲーム世界へそれが引き継がれるということはない。お風呂に入らない生活をしていれば、不潔なエフェクトが発生してハエもブンブンと現れるのだとか。

幸いログアウト中は自身のアバターの時間が停止するので、その間は何日経とうが臭くなることはない。


一日中動いていれば臭くなるのは当然。仕方のないことなのだから、そこまで気にする程ではない。指摘したくなるような悪臭を放つならば別だが。ヴェステルさんはそうではないし。

もしや魚屋のような臭いって言っちゃったから気にしてるのか?単純に気になっただけなんだけど⋯。デリカシーに欠けたのか。


「⋯そうですね。気にはなりますが、気にしないことにします」


「たけまるがデリカシーなくてごめんな」


「それはごめんなさい」

〘ステップアップシステム〙

職業を次の段階へと進めるためのシステム。

初期職の探索者から次の一次職になるためには、それぞれの職業に課された条件をクリアすることでなることが出来る。

初期職の探索者では、基本となるものしか学ぶことができない。レベルが上がれば学べることも増えるが、覚えられるのは基本のことだけ。

一次職は、それぞれの職業専門のものを学ぶことができる。こちらもレベルが上がれば学べることが多くなる。

二次職、三次職、四次職⋯⋯と同じ内容。

それ以外にも報酬によって特殊な職業に就けたり、魔法等を覚えることもできる。


〘エフェクト:不潔臭〙

何日も体を洗わなかったりと不潔な状態が続くと発生するエフェクト。

体の周りに薄茶色の煙が発生し、ハエも湧く。周囲に臭いを放つので、NPCからも避けられることに⋯。

解除方法は、お風呂に入る等をして清潔な状態にすること。

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