第十六話 世界大戦は突然に
退路を自ら断つとき、人はより容易に、より勇敢に戦う。
弱者に従って行くよりも、強者に引っ張って行ってもらいたい。大衆とはそのように怠惰で無責任な存在である。ーAdolf Hitler
「我々の祖国は引き裂かれた。もう一度言おう。我々の愛した祖国は共産主義によって分裂させられたのだ。しかし、我々はここに立ち上がった。もはやこれ以上、裂け目を大きく、長くする訳にはいかない!裂け目を作り、広げたのは!醜き共産主義者であり、ソ連という国なのだ!民よ!武器を持て!立ち上がれ!祖国を統一し!偉大なドイツを解放する時が来たのだ!米英もこの作戦を支持している!神聖なるドイツの土地から汚い盗人共を追い出すのだ!」
良く言えば、祖国奪還戦争。悪く言えば、第三次世界大戦の前哨戦。今、東西ドイツ国境にて戦いの幕は上がった。
レーマー率いる民兵軍と西ドイツ軍、米軍は共同で東ドイツ国境の突破に成功。レーマーの軍隊は朝鮮戦争で余ったM1ガーランドを全員装備しており、かなり近代的な装備であった。一方の東ドイツ軍もシュタージ・元シュタージであった人物などを重点的に徴兵を開始し、ソ連製のPPSh-41などで西側陣営に激しい抵抗をし、現在軍によって包囲している西ベルリンを陥落させようと攻勢を強めていく。第二次世界大戦の敗戦国であり、超大国の都合によって国土を二つに分割されたドイツの地で米ソの武器を持った軍同士が衝突することは、まさしく冷戦という時代を象徴しているかのようであった。一方、制空権は完全に米軍が掌握しており、西側陣営が少しずつ、しかし確実に戦線を押し上げていく。さらに米軍は西ベルリンに空挺師団を派遣。ちなみにこの世界線では既にベルリンの壁が建築されている。米軍空挺師団は西ベルリンの陥落を阻止し、ベルリンを丸々占領する構えを見せる。しかし、西ベルリンと東ベルリンは地下鉄で繋がっており、東ドイツ軍とシュタージが地下から西ベルリンの侵入に成功する。米軍はこれをなんとか撃退するものの、ベルリンの地下での激しい戦闘はしばらく続くことになる。
このままだと東ドイツが陥落するという危機を感じたソ連軍は、T-54とT-55で構成された四個の戦車師団と十四個の歩兵師団を戦闘には加わらないものの、東ドイツとポーランドの国境に派遣し、西側諸国に大きな圧力をかける。さらには米ソ両国共に部分動員を開始し、世界は第三次世界大戦に着々と突き進んでいく。
しかしここで第三次世界大戦の偶発的な開始を防ぐために、国連の安全保障理事会で東西ドイツの統合のために協議が行われた。アメリカは西ドイツが東ドイツを吸収する形でのドイツの統一という案を出すが、これは東側陣営からしたら共産主義政権のラインが一段下がることと、冷戦にて東側陣営が不利になっていることを意味しており、到底認められるものではなかった。そのため、この決議はソ連が拒否権を行使し、不成立に終わった。そこで、アメリカはなお食い下がり西ドイツと東ドイツからの米ソ両軍撤兵案を出す。ひとまず、米ソ両軍の衝突を避け、世界大戦を防ぐという最低限の目標を達するための妥協案であった。米英仏中(中華民国)は賛成、ソ連が棄権したことでこの決議は成立することとなった。この決議を受けて、米軍は西ドイツから撤退し、ドイツでの戦闘は、西ドイツ軍+民兵軍対東ドイツ軍とシュタージという構図となる。そして米軍が撤退したことにより、西ベルリンは窮地に追い込まれることになる。
遅くなったのと、ちょっと短めでごめん。次話なるべく早く投稿します。
ブックマークと高評価をしていただけると執筆の励みになります!




