夕焼けのまんなかで、今日も君と。
『急いでるから』そう言い訳して私は足を速める。
君は理由も求めず私を見送る。
ただ、いつものように、大きな笑顔で。
明るくて暖かい、その気配。
逃げるように私は背を向ける。
ときに暑苦しく、ときに慕わしい、君。
今日は、後者、私の頬は言うけれど
私は
私は逃げた。
だって違うのだもの。
今の私は笑えない。
いつかのようにのんびりと君と
暮れゆくときを楽しめない。
胸の内はうっそうとして
その奥に『わたし』はいて
いまは、手を引かれたくない
笑うのは、元気を出すのは、明日かそれ以降にしたい。
目を伏せて
クールなふりして
逃げる私の
背中にぽん と
暖かさがふれた。
ふり返るとそこには
いつもの君が。
まっかな夕焼けのまんなかで、
さりげなく、またねと手をふる、
笑顔の君が、いてくれた。