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ある日、僕は森で捨てられて魔女に拾われる。 〜両親に捨てられたけど、綺麗なお姉さんと過ごせて幸せです〜

作者: 愚弟

息抜きで書きました。よろしくお願いします!

あんまり恋愛要素は無いんですけど異世界恋愛のジャンルにした方が良いのか2秒くらい迷いました。

 ヒューリが赤ん坊の頃、ヒューリの両親は森の奥まで来ていた。


「オギャア!オギャァァ!」


「ヒューリ、本当にすまない。こんな父親だが愛している‥‥」


「ごめんね、ヒューリ。ごめんねぇ‥‥」


「さよなら‥‥ヒューリ。こんな親でごめんな。ここならモンスターもあまりいない。強く生きてくれ‥‥せめて良い人に拾われると良いんだが‥‥」


 そう言いヒューリの両親は、赤ん坊のヒューリを森に捨ててどこかへ去って行った。


「オギャァア!オギャァァ!!」


「あら?こんな所に赤ん坊が捨てられているわ。可哀想に‥‥お姉さんの所に来る?」


 赤ん坊を抱いた少し背が高めで、透き通った銀髪の女性はリオ・マリベル。人々から恐れられている大罪の魔女の1人、傲慢のリオと呼ばれている。

 恐れられている理由は、自分のやった事がどんどん誇張され、噂が広まったせいだ。リオは人々を怖がらせないよう森の奥地で暮らしていた。


「オギャァ」


「ほらほら、泣き止んでね。この紙は‥‥?成る程ね‥‥貴方の両親も大変ね。今日からヒューリ・マリベルとして生きていきなさい」


 両親に捨てられ、ヒューリがリオ・マリベルに拾われて10年が経った。


「リオさん、おはよう!」


「おはよう、ヒューリ。今日も元気ね」


「リオさんのおかげだよ!」


 ヒューリはリオに拾われ、同年代の子よりも逞しく育っていた。


「良い子に育ってくれて嬉しいわ。私が育てたからかしらね!」


「そうだよ!流石リオさん!」


「もっと褒めて!!」


 リオが何かを言うたびに、ヒューリがそれを褒めるというのが日課になっていた。


「ん〜!今日も美味しかったわ。ごちそうさま」


「ごちそうさまでした。美味しく作れて良かったよ」


 マリベル家では、基本的にヒューリが全ての家事を担当している。リオもやろうとしたのだが、ヒューリが拾ってくれた恩があるからやらせて欲しいと頼んだのだ。


「ヒューリ、今日は街に行くわよ〜」


「本当!?やったー!初めての街だ!楽しみだな〜」


 ヒューリとリオは森の奥地で過ごしていて、食材などは森で調達し自給自足をしている為めったに街に出ることは無かった。

 リオは、自分の正体がバレないように黒いローブを着た。


「絶対に私から離れたらダメよ?」


「うん、わかった!」


「良い子ね、それじゃあ私に捕まって」


「はーい」


「テレポート」


 リオが詠唱をした瞬間、2人があっという間に消えた。テレポートした先は、街から徒歩10分程離れた場所だ。


「少し歩いたら街に着くから、それまで歩きながら景色でも楽しみましょうか」


「ありがとう!わ〜!あれが街か〜大きい建物が沢山あるね!」


「あそこはヴァルテンシュルク。ここら辺の街で1番大きいんじゃないかしら。大きい分、色々なお店があるからゆっくり見て周りましょう」


「うん、早く街の中を見たいな〜」


(はぁ〜可愛すぎるわ。危ないからなるべく街に来させたくなかったんだけどヒューリも大きくなって強くなったし、大丈夫だと思って街に来させたけどやっぱり不安だわ。ヒューリに変なことをする人がいたらその時は排除しないと!)


 リオが物騒なことを考えている間に2人は街に着いた。


「リオさん!あそこのお店は何をしているの?」


「あそこは魔道具を作っているのよ。よく私も作っているでしょ?まあ、私の方が凄いのを作れるけどね!」


「そうなんだ!確かにリオさんの作る魔道具は凄いやつばかりだもんね!」


「でしょでしょ〜!ヒューリはわかってるわね!」


「ずっと2人で過ごしてきたからね!」


「ふふっ、もう10年も一緒にいるもんね〜」


 ヒューリとリオは少し街を見た後、買い物を済ませ、適当な店に入りご飯を食べていた。


「店の味付けってちょっと濃いんだね」


「そうね。ヒューリの味付けも好きだけど、店の料理をたまに食べるのも悪く無いわ」


「今度は少し濃いめに作ってみるよ。それにしても、このジャイアントオークの肉は全く臭みがないね。少しだけオイシゲソウの香りがするから、それで臭いを消してるのかな?今度試してみよっと」


「あら、そうなのね。楽しみにしてるわ」


(こ、この坊主っ!少し食べただけでオイシゲソウの臭い消しに気づいただと!?お、恐ろしい奴っ!)


 店主が驚愕しているのに気付かずに黙々と料理を食べる2人であった。

 料理を食べ終わり、2人は広場に来た。


「ヒューリ、私はトイレに行ってくるからここから動いたらダメよ?知らない人に付いて行かないこと。わかった?」


「うん、ここで待ってるね」


「お願いね、それじゃあ行ってくるわ」


(あぁぁ心配だわ!直ぐに済ませてヒューリの所に行かないと!)


 リオが離れた後、ヒューリは迷子の子供を見つけてしまった。


「ママァ〜どこ〜」


(ど、どうしよう。助けてあげたいけどリオさんから離れたらダメって言われてるし‥‥‥取りあえすあの子をここに連れてきて、リオさんが来るのを待とうかな。うん、それなら問題ない!)


 ヒューリが迷子になっていた子供の所に行こうとすると、迷子の子が少しガラの悪い2人組の男に絡まれていた。


「おい嬢ちゃん!てめえの鼻水で俺のズボンが汚れちまったじゃねえか!」


「ご、ごめんなしゃい‥‥‥」


「どう責任取ってもらおうかなぁ!」


「取り敢えずこっちに来いや!!」


「い、痛いよ〜!誰か助けてぇ!」


 小さな子供が男に連れ去られようとしても、街の人々は面倒ごとに巻き込まれたくない為、誰も助けに行こうとしなかった。

 ヒューリは少しだけ悲しい気持ちになったが、切り替えて男の元に行った。


「あの、この子泣いてますよ?ズボンが汚れただけならまた洗えば良いじゃ無いですか」


 ヒューリは子供の手を掴んでいた、男の手を捻り説得する。


「いててててて、何だてめえは!関係ねえだろ!」


「調子に乗ってっとやっちまうぞ!!」


「何をやるのかは分からないですけど、弱いもの虐めは良くないかと。相手は小さい子供なんですよ?恥ずかしくないんですか?」


 ヒューリは小さい子供を自分の後ろに隠すよう誘導する。


「んだとコラァ!舐めやがってぇ!」


 もう1人の男が殴ろうとするが、ヒューリは掴んでいた手を離してカウンターで鳩尾に加減したパンチを放った。


「うっ!オェェェ」


「い、今何をしやがった!」


「何って‥‥ただ鳩尾にパンチをしただけですけど。ちゃんと加減はしましたよ」


 ヒューリはリオの特訓により、並の大人では絶対に勝てない位強くなっていた。


「お兄ちゃんすごーい!」


「ありがと。それと、僕の名前はヒューリって言うんだ。よろしくね。危ないから下がっててくれる?」


「うん!」


(く、くそ!めちゃくちゃ強いじゃねえか!逃げるしかねえな。‥‥!良いタイミングで帰ってきやがった!)


「何をニヤニヤしてるんですか?おかしな事でもありました?」


「いや、良い事があってな!」


「ヒューリお兄ちゃん!後ろ!!」


「え?」


 ガン!

 瞬間、ヒューリは後頭部に強い衝撃が走り倒れてしまう。


(な、何だ!?仲間がもう1人いたのか!僕とした事が‥‥マズい‥‥意識‥‥が‥‥)


「良くやった!助かったぜ」


「気絶させちまったけど、コイツはどうするんだ?」


「取り敢えずいつも使っている小屋まで運ぶぞ。ガキは放っておけ」


「おう」


 ヒューリは3人組の男に何処かへ連れ去られて行った。


「ど、どうしよう。ヒューリお兄ちゃんが連れて行かれちゃった‥‥‥」





 その頃、リオはトイレから戻ってきたが、ヒューリがいなくて焦っていた。


「ヒューリがいない!どうしよう、迷子かな〜!変な人に絡まれてなければ良いけど‥‥心配すぎて脳が破裂しそうだわ‥‥‥」


 ヒューリが心配すぎて挙動不審になっているリオに、爽やかな青年が話しかけてきた。


「ねえ、お姉さん。暇だったら俺とお茶しない?良い店を知ってるんだ」


「は、消えてくれない?今とても機嫌が悪いの」


 リオは冷たく接するが、青年は構わずに話を続ける。メンタルが強い。


「照れ屋さんかな?そう言わずに行こうよ。そして顔を見せてくれないかい?良いだろ?」


 男がリオのフードに触れようとした瞬間。


「チッ、スタン」


 バチッ!!

 男の手に強い電流が流れた。


「痛っ!」


 全てを凍てつかせるような声でリオが喋る。


「私に触って良いのは、私が心を開いた人だけなの。次は無いわよ?」


「ひ、ひぃぃ!すみませんでしたぁぁぁ」


 リオに圧をかけられ、男は情けなく逃げて行った。


「はぁ‥‥ヒューリは何処なのよ〜」


「あ、あの!」


「なにっ!」


「ひっ。ご、ごめんな‥‥さい‥‥グスン」


「あっ、ご、ごめんね!?ちょっとイライラしちゃってて、泣かせるつもりはなかったの!本当にごめんね!?」


「グスン‥‥うん」


 リオに話しかけたのは、先程ヒューリが助けた迷子だった。


「どうしたの?何かあった?」


「う、うん。あのね、お姉ちゃんがヒューリっt」


「ヒューリ!?君、ヒューリを知ってるの!?」


「ヒェッ」


「あっ、ご、ごめんね。続きを話してくれる?」


「さ、さっきそこのお店の前で、2人組の大人の人に虐められてたのをヒューリお兄ちゃんが助けてくれたの!」


「さっすがヒューリね!良い子だわ〜」


(そこのお店か‥‥ヒューリに待つように言った場所に近いし、子供を助ける紳士っぷりはヒューリ確定ね。うん。間違いないわ!)


 ヒューリと確定できる情報材料が少ないのに、ヒューリと決めつけるポンコツであった。


「それでね‥‥後ろから来た男の人に気づかないで、頭を殴られてどこかに連れて行かれちゃった‥‥‥」


「え‥‥‥も、もう一回言ってくれるかな?」


「後ろから来た男の人に気づかないで、頭を殴られて連れてかれちゃったの」


「う、嘘でしょ‥‥‥」


「ほ、本当だよ!」


(そ、その3人組は絶対に殺す!でも居場所が分からないわね。どうしようかしら。早く助けに行きたいのにっ)


「ねえ、ヒューリがどっちの方に連れて行かれたかわかるかな?」


「え〜っとね、あっち!小屋に行くとか言ってたよ!」


「ありがとう!凄く助かったわ!」


「本当〜?ヒューリお兄ちゃんを助けてくれる?」


 リオは力強い声で約束した。


「ええ、必ず助けるわ。所で君は何で一人なの?お母さんかお父さんは?」


「おかーさん‥‥見つからないの‥‥」


「あら、迷子だったのね。お姉さんが連れて行ってあげる」


「本当!?」


「ええ、ヒューリの事を教えてくれたお礼よ。お母さんの事を強く思っててね?」


「うん!」


 テレポートは、移動する対象が行った事がある場所なら、ある程度の距離を転移できる。また、会いたい人物を思い浮かべば一度行った場所ならその人物の元に転移可能だ。


(きっと母親はこの子と一緒にいた場所を探しているはず。多分大丈夫ね)


「テレポート」


 2人が一瞬で消え、迷子の母親だと思われる女性の目の前に現れた。


「キャッ!ミ、ミーナ!何処へ行ってたの?心配したのよ!?」


「ごめんなさい‥‥お姉ちゃんが送ってくれたの!」


「すみません!うちの子がお世話になって!ありがとうございます!」


「いえいえ、どういたしまして」


「所でお姉ちゃんの名前は何て言うの〜?」


「私の名前はリオ・マリベル。人々は私の事を魔女というわ。今度はお母さんと離れたらダメよ?」


「カッコいい〜!うん、約束する!バイバイ、魔女のお姉ちゃん!」


「ふふ、可愛い子ね。バイバイ」


「ありがとうございました!」


「ありがと〜〜!!」


(ヒューリ以外に感謝されるのはいつぶりかしら。やっぱり感謝されると嬉しいものね)


 リオは感情に浸かりながらヒューリの元へ向かった。


「待っててね、ヒューリ!今行くわ!」


 リオがヒューリの元へ行こうとしている時、ヒューリは枷を付けられて身動きが取れなくなっていた。


(ん‥‥僕は、一体何を‥‥ハッ!意識を失っていたのか!くっ、まだ魔法の威力を調整出来ないから、枷を壊そうとしたら僕の手足も大変なことになりそうだ。枷は壊せそうにないな)


「おっ、坊主が起きたみたいだぜ」


「やっと起きたのか!じっくり痛ぶってやるよ!オラァ!」


「ぐあっ!!」


「調子に乗りやがって!オラッオラッ」


「ぐっ!ゲホッゲホッ」


「てめえみたいな偽善者を見てると苛つくんだよ!このボケカスが!」


 3人組は、ヒューリが動けないのをいい事に何十発、いや何百発も無抵抗のヒューリを殴り続けた。

 ヒューリは全身打撲だらけで出血が止まらなくなっていた。


(あ‥‥意識が‥飛び‥そうだ‥‥ごめ‥ん‥リオさ‥‥ん)


 ヒューリの意識が飛びかけたその時、小屋の扉が勢いよく開いた。


「ヒューリ!!大丈‥‥‥」


 扉を開けたらヒューリがボロボロになっていている光景を見てリオは絶句し、嫌悪、怒り、心配が混ざって心情が穏やかじゃなくなっていた。


「何だてめえは!」


「このクソガキの知り合いか!」


「リ‥‥オ‥さん‥」


「お前は黙ってろ!」


「うっ」


 男はヒューリを黙らせる為に顔面を踏み躙る。が、その軽率な行動がリオの逆鱗に触れてしまった。


「ゴミが‥‥今すぐその汚い足を退けなさい」


「あぁ!?嫌に決まってんだろ!」


「今なら半殺しで済ませてあげる。もう一度言うわ。その汚い足を退けなさい」


「何でそんなに強気なのか不思議だぜ!その傲慢さ、いつか自分の身を滅ぼすぜ!なぁ!」


「グァァァ!」


「良い声出すじゃねえか!楽しすぎて顔の上でタップダンスでもしちゃいそうだぜ!」


 男は、リオの忠告を無視してグリグリと顔面を踏み躙り続けた。


「ヒャハハハッ!お前最高のクズだな!」


「だろ?おいお前!その声色的に女だろ!今ならたっぷり可愛がってやるよ!」


「皆で楽しもうぜ!」


「‥‥もう許さないわよ。アクアボール」


「へ?ぐふぇぇ!!」


 ガッシャーーン!!

 激しく渦巻いた水の塊が、ヒューリの顔面を踏んでいた男に当たり、勢いよく吹き飛んだ。

 かなりの威力だった為、男の顔面は出血が酷く、顔面がぐちゃぐちゃになり無惨な姿となっていた。


「なっ!この女、魔法が使えるのか!」


「お、おい!ヤベエぞ!」


「ヒールボール」


 リオから放たれた、黄金色の淡い光が男の隣を通過した。


「おいおい、何処を狙ってんだ?」


「さっきのはまぐれか?」


「リオさんに限ってそんな事は無いですよ」


「じゃあ何で今外したんだよ‥‥って」


「「え?」」


 男達が振り向くと、そこには先程まで瀕死だったヒューリが立っていた。


「さっきはどうも!アクアボール!」


「お前も魔法をっ!ぐぁぁ!」


 男は、ヒューリのアクアボールを近距離で喰らってしまった。

 先程のリオが放ったアクアボールよりも威力は低いが、男を気絶させるには十分だった。


「何でお前ピンピンしているんだ!?」


「さっきリオさんがヒールボールで回復させてくれたんです。ありがとう、リオさん!」


 リオが外したと思われたヒールボールは、ヒューリを回復させる為だったのだ。


「どういたしまして。さっさと片付けて家に帰りましょ?」


 そう言いリオは暑くなったせいかフードを外した。


「うん!」


「なっ、その銀髪‥‥リオって名前。お前、もしかして傲慢の魔女か!」


「だったら何?」


「大罪の魔女がぁぁぁ!!死ねええ

 !!!」


 男が発狂し、リオに殴りかかろうとするが。


「リオさんを傷つけるな!アクアボォォル!!」


「ぐへぇぇ!!く、くそ‥‥‥」


「ありがとうヒューリ。助かったわ」


 リオはヒューリを抱きしめる。


「ううん。助けられたのは僕の方だよ。ごめんね、約束を破っちゃって」


「ヒューリが助けた迷子の子から事情は聞いたわ。仕方のないことよ」


「あっ、そうだ!あの子供はどうなったの!?」


「安心して、お母さんの所へ連れて行ったわ」


「良かった〜。ありがとうリオさん!所で何でこの場所がわかったの?」


「迷子の子が小屋に連れて行かれたって教えてくれてね、空を飛んで上から探したのよ」


「そうだったんだ!今度お礼を言わないとな〜」


「ふふっ、そうね。それよりもさっきの男の発言なんだけど‥‥」


「ん?何のこと?」


 リオはヒューリが助かって、安心したが実は焦っていた。今まで、ヒューリに自分が大罪の魔女と呼ばれているのを、嫌われるのが怖くて教えていなかったのだ。


(ど、どうしよう。ヒューリに嫌われちゃうかしら‥‥もし失望されて家を出て行ったら‥‥そ、そんなの嫌よ!考えるのよリオ・マリベル!私なら出来るわ。何とかなる!)


「そ、その。私が傲慢の魔女って呼ばれてたじゃない‥‥‥?」


(?傲慢の魔女って言われているのを気にしてたのかな?もうカーナさんから聞いているんだけどな)


「ああ、その事だったの?知ってたよ」


「‥‥‥」


「‥‥‥」


 さらっとリオにとって大事なことを言うヒューリ。しかし、リオは焦りすぎていて考えことをしており、しばし静寂が流れた。


(何をやっているの私!このままじゃマズいわ!言い訳をしなきゃ!言い訳なんてするだけ特なんだから!‥‥‥ん?今なんて言った?)


「え?も、もう一度言ってくれるかしら?」


「だからリオさんが傲慢の魔女って呼ばれているのを知ってるよ?」


「な、何で!?私言ってないよね!?」


「リオさんが家にいない間に、カーナさんが来て色々教えてもらった!」


 ヒューリがカーナと呼んだ人は、リオと同じく大罪の魔女の1人で色欲の魔女、カーナ・ソレイユ。

 カーナはリオに用事があって家に来たのだが肝心のリオがいなく、帰ろうとした際に食材集めから帰ってきたヒューリと出会い、そのまま仲良くなっていた。

 その後、カーナはリオがいない間にちょくちょくヒューリに会いに遊びに来ていたのだ。


「え!?いつの間にカーナと仲良くなっていたの!?」


「2、3ヶ月前にリオさんに用事があるって言って家に来た時かな〜」


「家に来たの!?カーナに何もされて無い!?大丈夫だった?」


「うん!優しくしてくれたよ」


「な、なら良かったけど‥‥‥」


(あ、あの女ぁぁ!今度あった時ただじゃおかないんだから!余計なことは言ってないわよね!?)


「僕はリオさんが傲慢の魔女って呼ばれてても気にしないよ?リオさんの事は大好きだし」


「ヒュ、ヒューリィィ。私も大好きよっ」


 リオは抱きしめていた力を強くする。


「ははっ、リオさん苦しいよ〜。たまに甘えてくるリオさんも、子供っぽい所を直したくて自分の事を出来るだけお姉さんって言ってるのも可愛いと思う!」


「な!」


(カァァナァァァァ!!!!恥ずかしいことを暴露したわね!許さないんだから!!)



 ーーー


「クシュン!あら、風邪かしら?それともリオ当たりが噂をしているのかな?そろそろヒューリ君にも会いたくなって来たし、リオの家に行こうかしら。リオったらヒューリ君に会わせたくないから家に来たらダメなんて可愛い子なんだから♪」


 ーーー



「ハァ、色々聞きたいこともあるけどそろそろ帰りましょうか。ヒールボール」


 リオは帰る前にアクアボールで顔面がグチャグチャになった男を治す。


(ふふ、やっぱりリオさんは優しいな。それに強い。僕もいつかリオさんを守れるくらいに強くなりたいな。帰ったらトレーニングでもしよっと)


「ヒューリったら何ニヤニヤしてるの?」


「何でもない!僕、強くなるよ!」


「急にどうしたの?まあヒューリなら直ぐに強くなれるわ。この私が鍛えてるんだからね!」


「そうだね!帰ったら頑張るぞ〜!」


「その前に晩御飯を食べましょ。テレポート」


 景色が変わりあまり物がないが、どこか落ち着いた雰囲気をした我が家に帰ってきた。


「今日の晩飯は店で食べたジャイアントオークを再現してみるよ!」


「あら、お姉さんの舌を満足させられるかな〜?」


「任せて!じゃあ作ってくるね」


「楽しみにしてるわ〜」


(お母さん、お父さん。僕は捨てられちゃったけど、今は綺麗なお姉さんに拾われて幸せだよ。この平和な日常がいつまでも続くと良いな‥‥‥)



 森で拾われたヒューリと、傲慢の魔女と呼ばれているリオは、今後様々なトラブルに巻き込まれるが2人で乗り越え、幸せな日々を過ごした。


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