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魔女と騎士と門番……あと生首


「やあ、門番君。深淵の魔女様のお帰りだぞ!」

「ああ……インチキ嬢ちゃんか。それと……謹慎中の坊ちゃんか。お帰り」


 門番の男は随分と無愛想な応対だ。エルナだけで無く、ガレス青年にも対応を変えない。


「ククク……僕の事をインチキだと呼べるのは今日までだ!明日には僕の名が世界に轟くことになるぞ。どうだ、サインをねだるなら今のうちだぞ?」


 どうやら彼女の方は全く堪えていないようだ。門番とガレス青年、二人の呆れている表情が幌越しにも見える。


「……坊ちゃんは毎日、コイツの相手をしていて疲れないのか?」

「まあ、社会奉仕の一環だと思えば……」

「おう、人を道端のゴミ拾いと同列に語るなんて良い度胸じゃ無いか」


 門番の男も慣れているのか、ガレス青年が彼女を抑えている間に「一応、荷台の中身を確認させてもらうぜ」と幌を剥がした。


「……うげぇ、また死体かよ嬢ちゃん。深淵の魔女だか知らないが、ほどほどにな」


 中身が死体ということもあってか、男はろくに中を確認しないで戻っていった。……正直、油断していたので危なかった。咄嗟に言われたとおりの方法を実践したが、果たしてそれっぽくなっていたか自信は無い。まあ、結果オーライ、という奴だ。荷馬車は再び軋みを上げて進み始めた。


―――――


「……ふぅ。坊ちゃんも大変だな。あんな小娘に振り回されて」


 検閲を終えた門番が、隣に立っていたもう一人の門番に話しかけた。


「まあ、自分で蒔いた種であることはこの街の奴なら皆、知っていることですからね。仕方ありませんよ」


 もう一人の門番もおどけたように肩をすくめて見せた。


「僕なら絶対に耐えられないですね。あの荷台の死体みたいになっちまいますよ」

「そうなんだよ。実はあの死体の山の中に一つ、えらく間抜けな顔した死体があってな……あの嬢ちゃんと同じふざけた奴が隠れていると思ったんだが、そいつは首だけでな……」


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