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3

しばらくそのまま哲平とじゃれているとドアがノックされる音がした。三回のノックに俺と哲平は顔を見合わせる。


基本的にお互いに友達がいない同士なのでこの部屋に誰かが来ることはまずない。


「あ?誰だろ」


「いーからさっさと出ていかんかお、前、わ!!」


「いたたたたっDV反対よあなたぁあ!」


「俺のDVは愛だから受け止めろおまえ」



いらねーよそんな愛、ゴミ箱に捨てるどころかドブに流すわ。めがねめがね、と眼鏡をつけてくしゃ、となった髪を戻すと笑顔を浮かべて出た。


「はいはーい、あれ…見上君?」


ドアを開けるとすぐそこにいたのかゴッ、と音をたてて見上君の顔面にドアがぶつかった。


(うわーやっぱ見上君超面白い、、二回目なのに学習能力0じゃん可愛いー。)



ぷるぷると痛みにふるえている見上君は容姿だけなら愛らしすぎる。

ふわふわの髪とか大きな目とか、すげー可愛いんだけど。


「どうしたの?」


「あっ、あのねっ、猫田君途中で見失っちゃったから…それにあの…ノート、今日授業出てなかったか、、」


「小豆、誰?」


少し猫背で屈んでいた俺。

ひょこ、と俺の頭の上から頭を出す哲平。

見上君が一瞬驚いたような顔をして固まると、瞬時にメラッと目に炎を燃えさせた。


「三山君…君も一緒に猫田君とさぼっていたの?」


ぐるるるる、と威嚇するような見上君。

駄目だよそれ、怖くねーし。

見上君が可愛い小型犬なら哲平は……狼?


狼って似合わねー、なんて思いながら内心笑っていると哲平が軽くめんどくさそうに答えた。


「さぼりっつか、、まあ寝てた」


「二人で!?」


「膝枕」


「ひっ膝枕ぁあああ!?!?」


しれ、と答える哲平に俺はちら、と視線を合わせると「なんだよ」なんて目で見返される。挑発してやんなよ可哀想だな、、なんて。


それよりさっきから見上君の視線が痛い。

俺の太股がん見なんだけど絶対変な想像してるよね、俺の太股で膝枕じゃないからね見上君。


哲平の太股で膝枕だからね。



(あれ?でも学校でもキャラだと俺が膝枕される方だとおかしいのか?俺が膝枕かー…まあ、、やるつもりは微塵もないんだけど。)


足がしびれるよね。

てゆか何この図、これもなんか前にいったような気がするけど。

男二人に挟まれる俺って……痴話喧嘩みたいじゃない?



「で、見上君ノートがどうしたのかな?」


「あっ、えっとね、授業出てないからノート必要かなって思って…僕のノート貸してあげる、猫田君に」


「わぁ、ありがとう!三山君と僕で写し終わったら明日返すね」


「あ、え、う、うん」


えっ三山もかよ…みたいな視線を俺と哲平にちらちら送っている見上君に微笑んで柔らかな髪を撫でた。

びくっ、と見上君の体が跳ねる。


「あ、嫌だった?ごめんね」


咄嗟に引こうとした手、だけど見上君が違う、と叫んだのでそっか、とだけ返した。


今の声一瞬だけど普通に低い男の声だったよねー、ちゃんと低い声出るんじゃない。

俺はキンキン耳に響くソプラノって嫌いだから。


「じゃぁ遠慮なく借りておくよ、ありがとう」


そういってバタン、とドアを閉めようとすれば。


「まままま待って!!」


がんっ、と中に足を入れられた。

思い切りドアをしめていないけど…痛い事に変わりはないだろう。


哲平がうざそうに見上君を見ている。

こらこら止めなさいな、俺は面白いんだから。



「あっ、後で一緒に食堂でご飯食べないかな!?」


「ん?誘ってくれてるの?嬉しいな、よろこんで」


後ろからもふぁぁぁああっ、と「お前何言ってんだコラ」という何かが出ているけど。

いいじゃないたまには、ねぇ。


じゃあ後でメールしてね、と言ってドアを閉める。見上君のきらきらした嬉しそうな顔といったらまぁ。


「お前いつの間にあんな好かれてんだよ」


「お?好かれて、ねぇ…優しい猫田君は色々受けがいいみたいで」


「自覚ありか、性質悪いなほんと」


「誘惑してるみたいな言い方しないでください~、大体この極薄醤油顔につられる奴がどこにいる」


そうあっさりといえばあっさりと返された。


「日本人は醤油大好きだけどな」


……ごもっともですな。

そろそろいい時間だろう、メールもきたし。

そう思って哲平に話をすれば哲平は行かない、といった。


なんで?と聞けば気にくわないから、らしい。不機嫌な哲平を置いていくことに後ろ髪を引っ張られる思いではあったが無理やりつれていくわけにもいかなかった。


(哲平反抗期突入かー…非行少年になんなきゃいいけど…。)


あの子にかぎって…っつーのがやばいらしいからね。

待ち合わせ場所までくるとすでに見上君はいた。


(おーおー嬉しそうな顔しちゃって。)


にこにこと周りに花を飛ばしながら見上君は寄ってきた。


実を言うと、口の中ちょっときれてるから痛いんだけどどうせ食堂に来てる神田をちょっと見てみたいという好奇心があったわけで、、気になっちゃったんだよ。


「ごめんね、待たせた?」


「ううんっ全然!!じゃあ行こう猫田君、席はもうとってあるから!」


どこのデートしてる奴等だよ、とつっこみたくなるような会話を交わした後ざわざわ騒がしい食堂の中に入っていった。


ちらほら不良を見かけるんだけど…昼のをまだ引きづってるのかお前等女か、じゃなくて。


その中には赤井もいた。

めずらしい…って俺はいつも哲平の自炊を食ってるから滅多に食堂に来ないから解らないけど。


神田を見るとやっぱり生徒会専用のテーブルに囲まれて楽しくやって…はいなかった。

志摩がいないとぐずっているのだろう、顔がしょんぼりしている。


つーかでこが綺麗に赤くなっているのが素晴らしいと思うのは俺だけか。


見上君いわくやはり今日は不良が多いらしい。会長が久木を殴ったため、一時は乱闘になりかけたのだとか。


「猫田君何にするの?」


タッチパネルを覗きながら見上君が上目遣いで見てくる。

森崎先輩とはまた違うブルーの眼に俺はほう、と息をついた。不思議な美しさがあるわけではないが普通に綺麗だ。


「んっと…何にしよう」


「僕は…鮭のムニエルでいいや」


(あーどれにしよう。オムライスか?ハヤシライス?カレー?シチュー?)


あっ、と思い俺はそれを頼んだ。


「僕はオムライスのデミグラスソースかけで」


オムライスとデミグラスソースのハーモニーは素晴らしいと思う。

それにミルクがあれば尚更だ、やばいぞあれは。


オムライスたけだとそんなに食べたいと思わないけどデミグラスソースがつくことによってその上手さがどーんっ、と!


すぐにウェイターが運んできてくれるのは便利だよな、とか思いながら。


「どうぞ」


「あっうまそ…ごほん。おいしそう」


ウェイターが下がる前に小さな紙切れを手渡す、これは食堂に来る時の俺の必須アイテムだ。神田みたいに大声で「ありがとう!!」なんていっちゃ目立ちまくるからな、


かといって礼を言わないのは癪だから紙切れにちょろっ、と書いて渡す。


んで、最後は下げられるトレーの上にまた一言コメントかいて置いておく。


まめでちょっと格好いいだろ?

まあ知ってるのは俺とウェイターだけなんだけども。こういうところで格好をつけたがるのが年頃の男ということだ。


見上君が小さな口ではむはむと食べているのを見ながら俺も口に運ぶ。


「あーおいしいなぁ…」


「そんなにおいしいの?」


おいしいと連呼する俺に気になったのか見上君が聞いてくる。

それに頷いた俺はスプーンをそのまま見上君の口元に運んだ。



「あ、スプーン変えた方がいい?」


「ううん、僕気にしないほうだからかまわないよ!」


見上君、ハァハァハァ聞こえてるって。

何、アーンに興奮してんのか?関節キスに興奮してんのか?


美少年がハァハァしながらスプーンを口に含んでいるのを笑いながら見ている俺は変態ではない。


そんなこんなで以外と楽しい夕飯を過ごしていると、まあこうなっちゃうよな。

俺を見つけた神田がマッハで飛び掛ってきた。


言っておくけど、俺は神田と仲直りをした覚えもないし、神田と仲がいいという覚えもない。


「ねぇぇええこたぁぁああああ!!!」


「う、おっ」



ぐしゃっ。



どん、ときた神田。

そんな神田を支えれるわけもなく、また支えずに堪えれる程の体力があるわけでもなく、俺は目の前の自分のオムライスに顔面ダイブした。


見上君の怒声と、バ神田の焦った声が聞こえる、んで周りのざわざわざわざわと生徒会の奴等が近づいてくる足音。


あの、うん、これ…。


クソバ神田、殺しても誰も文句言わなくね?

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