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『助け』(レーナ視点)

 

 《使用者が解除したため、スキル『魅力』の思考改変操作が解除されました。そのため、これまでの記憶を一部封印します。》





 謎の音声に目を覚ます。

 昨日、【英雄】と寝たベッドだ。


「・・・あ、あぁ、」


【邪神】を倒してからの記憶がない。昨日を除いて。


 思い出した。何を見ていたか。していたか。されていたか。



 私を頼ってくれた、可愛い顔立ちの彼。

 私のために努力していたことがわかってしまうくらい、痩せていた彼。






 その彼を、約束すらを裏切った、私。

 絶望した彼の表情。

 そして、昨夜、狂ったかのように交わっていた【英雄】とわた・・・


「ああぁあああぁああぁあああぁ!!」


 思わず絶叫してしまう。彼に捧げるはずだった、私の貞操。なのに、私は、『英雄』の。彼の兄の上で・・・。まるで、私なのに、私じゃない誰かが操ってでもいたのかのように、彼の事がどうでもよくなっていた私。




 でも、私はどうでもいい。よくはないけど、先に彼に謝らないと。何か、取り返しのつかない事になってしまう前に。


 彼は、信じてくれるだろうか?私が、私じゃなかったんだということを。やり直してくれるだろうか?既に汚れてしまった、私と。


 急いで服を着て、彼の部屋へ向かう。















 そこで待っていたのは、赤い部屋だった。

 鉄錆の臭いが充満する、その部屋。

 何故か彼の姿はなく、ただただ致死量であろう血痕が残るのみ。


 それは、酷く不気味で、正に彼に何かが起こったことを示唆しているようで。


「っ!【探査(サーチ):ミルド】」


 無意識のうちに血痕に向けて、『探知魔法』をかけてしまっていた。

 一応、【魔帝】であるため、この程度の魔法なら、無詠唱でも行使できる。


 それは、彼が死んでしまっていることを認めたく無かった私の悪あがきのはずだ。


 なのに。


「【邪神】の城?」


 反応してしまった、『探知魔法』。


 生きていることは分かったがこの部屋についてと、いる場所に説明がつかない。


「彼に直接聞けば分かるかな。」


 だから。


「待っててね。ミルド。」




 発動させた転移魔法。私、レーナは今、転移できる距離にある、一番遠い町に転移した。




















 誰もいなくなった、赤い部屋。

 確かに、誰もいない。だが、その男の声は、確かに部屋のなかから聞こえてきた。


「あーあ。レーナ行っちゃった。・・・【邪神】の城、ね。手こずったけど、勝てたし、大丈夫でしょ。やっぱ、こういう時にこれ解くの面白いな~。」


 その声を最後に、声と僅かな気配は、消えた。

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― 新着の感想 ―
[一言] うわっ兄貴魅了ゴミの障害者(誤字ではない)や
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