プロローグ
最初から重いです。
僕は『努力』などという言葉は嫌いだ。
「だからね、ミル。」
いくら、僕が『努力』しても、『才能』の一語で、それを超えていく存在が、それこそ、星の数程いる。
「私との、あの約束は・・・、」
・・・あぁ。何となくわかる。何が言いたいのかが。
こうならないために、頑張ったのに。
僕は、ずっと『努力』していたのに。周りを超えることが出来なかった。
・・・この体のせいで。
「結婚の約束は。」
それでも、『努力』して。
辛くても。痛くても。必死に、必死に『努力』して。
そして報われようとした。
「無かった事に、して欲しいの。」
だが、無駄だった。
それでも。それでも誰にも追い付けなかった。【魔帝】の君に・・・。なんて論外だ。
でも、君以外の誰かにも。
誰にも、誰にも追い付けない。
今、彼女の頬を染めている茜色は、夕陽か、それとも・・・【英雄】の面影か。
もう、僕なんかが今更入る余地がなさそうに見えても、僕が君よりずっと弱くても。例えそうでも、僕はずっと君が好きだった。
過去の君は、約束は、それだけ、僕にとって理想的で、美しかったから。君も、今も僕が好きなのかも、と『期待』してしまっていたから。だから。
今日も、また、君の事を想っていた。
思っているからこそ。と言うべきか、だがしかし。と言うべきか。
僕、ミルドの口から出た言葉は。
「そう、か。・・・わかった。」
いつも通り、彼女の邪魔をしない、だが、今回に限っては自分の想いすらも押し殺した言葉だった。




