第1章 レイの願い④
泣いている赤子。
他には誰もいない。
"中に誰かいたら消せ"
最後に言われたこの言葉が、頭の中をぐるぐると駆け巡る。
右手に持つのは、血が滴るナイフ。
消す…のか?
一歩、一歩、また一歩と近づいていく私。
消さなくてはいけない…
消さないと…でないと私は…
赤子の頭に狙いを定めた私は、ナイフを思いっきり振り落とした。
「…何故、笑いかけるのですか?」
両手を真っ直ぐ伸ばし、ニコニコと笑いかけてくる。
「…私は貴方の母親を殺した、憎むべき相手なのですよ…!?」
好奇心からか、真っ直ぐ伸ばした両手で、ナイフを握ろうとする赤子。危ない!と判断し、慌ててナイフを上にあげる。
危ない?そう、ナイフは危ない物なのだ。
そんな危ない物を私は…この子に向けたのか!?
【ネツエネルギーオーバーヒート】
「私は…」
【リミッターヲカイジョシマス】
「私は…」
白い煙をあげ、両目を赤く染める。
両手で両肩を抑えながら、私は天に向かって叫んだ。
アジトに帰った私であったが、そこは戦場であった。
「何者だ!?」
声をかけられた私は、いつも通りに顔認証を済ませる…やはり、指名手配の男か。
「コウモリなら容赦しねぇ!!違うってんならお家に…ガハ」
韋駄天を使って喉を切る。アジトの入り口を見ると、アジトはほぼ壊滅状態なのがわかった。
火が放たれたのだろう。
燃えるアジトを見ながら、私は入り口を進んで行く。
転がるいくつもの死体を見下ろしながら、ただひたすらあの男が待つであろう部屋へと歩い行く私。
「コウモリの残党だな!覚悟」
右手を真っ直ぐ伸ばし、詠唱しようとする男に対し、持っていたナイフを投げつける。
ナイフを避けるべく右にかわした男が、私を見失ったその一瞬で、韋駄天で移動する。自らが投げたナイフをキャッチし、そのまま男の背後から喉を切った。
「邪魔だ…邪魔をするな」
「居たぞー!コウモリの残党だ!!」
三人ぐらいの男が、私の前に姿を現した。
私は走り出す。
主人を守る為?
違う、主人に話しを聞く為だ。
その話し次第では、私は…主人を…殺す事になるかもしれない。
私は、何の為に生まれてきたのですか?
ねぇ、レオン、レイナ。
どうか、その答えを…私に。




