表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法×科学の反逆者  作者: 伊達 虎浩
25/38

第1章 レイの願い③

 

 攫われて、油断した所を背後から狙う。

 人が油断するのは、一瞬でも隙を見せた時であると、最初の時に学んだ。


 隙を見せるとは?簡単な話しだ。


 相手を侮った時である。


 だから、もう抵抗する意思がない事を身体中からアピールし、相手が目をそらした一瞬で、背後に回りこんで喉をかっ切る。


 人間は簡単には死なない。

 心臓を刺しても、数秒は動き続ける生き物だ。

 だからこそ、一瞬で背後に回りこむ技術が必要になってくる。


 "韋駄天"


 そう名付けられたこの技術で、私は人を殺す。

 本来韋駄天とは、仏教の神さまが由来となっており、よく走るという意味である。


 神さま…ならば何故…


 そんな疑問を抱きながら、私は今日も走り続けている。


「ぐわぁぁあ…ち、ちくしょー」


 喉をかっ切った私は、いつものように相手を見下ろしていた。


 ダン!っという聞き覚えのある音が鳴る。


「ゲホ、ゲホ、ざ、ざまぁみやがれ」


 喉から血しぶきを撒き散らし、男はゆっくりと後ろを振り返る。


「ゲホガハ…お、お前…な…にも」


 ゆっくり前に倒れる男を、無言で眺める私。

 特に何も感じる事などない。

 お腹に空いた穴など気にしない。


 何故なら私は…ロボットなのだから。


 いつも通り命令され、いつも通り任務を繰り返す。私がなくなる事はない。

 バッテリーを変えるか補充し、壊れた所は部品を変える。


 一連の流れはこんな感じであった。


 ずっとこのままなのだろうと考えていたある日の事であった。


「今日はいつもと違う任務だ」


「違う任務ですか?」


「そうだ。お前はいつも通り任務をこなせばいい」


 そう言って男は私に地図を渡す。


「写真では…ないのですね」


「あぁ。写真は撮れなかったからな」


 不思議に思う私ではあったが、別の任務と言われた以上、これが初任務となる…ならば、疑った所で意味はない。


「かしこまりました」


「インカムをつけていけ」


 渡されたインカムをつけ、私は闇へと消えていく。


 地図に書かれた場所は、普通の民家であった。

 小屋があり、周りには牛がいる小さな民家。


「中には女がいるはずだ…消せ」


 耳から聞こえる指示を受けた私は、何のためらいもなく部屋をノックする。疑う事などない。

 なぜなら任務を遂行した後、指名手配犯だという認証が狂った事など一度もないのだから。


「は〜い。どなたですか?」


 ゆっくりと開いた扉から、女性は首だけを外に出して、辺りを見渡していた。

 その光景を上から覗いていた私は、ナイフを下に向け、一気に女性の後頭部めがけて落下する。


 声にならない悲鳴を聞きながら、私はナイフを引き抜いて、いつも通り認証を始める。


【データショウゴウデキマセンデジタ】


「……え!?」


 そんな訳はない。

 いつも任務を遂行させ、こうやれば必ず…しかし、結果は同じであった。


「モ、モリ…様」


「ご苦労。後は中に誰かいないかを確認し、いたら消せ」


 そう言われた後インカムからは、もう何も聞こえなくなっていた。


 きっと何かの間違いだ。


 でなければ…私は…!?


 中から泣き声がする。


 ゆっくりと中を覗いた私は、絶望する事となる。


 中で泣いていたのは、赤子であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ