第1章 激闘その②
世界を手に入れる?コイツは何を言っているんだ。
ゆっくり立ち上がりながら、レオンは考える。
そんな事を気にしている場合ではない!もっと、もっと、大事な事があるだろう。
逃げるという選択肢はない。
何故ならここは自分達の家である。
レイナが帰って来る場所はここしかないのだから…だがしかし、倒すのならば自分一人では無理だ。
「何…の為だ?」
ならば、少しでもいい。少しだけ、どうすれば良いのかを考える時間を稼ぐんだ!と、レオンは大して興味はないが、男に質問をする事にする。
「何の為?はぁ〜。分かってねぇなぁ」
レオンの質問に、男は両手を肩ぐらいまであげ、頭を左右に振る、いわいる、お手上げポーズをとりながら、ため息を吐いた。
ため息を吐いた男は、右手人差し指を左右に振り、理由を話す。
「ロマンだよ、ロ・マ・ン!」
「ふざけんな!!」
そんなくだらない事で、ジャンヌは倒れ、レイは右腕を失くすほどの重症を負わされたのか?
「ふざけてなどいないさ。なぁ少年。男ならなぁ、デカい夢を持ってなくちゃぁ、いけないんだぜ」
男は口元をニヤリと緩め、両手を広げながら語り出した。
「富に名声。酒にタバコにギャンブル。好きなときに好きな女を抱く権力。それらを叶える為にはどうしたらいいだろうかと、俺は考えた!」
パンッと両手を叩いたかと思うと、先ほどより大きく両手を空に掲げ、男は叫んだ。
「世界制服さ!世界を恐怖のどん底に落とせばいい。そしたら誰も俺に逆らわないだろ?そう、それが理由さぁ!アハハハハハ」
ゲラゲラと笑う男。
「……クソ野朗が」
考えるだけの時間は充分あった。
しかし、全く持って考える事など出来なかった。
「お?良く見たらそこの銀髪のねぇちゃん。えれぇ美人じゃねぇか?」
男はジャンヌの顔を見てはいないが、綺麗な銀色の髪から、服のうえからでも分かるそのスタイルから、ジャンヌがこの世の者とは思えない美貌の持ち主だと見抜いた。
「ヒャハハハハ!良し。そいつは生かしておいてやるよ」
その発言に、レオンは両目をカッと開いた。
「クソったれ。赤き雷鳴よ、青き雷鳴と混じりて、敵を…ガハッ」
「遅い、遅いぞ魔法師。詠唱するのを待ってやる時間がもったいねぇ」
男の姿が消えたかと思いきや、突如おとずれる激痛。男の姿をとらえた時には、レオンは後方へと吹き飛ばされていた。
しかし、これは好機である。
至近距離だった男との距離が広がっていく。
すかさず立ち上がり、魔法を発動しようとするレオンだったが…
「赤き…ら、い…めい…よ」
魔法力以前に、ダメージが大きかった。
立ち上がったレオンであったが、その場で膝をついて、倒れてしまう。
「おい、おい、おい!もぉ終いかい?じゃ、ちょっくら殺すとしますかね」
右腕をぐるぐると回しながら、男が歩きだしたその時だった。
【リミッターヲカイジョシマス】
男の後方で、機械の声がする。
「…レオンは…殺…させない」
両目を赤くし、白い煙に包まれるメイド服を着た一体のロボット。
青い髪までも赤く染め、レイはゆっくりと立ち上がるのであった。




