表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/87

探検!発見!ゴーストタウン

 谷底に着いた。


 思えばアエオンの町を出て5日、最初にここを見つけてからだと更に数日もの時間がかかってしまった。


 やっとのことで到着した谷底は、左右を巨大な壁に挟まれたオフィス街という感じだった。

 所々崩落した壁やタイル、半ばで折れて倒れた電柱や千切れた電線、枯れた街路樹…。


 …ゴーストタウンそのものである。

 無人の街がこんなに不気味なものだとは…。


 臆病風に吹かれながらも、当初の目的であった探索(という名のスクラップ漁り)を開始した。


 道路には黒焦げになった車が数台放置されている。


 この世界ではナットが通貨になっていたのを思い出し、早速失敬しようと車に近づいた所で気が付いた。

 …俺、工具とか一切持ってきてないじゃん…。


 …最近こんなのばっかだな。

 チョウチョのことを残念な子とか思ってたが、今は自分が残念でしょうがない…。

 …一旦ナットは諦めよう。

 どこかでレンチとかの工具を見つけたら、また来ることにした。


 その後俺は、崩落の度合いが少ないビルを中心に見て回った。

 …探索中に床や天井が崩落してきたら嫌だしね。

 オフィス街だっただけに、企業の支社みたいなビルが多かった。

 

 …予想以上に実りが少ない。

 数件回った所で、戦利品は錆びたオイルライター、未使用品っぽいマグカップ、警備員さんが使用していたと思われる警棒位だった。


 …余談だが、事務所風の建物を探索していて、最奥の部屋に鎧兜が飾ってあるのを見つけたのだが、壁にデカデカと『○◯組』と書かれているのを見て何も盗らずに出てきてしまった…。

 別に誰がいるわけでもないのだが、200年前を知る人間として何か「関わっちゃアカン」という気持ちになってしまって…。


 更に数件回ってみたが、結果はドコも同じ様なものだった。


 …あれ〜?じいちゃんはココを穴場とか言ってたのに…。

 もしかして、俺が来る前にめぼしい物はあらかた持ってかれちゃった?


 いや、まだ諦めるのは早い。

 というか諦めきれない。

 あんだけ苦労して結果がコレでは、今後の俺の生活もたかが知れている。

 

 ここから俺は、探索にPSIの能力を使用する。

 …ってか最初から使っておけば良かったなコレ…。

 最初はもっとザクザクお宝があるものだと思ってたからなぁ。


 さて、千里眼で探索をするにあたって、問題が一つ。

 千里眼で物探しをするには、Go○gle先生よろしく『検索ワード』が必要になる。

 まぁワードとか言っちゃったけど、ざっくりとしたイメージでかまわないんだけどね。


 …何を探すか?

 200年経っても価値がありそうな物。


 …家電とか?

 アエオンの街は電力が生きていたし、無傷の電化製品とか見つけたら金持ちに大金で売れるかもしれん。

 …俺の貧困な発想力じゃこれが限界だな。


 とりあえず、千里眼を使って『新品の電化製品』を探してみる。


 …見えたのは、暗い部屋。

 おそらく、外の看板が落ちてきたのだろう。

 天井に看板が突き刺さり、そこから入って来る外の光だけが部屋を照らしていた。

 幾つか段ボールが積み重なって見えるが、そのほとんどが突き刺さった看板に潰されている。


「…あれ?この看板さっき何処かで見たな…。」


 俺は記憶を頼りに来た道を引き返す。


 うろうろすること5分、千里眼で見えた看板が床に突き刺さった建物を見つけた。


 建物は電機屋だった。

 看板が突き刺さった部屋は、またしても地下室のようだ。

 さっき見回った時は、店先の商品は盗られてしまったのか、劣化がひどくて使い物にならない物しか残ってなかった。

 

 薄暗い店内に再び入店し、地下への入り口を探す。


 …が、いくら探しても見つからない。

 そういえば入り口付近に壊れたエレベーターがあったけど…、もしかしてこの店の地下って階段無い?

 

 これは困った。

 映画なんかだとエレベーターの中にあるワイヤーみたいなのを伝って下りるんだろうけど、そんな芸当俺には絶対無理。


 …仕方ない、諦めるか…。


 店の外に出ようとした時、件の突き刺さった看板が目に入る。


 …あの看板、上手い事床を突き破ってて、よく見れば一人位なら人間が通れそうな隙間ができている…。

 っていうか、看板の上を滑り台みたいに滑って下りられるんじゃ…。


 …もう、それしか無いか。

 滑ってる途中でケツに何か刺さったら嫌なので、ハエとの戦いで盾に改造してしまったフライパンを尻に敷く。


 …大丈夫、千里眼の映像通りなら、看板の下はつぶれた段ボールだったハズだ。


「…い、行くぞ〜!!」


 俺は気合いの声をあげると、思い切って看板の滑り台に飛び乗った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ