表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/87

異世界転移【ハードモード】

初投稿です。

突っ込み所だらけの小説ですが、どうぞよろしくお願いします。

 気がつけば、見渡す限り一面星空だった。


 …言ってる自分でも意味不明だ。

 自覚はある。


 ただ、そうとしか言い用が無い状況だった。


 漆黒のだだっ広い空間に、煌めく星々。

 たまに流星も横切っていくし。

 …もう間違いようが無いでしょ。


 宇宙だコレ。

 俺宇宙にいるわ。

 

 不意に、自分がドコに立っているのか気になって足元を見ると、遥か下の方に巨大な地球?が見えた。

 …おおぅ…、地球は青かったってか?

 今の俺の顔色もさぞかし青い事だろう…。


「…って、俺浮いてるのか!」


 立っている地面なんか無かった。

 地球らしい星の遥か上空、少なくとも地球全体が視界に収まるほどの高度に、俺の体は浮遊している状態だった。


 …いやいや、おかしいだろ。

 そもそもなんでこんな状況になってるんだっけ…?


 ふと気がつけば、俺の右手には握られたままのコンビニ袋。

 …あ…なんか思い出してきたぞ…。

 こんな事になる前の、俺の最後の記憶…。


 俺こと西郷信人さいごうのぶひとは、残業が終わって帰宅する途中だった。

 いつものように家で弁当を食べながらネットサーフィンをしようと、いつものコンビニに立ち寄り、翌朝の分も含めて食料を購入し、店を出た。


 そこに。


 ここらでは最近めっきり見かけなくなった、珍走団操るバイクが突っ込んできた。


 …これが、俺が思い出した最後の記憶だ。


 冷静に考えると、この状況って…。

 俺、死んでるよな…。


 …マジかぁ…。

 うだつのあがらない会社員生活も五年を過ぎ、たまの休みはゲームかネットの日々。

 特に異性とのイベントフラグも立つこともなく…。


 享年25歳。

 …なんとも冴えない人生だった…。


 ………。


 …いや、まてよ…?


 この状況って…すっごい覚えがある。


 事故死からの見知らぬ異空間…このパターン…。

 自他共に認めるオタクの俺は、良〜く知っているじゃないか。


 …まだワンチャン残っている、のか…?


 …そう、リーチ状態だ。

 あと一つ…!この状況であと一つ要素が重なれば確定だ…!


 頼む…!

 死んだ俺が言うのも変だが、一生のお願いだ!

 …頼むから、出てきてくれ…!!




『…なんだか必死すぎて登場しにくいなぁ…。』


「転生キターーーーーー!!!」


 目の前に現れた白衣の男を見た俺は、思わず跪いて天を仰ぎ、歓喜の声をあげた。


 突然の死、見知らぬ異空間ときて、妙な服装の人物の登場とくれば…。

 

 間違い無い、異世界転生だ。


 25年間、特別良い事もなかった人生だったが、死んでから最大のチャンスが来るとかどんな皮肉だ。

 …欲を言えば、よくある美人の女神様だったら更に嬉しかったが。


『…どうもお前は、かなり察しの良い奴みたいだな。俺が説明しなくても、この状況を理解してるみたいだし。』


「もちろんです神様!俺は死んでしまったけれど、神様がワンチャンスくれるんですよね!!」


 目の前の白衣の男…いや、俺と同い年位に見えるから白衣の青年?の問いかけに、興奮から早口気味に答える俺。

 …いや、仕方が無いんだって。

 興奮してたのもあったけど、自分の得意ジャンルになると早口になるもんなんだよ、オタクは。


『ワンチャンス…か。チャンスと言えば、そうなのかもな。…それじゃあ、これからお前は別の世界に転移させられるってことも、もう理解してるのか?』


「はい神様!!俺は神様から特別な魔法や伝説の武器をもらって、剣と魔法の世界に転移するんですよね!!…って転移なんですね、転生だと赤ん坊からやり直しなんで正直安心しました!」


 俺は止まらない。

 自分でも少し恥ずかしいくらいだが、今回ばかりは仕方が無いと諦めて下さい、神様。


 …だが、ここで初めて白衣の青年は微妙な表情で首を傾げた。


『…やはり、双方の認識に少し食い違いがあるな。』


「はい?」


 意味が分からずポカンとする俺を無視して、白衣の青年はアゴに手をやり何やら考え始めた。


『…なんつーか、世界観がなぁ。…説明が難しいんだよなぁ…。』


「?」


 何やらブツブツつぶやいた後に、何か思いついたのかこちらを見て一言。


『お前、確かオタク気味だったよな?…じゃあさ、「北○の拳」とか「○ADMAX」って、どう思うよ?』


 …その一言は、俺が理解するのに十分すぎる言葉だった。


 俺の異世界転移は、どうやらハードモードが確定したようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ