二人がやって来るという話。その2
幸い? 夢は落ち着きを取り戻した。
あの後、お菓子を食べたりしたのだが……
「「「「「…………。」」」」」
またこの状況だよ。 飽きた人にはすまん。
「だー! だいたいクラブ名がダメなんだよ!」
クラブ名……願え!俺たちは無敵!か。
確かにこれは俺たちの合言葉を名前にしただけだ。
赤の他人から見れば「何だこれ?」と、なるだろう。
「雷。 たまにはいいこと言うんだな。」
「たまにはだと!? 月二回ぐらいは言う!」
俺は「ごくたまにじゃん!」と叫びたいのを我慢する。
「じゃあ部名は、無しにしましょう。」
「無し!? それって大丈夫なのか?」
「多分、心配無いわよ。」
◇◆◇
あれから、三十分ほど経った頃、長い沈黙を破る神様が現れた。
「コンコン」
「「「「「………………!!」」」」」
「わ、私が出るわね。」
永海が呟き、他の四人が軽く頷く。
「どうぞ。 入って。」
「失礼しまーす。 無名の部ってここですか?」
「ええそうよ? って、虎之介君!?」
「…………な、な、永海さん!?」
「え!? うちに入学してたの?」
「あ、はい! で、この部を選んだんですけど……。 って、優、雷、咲ちゃんに夢ちゃんまで!」
これ、入部届けです。 と、一枚の紙を永海に渡した。
「おう、虎之介! 久しぶりだな!」
「虎ー!! 元気そうじゃんか!」
「虎くんだ! 本当に虎君だ!!」
「虎ちんだぁー! 大きくなったねぇ!」
黒宮 虎之介。
一つ下の、俺たち五人共通の友達だ。
小学三年のときに引っ越してしまったのだが、少しの時を経て帰ってきたようだった。
「桃! お前も早く来いよ!」
虎之介は俺たちの方を向き、話す。
「桃ってのは……もう、知ってますよね。」
「み、みなさん! お、お久しぶりですっ!」
黒宮 桃。
虎之介のいとこで、俺たち五人共通の友達。
桃は引っ越していないが、虎之介と共にこの学校を選んだようだ。
桃も、虎之介と同様に紙を永海に渡した。
「「これから、お世話になります!!」」
「「「「「お互いに頑張ろう!」」」」」
こうして俺たちの部活にも、新しい風が吹き込んだ。