二人がやって来るという話。
「チッ、チッ、チッ、チッ」
時計の秒針の音が目立って聞こえる。
「「「「「………………。」」」」」
…………この空気苦手なんだよな。
今、なぜこんな状況になったかを簡単に言うと、今日は部員勧誘、募集の日なのだ。
初めにこの静寂を打ち破ったのは雷だった。「待ってても来ないと思うんだけど?」
「そうね……。 仕方ないし勧誘行ってみる?」
「行こうぜ!」「うん!」「GO!」
◇◆◇
もう四月だというのに、外はまだまだ肌寒い。
「うおー! すっげー!」
「夢! 勧誘頑張ってくれ!!」
「私もやるわよ? 勧誘。」
「バリバリ頑張るぜい!!」
「俺も……頑張った方がいい?」
「来ないわね……。」
「何が足りないのかな?」
「足りないのはおそらく、アピールだ。」
「いや、足りないのはチミらの色気だな。」
三方向からの強烈なキックは雷の腹を捉えた。
「カハッ……。 痛いよぉ。 今のは本気だったよね。」
「「「お前が悪いんだ!!!!」」」
そのとき、周りの一年生がザワついた。
「何あのクラブ……無いわぁ。」
「何やってんだ? ウケるんだけど!」
◇◆◇
一年生に冷ややかな目で見られるのは相当キツかったので、部室に戻って来た。
「もういいもんっ! 待ってるもんっ!」
「……永海!? キャラ崩壊か?」
「そんなの知んない! うぅ…………。」
このときの永海は正直、可愛かったです。
「「「「「…………。」」」」」
こうなるよね。 見事にお口チャックだね。
…………この空気やっぱ苦手だわ。




