連鎖する
場所は部室と同じ階にある一室。
立ち入りは自由となっているこの部屋だが、霊が出るなどという噂によって誰も立ち入らない。まぁ、霊なんて出なかったけど(雷と検証済み)。
「話したいこと、って、なんだ?」
「それなんだけど、あの「ゆうっ!」」
俺が言いかけた言葉を、突然の乱入者が阻んだ。乱入者の正体は……咲だ。
「いきなりどうした?」
「永海がっ、熱! 高くて、それで……」
「倒れたの!」
先生が慌ただしく部屋を飛び出した。俺と咲もそのあとに続いて走る。
「なんか、私たちやばそうだよね」
「うん……ん? な、何でそう思う?」
「永海がね、変な噂が流れてるって言ってたの。優はまだ知らないだろうけど……」
永海が知っているなら、仲間のこいつらに言わないわけがない。
「いや、俺は知ってた。その話を先生としようと思って、先生を連れ出してた」
「そうだったんだ……」
そうこう話しながら走り、部室に辿り着く。雷が先生に状況を説明する声と、永海の荒い呼吸が俺の鼓膜を震わせた。
気になったのは、夢と香織がいないこと。仲直りはしているから心配はないと思うが、どうして姿を消しているんだ?
「永海……!」
「ゆう……。大丈夫よ……、私は……」
永海が、気を失った。




