崩壊予備軍
「バカみてぇな話だな!」
「あくまで噂よ。いろんなところでこの部が潰されるっていう話が耳に入ってくるわ。裏掲示板……これは問題のサイトになってくるのだけれど、私たちの部についての話題でもちきりね」
せんべいをかじりながら、顎に手を当て、雷は自分たちの行動を振り返る。
んー、最近は遊んでばっかだな。あとは放課後の清掃と、全教室の戸締り確認。
俺としては、学校のサポート的な立場にある部活って思ってるんだけど……。
いつもはすぐに確証を得て、俺たちに情報を与えてくれる永海ですら、今はPCをシャットダウンして、ぼーっと空間を眺めている。
「私、帰るね」
「ちょっ、玉池さん!」
「雷。今は呼び止めるべきじゃないよ」
「咲……」
咲はこくりと頷き、
「じゃあね香織。また明日!」
舞い散りそうな弱々しい笑顔で返事をし、小さく手をふる。残されたのは、バタンという扉が閉まる音と静寂。
「今日は、私も帰ろうと思う」
「どうした?」
「少しぼーっとするの。早く休みたいから……。今日は帰らせてもらうわね」
「お、おう。ゆっくり休めよ」
「ありがとう、また……あれ……?」
「永海っ!」
永海を抱きかかえる。永海の身体はあたたかいを通り越して、熱かった。
「永海……! おい! 大丈夫か!?」
「ら…い……」
「わっ、私、先生呼んでくる!」
腕の中で苦しむ永海。
理由も言わずに帰った玉池。
先生を連れて、真剣な表情で出て行った優。
いつの間にかいなくなっていた夢。
なんだか、とても嫌な予感がした。