料理訓練をするという話。
「くっそてめぇ……!」
「なんだよ……! もう一戦するか?」
「ああ。 リベンジだ!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「……………………………………!」
「「あっち向いて、ほい!」」
「うっ……かはっ……。 俺も、ここまでか……」
「ふっ。 いい戦いだったよ……」
そんな男同士の戦いに水をさす奴が一名。
「久々に来てみたけど……なにやってんの?」
「この声は……」「まさか……!」
「おう。 ただいま帰ったぞ」
「「久保っちゃん!」」
そう。部室に入ってきた人物は、我が部の顧問である久保先生である。
「んー、と、お前ら二人だけなのか?」
「あいつら四人なら、家庭科室だけど?」
「四人? ああ、新入部員だな! そういえば、九条からメールが来てたな。 波本の彼女だとか?」
あいつ……、余計なことまで言いやがって!
「そ、そのメールの送り主が、こいつの彼女だし!」
俺は、隣で腹を抱えて笑う雷を指差す。
「……本気で?」
「本気ですよ。 三十路にして未だ独身の久……」
ゴツンと雷の頭にゲンコツという名の隕石が落ちる。
「ってぇー!」
「雷。 哀れな雷よ。 三十……」
俺の頭を凄まじい衝撃が襲う。
「った! えー! 嘘だろ!?」
「三十路三十路って言うな! これでも危機を感じているんだから!」
「いや、大丈夫だと思うぜ?
三十路なら、まだセーフだな!」
「三十路……。 つーか、お前ら何してたの?」
「ああ、あれは『あっち向いてほい』だ」
「見たら分かるだろー?」
俺と雷は、久保先生に冷ややかな視線を送る。
「いや、それはわかるんだけれども。
何のために? 暇つぶしか?」
「いや……」
「これは……」
「「天国と地獄の分かれ道バトルだ」」
「なんだそれ」
「……咲は料理が上手い。 それはよくわかっている!」
俺は、自分でもわかるほど熱心に語った。
「香織は……未知数。 永海と夢は……悲惨だ!
あいつらの料理なんか食ったら、腹が裂けるわ!」
「いや、胃が爆発するかもしれないぞ!」
そう。あの二人の料理は……不味い。
「やつらは今頃……、地獄の生地を練っているはずだ。 出来上がるクッキーは、炭なんだ!」
雷が半泣きで叫ぶ。
「俺、負けたんだよ! 助けて先生!」




