二人が去るという話。
「「すいません!」」
「ん? 何がだ?」
俺が言うと、雷、咲、永海、夢も首を傾げる。
「また、親の都合で…………。」
「引っ越すことに…………なりました。」
「「「「「はい!? いきなり!?」」」」」
俺たち五人は一斉に身を乗り出した。
「え、え? 引っ越し!?」
咲がびっくりするほど、あわあわしている。
「落ち着け、咲。 で、引っ越しとは?」
話を聞くと、親がまたしても転勤するらしい。
同時に、虎之介と桃も転校というわけだ。
「だから……これ……。」
虎之介は、永海に退部届を提出した。
「……はい。 確かに受け取ったわよ。」
「ま、また遊びにきてもいいですか?」
雷が、いつもと変わらぬテンションで言う。
「あったり前だろ! いつでも待ってるぜ!」
「あ、ありがとうございます……。」
桃が目の周りを赤くして言う。
「それにしても、あれだねー? 二人も寂しいでしょー?」
夢がほんわかとした調子で言う。
確かにそれもそうだろう。
入学して、すぐに転校。
これじゃあ、仲良くなり始めた友達とも仲良くなり切れない。
二人も、苦労しているんだな。
「じゃあ、虎之介、桃を送る会をしよう!」