異世界で大好きな人達とクリスマスを過ごす
「ねぇ、ユーアスラ様!」
クリスマスの妖精を思わせるような、キラキラした目で見上げるミルム。彼女の瞳には、いつも知らない面白いことが写っているよう。
「クリスマス、今年はもっと盛大にやりましょう!商店街の人たちも、やる気満々でしたよ!」
彼女は異世界から来た転生者。元いた世界ではクリスマス、というものがあったらしい。
ここ魔界では、冬至のお祭りはあっても、特定の日に贈り物を贈り合ったり、特別な飾り付けをしたりする習慣はなかった。
ミルムが去年の冬に初めて、クリスマスとやらを提案した時正直、戸惑った。彼女の熱意に押され、試しに開催してみたところ魔界の住人たちは新しい祭りに熱狂。
「盛大、か。去年の飾り付けも十分派手だったと思うが」
苦笑しながらそう言うと、ミルムは頬を膨らませた。
「もー!ユーアスラ様はそうやってすぐ!もっとロマンチックにいきましょうよ!今年はね、クリスマスの定番ソングを魔界風にアレンジして、みんなで歌いたいんです!」
彼女が差し出す楽譜には、見慣れない五線譜と、独特な音符が記されていた。人間界の音楽は、魔界のそれとは全く異なる。
ミルムが口ずさむメロディは、どこか懐かしく、そして心が躍るような不思議な魅力があったのだから、面白い。
「歌、か。俺が歌うのか?」
「もちろんですよ!ユーアスラ様の素敵な歌声、みんなに聞かせなきゃもったいないです!」
そう言って、ミルムは腕に抱きついてきた。彼女の温もりと、甘い香りが包む。多幸感。
「分かった。ミルムがそこまで言うなら、協力しよう」
返事に、ミルムは満面の笑みを浮かべた。
「やったー!じゃあ、まずはツリーの飾り付けからですね。今年はもっと大きな木を用意してもらって、それから、雪の結晶の魔法も、ユーアスラ様にお願いしたいなぁ」
彼女の頭の中には、無限のアイデアが詰まっているのだろう。次々と飛び出すクリスマスの計画に、ただ微笑むしかなかった。
「雪の結晶の魔法、か。そうだな、今年は特別に、ミルムのためだけに、もっと美しい雪を降らせてやろう」
ミルムの顔がパッと輝く。彼女の瞳には、もう今年のクリスマスの光景が映っているようだ。
「ユーアスラ様、大好き!」
ミルムは首に腕を回し顔を埋めた。彼女の柔らかな髪を撫でながら、そっと抱きしめ返す。この世界に来て、彼女はたくさんの愛しい、という感情を教えてくれた。
今年のクリスマスは、きっと、今までで一番甘くて、温かいものになるだろう。ミルムと二人で、この魔界に、最高のクリスマスを届けたい。
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