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異世界でスローライフ  作者: 火川蓮
第二章

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Quiet talk 規格外な息子

※番外編です

※ルアナ(母)視点

朝食を食べているとき、ルアートが喋った。

言葉を出すのがずいぶん遅いなとは思っていたけれど、まさか初めての言葉が赤ん坊らしからぬものだなんて思いもしなかった。

そのうえ――魔法まで披露してくれたのよ。

しかも、“無詠唱”で。


詠唱なしでの魔法行使はとても難しい。

私自身、物心ついたころから練習を重ね、冒険者になってようやくできるようになったくらいだ。

二十年以上もかかったのに――この子は、たった一歳で。

末恐ろしいと思う反面、なんて頼もしい子なんだろう、と胸が熱くなった。


ルクアが「貴族とは」などと真面目に語っていた時、私はそんなことを思い出していた。


■ ■ ■


魔法の訓練部屋に移動した。

私に抱かれていたルアートが「下ろして」と言うような仕草を見せたので、床に下ろしてあげる。

すると、すこし離れた場所まで歩いていき――地面に手をついた。


「ストーンターゲット」


そう呟くと、壁際の地面から“にょきにょき”と土が盛り上がり、見事な的が形成された。

思わず息をのむ。

土魔法も使えるの!?


驚いている間に、次の魔法が放たれた。


水球ウォーターボール――ほい」


そう言って的に向かって放つが、水の球は途中で落ち、地面に散った。

それでもルアートは満足げにうなずいている。

その後――風魔法も発動させた。


四属性を扱えるなんて、ありえないわ……。

いいえ、正確には“使えなくはない”のだけれど――普通は、ひとつ習得するのに数年はかかる。

私も複数属性を覚えるまでに、どれほどの苦労をしたか覚えている。


この世界に存在する魔法は十二種類とされているけれど、そのすべてが確認されているわけではない。

多くの人は火・水・風・土の四属性のいずれかしか使えず、まれに氷や雷といった珍しい魔法が使える者がいる程度。

そんなふうに考えていたとき、ルアートの声が響いた。


「次は――そうだな、アイスアロー」


次の瞬間、氷の矢が石の的に向かって放たれた。

氷魔法まで……!?

驚きで言葉が出なかった。

氷の矢は的に届かず地面に落ち、砕け散ったが――ルアートはやはり、満足げに微笑んでいた。


しばらく考え込んだあと、今度は的に手を向けて――


「サンダーバレット」


『ゴロロロ……!』と低い音が響き、雷の弾丸が放たれる。

空気が焦げるような音と共に的に直撃し、粉々に砕けて霧散した。


「ふぅ……」


ルアートが小さく息を吐き、座り込む。

私は思わず駆け寄り、その小さな体を抱きしめた。


――この子はいったい、どこまで成長していくのだろう。

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