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7.殲滅! 魔族ゴブリン

 レイは、キャンピングカーの上に立つと、両手に構えた機関銃をひゃっはーと、ハッピートリガーと言わんばかりに撃ちまくり、ゴブリン達を蜂の巣にしていく。


「力とはすなわち物量!」


 レイは、叫びながら、頭の中で論理を組み立てる。


究極理論『物質交換理論(アポーツ)


 レイは、ロケットランチャーを出現させると、丘のようにも見える、ひときわ大きかったゴブリンに撃ち込む。


「そして、火力だ!」


 ズガーンととんでもない爆音とともに、巨大なゴブリンが吹き飛んでいく。 

 爆炎が空を、大地を焼きつくしていく。爆風に巻き込まれたゴブリンたちはなすすべもなく、吹き飛ばされて紙屑のように宙を舞った。


 圧倒的な兵器の数々に、ゴブリン達はなすすべなく倒れていく。

 だが、それでも諦めの悪いゴブリンたちは、必死で立ちあがろうとしていた。


 確かに、ゴブリン達は、人々を襲い、財産を奪い、酷い種族であったが・・・・・・


「やりすぎでは?」


 そう思うエリーであった。


 キャンピングカーの中に戻ってきたレイは、説明を始めた。


「あいつらは、肌が変色腐敗し知能が著しく下がる病気の連中でな。肌の進行は止めれたんだが、知能指数をあげる前段階で逃がしちまってな。繁殖能力はあるから、増えてるようだな」


「ま、まるで先生がゴブリン作ったみたいな言い方ですが?」


「はい。エリーさんその通りです」


 エリーが質問を投げかけると、アルファのホログラムが現れて、レイの代わりに答える。


「この世の魔物と魔族の大半はマスターが昔作った実験動物たちが野生化したものです」


「ああ、やっぱり」


「あいつらのことは、好きではある。愛していると言っても過言ではない! だが、人々を苦しめ、さらには俺に攻撃を仕掛けてくるのであれば、話は別だ。殲滅する!」


 レイの声とともに、手元に操作パネルが現れた。

 そこには『対地ミサイル、発射ボタン』と書かれていた。


「アルファ、やつらの巣が近くにあるはずだ。索敵しろ」


「はい。マスター」


 モニターに周囲のマップが映し出される。


「索敵完了しました」


 マップに赤い点が表示された。


「ターゲットロックオン」


 赤い表示に標準のマークがピタリと合わさると、キャンピングカーの屋根が変形し、隠されていた巨大な砲台が展開される。ハッチが開き中から無数の、ミサイルが並ぶ光景を見て、エリーは思う。


「いや、もうこのキャンピングカー、戦車どころか、移動要塞なのでは!?」


 エリーの驚きをよそに、合図のように警告音が鳴り響いた。


「撃て!」


 レイが発射装置のボタンを押すと、大砲からミサイルが飛び出す。

 ミサイルは、鋭い音を立てながら空を裂き、一直線にゴブリンの巣穴へと向かう。

 ミサイルの発射の衝撃で、キャンピングカーが浮き上がるほどだった。


 生き残っていた巣穴のゴブリン達は、異変に気づき騒ぎ始めた。しかし、なにもかも遅すぎた。


 ドカーン!


 轟音ともにミサイルが命中。爆発の衝撃で大地は揺れ、巣穴は炎と瓦礫に包まれた。火柱が空高く上がり、吹き飛ばされたゴブリン達の断末魔の声がこだましていた。

 だが、それすらも終わりではなかった。ミサイルの後を追うように、次々と砲弾が発射され、爆炎の中に追撃が加えられる。


「どうだ。これが俺の戦い方だ!」


 エリーは目の前の光景に息を呑んだ。巣穴のあった場所には、たくさんのクレーターができ、そこにいたゴブリン達は、全て跡形もなく消え去っていた。


「マスター。全てのゴブリンの反応消失を確認しました。殲滅は完了です」


「よし! コンプリートだ!」


「先生、あのー」


「どうした?」


「もし洞窟の中に、捕らわれた人や冒険者なんかがいたら」


 レイの指がピタリと止まる。


「ア、アルファ、どうだ?」


「はい。ゴブリン以外の生体反応はありませんでした」


 レイは、おでこに浮かんだ冷や汗を拭いながら言った。


「よし! 計画通りだ!」


「先生今、ちょっと焦ってましたよね」


「そんなことないぞ。俺はすべてパーフェクトにこなす男だぞ!」


「エリーさん。マスターは頭はいいですが、物事は常に勢いだけでやってるので注意が必要です」


「おい、アルファ。余計なことを言うな」


「うーん。もしかして、私この世で最もヤバい科学者についていこうとしているのでは?」


 本当にこの人についていって、大丈夫なのかと心配になるエリーだった。


「いやなら、今から行く、元々お前を保護してもらおうと思っていた俺の飛び切り優秀な弟子のところに置いていくぞ」


「弟子? それは一体どんな人なんですか?」


 エンジンがうなりを上げ、キャンピングカーは夜の荒野を再び駆け抜け始める。

 レイはニヤリ笑って言った。


「今から会いに行くのは、俺の一番弟子――俺と同じホムンクルスにして、このよでもっとも頼れる魔女の一人。魔女ルミシアだ」

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