二日目
「おはようございます!」
現場に着くと上司の藤井さんがいたので挨拶をする
「おはよ、いや~珍しいよね?君が一人でできない連絡してくるなんて?」
「いや、思ったより状況がひどくて・・・」
「そうだったかな?」
怪訝な顔で首をひねる
「藤井さん知ってるんですか?」
「いや、いちよう写真でね・・・もして匂いのほうか?」
「そうですね・・・」
匂いもそうだが残置物が気持ち悪い・・・
とは言えなかった
「そうか、なら今日中に荷物はまとめて匂いのほうにとりかかるか!」
「了解です」
そういってお互いに準備を始める
その前に
「あの?」
「ん?どうしたの?」
「いや、自分・・・匂いしますかね?」
「?あ~!!」
そういってこちらに近づく
そして
スンスン
と匂いを嗅ぐと
「いや・・・とくには・・・」
そういってくまなく嗅いでもらう
「うん、しないな?・・・どうしたの?」
「いや、来るときになんか匂いがした気がして・・・」
そう話すと
「あ~たまにあるから!あれ!君まだなかったの?」
「はい、まだ匂いが戻るってやつですか?なかったんで・・・」
「そうなんだ~あれね~なかなか・・・今回は君がその体験するレベルか~」
そういって気合を入れていた
(そうか・・・自分からしてないんだあの匂い・・・よかった)
ほっとしながら
互いに手慣れた感じで動く
初めて記憶の匂い戻りともいうのがあり
改めてこの仕事の厄介さを感じる
準備を終えると
「じゃ!はじめるか!」
そういって藤井さんの掛け声とともに部屋に入ろうとする
その中
「昨日は結構進んだの?」
藤井さんは後ろを振り向き聞いてくる
「そうですね、上のほうは軽くですかね・・・」
「へぇ、量あったかい?」
「それなりありましたかね」
「ふーん・・・」
仕事の進捗状況に少し不満げに返事が返ってくる
「すいません・・・」
そう口にすると
「いや、いいけど・・・まぁ今日ですすめるか!」
藤井さんは気分を変えるように言葉を強めた
「はい・・・」
そういってもう一度あの部屋に戻る決意をする
ガチャ
あの不気味な雰囲気が再び流れ出す
そのなか藤井さんはずんずんと中に入っていく
その後ろをついてく
足元を気にせず進む藤井さんは写真の存在などは気にならないのか
躊躇なく踏んでいく
「・・・」
その様子をなんとなく見つめる
すると
「どうした?」
そういって振り返る
そして俺の目線をたどり目線を落とす
すると自分の足下にあるものに気づいたようで
足を動かし一枚の写真を手に取った
「写真?」
そういって確認をしようとする藤井さんに
「あ!あの・・・」
「うん?」
返事をしながら写真を見ようとしていた
「それ・・・ちょっと・・・」
「なんだよ?」
そういって映像面をみると
「うわ・・・」
と声をあげる
そのあとすぐ
「気持ち悪いな~ゴミ袋とって!早く捨てよ!!」
そういって俺に手を伸ばす
その催促にただしたがいゴミ袋を渡した
そのあと床をみて
散らばっている写真に気づき
「なんだこれ・・・全部こんな感じか?」
そう聞いてきた
「はい・・・」
気まずそうな俺の反応とは反対に
「マジか!さっさと捨てようか!!」
そう言って手早く写真を捨てる
「あの・・・いいんですか?」
「え?写真は残し?」
「いいえ、でもなんかその・・・」
言い淀むと
「なら捨てていいから捨てよ」
そういってがさっとすくい
ゴミ袋に入れていく
そして
「ほら、そっちのほうやって!」
指示が飛び
やっていないところをやり始める
速度は上がり部屋は徐々に広がる
そして、神棚のようなものがあるところを見ても
「いやーやってるな~」
と難なくその神棚を外していく
「こんなのはひさしぶりだな」
「前もあったんですか?」
作業をしながら聞く
「あったといえあったけど・・・このくらい君もやったことあるでしょ?」
「え・・・たしかにそうですが・・・この写真とかは・・・」
「あ~そういうことか!それで・・・」
そういってにやにやしながら
「怖くて助け呼んだのかな?案外かわいいところあるね!」
と冷やかしてきた
その言葉にあせって反論する
「いや!あの!そういうわけではなく!!」
その様子を見て
「まーまー、わからんでもないからなその気持ち。でもこの世界でそんなオカルトめいたこと信じてたら仕事にならないからな!」
慌てる俺をなだめるように言う
そして、また淡々と仕事をした
その姿を後ろでみて
(・・・たしかにな・・・)
すこしからかわれたが
たしかにそういうことを気にしていたらこの仕事はできないかもしれない
逆に現物(肉片)などは大丈夫なのに
見えないナニかを気にしてるのは・・・
おかしな話かもしれない
そう思い藤井さんの後を続いて片付けをした
・・・・
「じゃ、休憩しようか?」
あれからすこしたち藤井さんがいう
「はい」
俺もそろそろ一休みしたかったところだ
俺の返事をきき藤井さんは動き出す
その後ろをついて俺も部屋を後にする
そしてすこし後ろを振り向く
朝とは違いかなり、かたついた部屋
「・・・」
しかし前のなんとも言えない不気味な雰囲気は・・・
俺の中では残ったままだ
気にしてはいけないとわかりながらも
あの写真や異様な神棚などはなかなか忘れられない
「・・・うん」
とりあえずは休み
一度外の空気を吸って落ち着こう
そう思い藤井さんの後に部屋をでた