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清掃員  作者: ta-kc
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夜一日目

「ただいま・・・」

なんとなくそういって自宅の扉を開ける

これは一人暮らしあるあるなのだろか?

なんとなく言ってしまう”ただいま”

誰もいないし真っ暗な部屋

帰ってくることない”おかえり”

それでもしてしまうのはたぶん自宅という

安全地帯に帰ってきた安心感なのかなと思いながら

そのまま浴室へと向かう

作業着を脱ぎそのまま洗濯機へと突っ込む

そこに普通の洗剤はもちろんのこと

液体の漂白剤と粉の漂白剤

そして柔軟剤と香りのつく香料材

正直にいうとあの手の匂いは服や髪について

ずっとついてくる

帰りは人に会えないし

買い物もできればしたくないというか

迷惑を思うとなかなかできない

それぐらい強烈なのだ

しかも、他の衣服と洗おうものなら

その服にもつくし洗濯機にもつく

だからコインランドリーが一番いいのだが

毎回行っては正直経済的に辛い

だから俺は毎回一番最初に洗濯

そして徹底的に漂白剤を入れて香りをつける

そうすれば意外と消えるというか

誤魔化しているのかもしれない

だが今のところそれで生活できてるので

この方法は案外成功しているのかもしれない

あるB級日本ホラーのこの【特殊清掃】を題材にしたものがあり

その中でも匂いのことをやっていた

しかし、洗濯せずにそのまま服といっしょに風呂に入れ

みたいので理由は洗濯機に匂いが付くからというやつだった

わからんでもないが洗濯機よりも衣服の方は?

という内容でなんかしっくりこなかったことを思い出した

その映画のことをいうとキリがないほど粗があった

ものによっては闇の仕事扱いされている作品もあった

そういうあまり知られてない仕事だと痛感する

そんなこんなで洗濯機を回し

浴室に入りシャワーを浴びる

そこで今日の現場の匂いを鼻の奥から取り除く

別に鼻の中を洗うわけではない

匂いはその場を離れても

何となく香る

それはやはり髪についていたり

体のどこかに染みついてしまったのだと思う

外を歩いていたとしても

ふとした瞬間に匂いが戻ってくる

その匂いをシャンプーやボディーソープの香りに置き換える

人によっては似たような匂いが記憶から戻るとか・・・

今のところその経験はないが

いつかはそうなるのかな?

頭の中はそんなどうでもいいことで満たし

日常を浴室から出ることから取り戻す

やっと仕事から解放される瞬間

買っておいた食材をみて

軽く調理して今晩の夕食とする

いつも通りの行動で出来た料理を

リビングに運びテレビをつけて

某配信サイトをつなげて見流しながら

食事をする

そして終わったら片付けて

自由時間・・・

なんてことない

いつもの行動をしていく

我ながらメリハリのない生活だと感じる

そしてこのように何もない生活の果てに・・・

その時何となく今日の現場を思い出す

「いやいや・・・」

独り言で否定する

ただ現場をその日に思い出すなんて

久しぶりな気がした

それほど強烈な印象だったんだなと

振り返り心の中で驚いていた

「気持ち悪い部屋だったからな・・・」

この一言につきた

何となく思い出すのも気分的に良くないので

集中できること

最近人気のFPSをしてその世界に没頭することにした

・・・

「おっ」

いつの間にか時間は0時を過ぎていた

なかなか熱中してしまった

明日のことを考えるとそろそろ寝る時間だと思い

キリのいいところでゲームを終えた

「ふー、さて寝ますか」

そう自分に今日のねぎらいを言い

テレビを消し

寝る準備をする

寝具に入る前に

トイレに行き

今日という一日を終えようとした

「ふわ~」

あくびをしながら寝具に向かうすると

パチッ

暗い部屋に突然明かりが射す

「え?」

その光景に驚く

突然テレビの電源が入った

そこに映るテレビ番組

タレントの声が部屋に鳴る

「・・・」

状況がつかめず固まる

特に設定でテレビがつくような操作はしていない

というか一度もそんな設定はしたことない

もちろんリモコンを踏んでいるとかもない

悪寒がはしる中

「・・・うん、たぶんまぐれ的な?・・・」

そう言い聞かせてテレビの電源を本体部分のスイッチで消す

念には念を入れよ!

みたいな感じで何となくおどけないと

恐怖を感じてしまいそうだから

こういうことは初めてだからなんとなく

ホラーなことを考えてしまう

「・・・」

すこし沈黙を挟んで

ベットへと歩きだす

そのときふっと浮かんだのは

学生時代のことだった

真夜中に消し忘れたテレビが光って

目が覚める

すると画面は突然暗くなり

不気味な村の画像に切り替わり

家々から人の形をした何かが

ぞろぞろ画面に向かてくる・・・

その光景に

「え!?これって!!」

っと驚きと恐怖で固まりながらも

頭を伏せた

なぜかというとこのこの時期話題になった

ホラー映画のワンシーンそのままだったからだ

[やばいやばいやばい!!!!]

ホラー映画が再現される!!

そう本気で信じて声を殺してうずくまる

すると

「○○〇公開中・・・」

最後に映画の宣伝が流れて画面は普通のCMが流れる

その光景はあまりに間の抜けた感じで

瞬時に冷静さを取り戻してくれた

そして

「・・・俺って・・・ハハハ」

自分の行いに思わず笑ってしまった

瞬間的にでもありえないことが起こった

そう感じて恐怖して怯えるその様は

なんとも情けなかったし

事実を知ると本当に可笑しかった

その記憶が頭に浮かび今回も同じ

瞬間的に起こったありえないことに

自分がいろいろ考えて恐怖しているだけ・・・

そんな風に思い布団の中に潜り込むのだった


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