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懐かしの…

「紅葉、これどういうこと?」

「た、高崎君、に、似合ってるよ?」「うん……」「えっと、私ちょっとトイレに」


不機嫌を隠そうとしない俺と、ご満悦な紅葉。


しかしどちらがおかしいのかは分かる――絶対に紅葉だ。

紅葉の同調圧力メンバーズですらどう言葉にしていいのか分からずこの反応なのだ。あ、今1人逃げやがった。


「えへへ、懐かしいでしょ。小学校の頃2人でやったんだよね」


そう、今俺は紅葉に任せると言っておいたコスプレ喫茶の衣装を紅葉に渡され着替えたところなのだ。


「まさかスイミーのこと?たしかにやったけどさ、高校生になってまでやる必要なくない?完全に罰ゲームでしょこれ」

「罰ゲームってひどい!大丈夫、私も魚になるから!」


いやマジでよく考えろ、みんなが可愛かったりかっこいいコスプレをしている中で魚が給仕してるんだぞ?どう考えてもおかしいだろ……。


「百歩譲って魚なことはいいけどさ、なんで衣装まで小学生クオリティなの?」

「頑張って作ったんだから!」


首から下は青色のタイツに、魚の全身を紙で再現したものを頭にかぶる。

これが許されるのは小学生までだ。もし中学生がやっていたとしても正気を疑う。


「それに悠はほとんどキッチンにいることになったでしょ?あんまり客前には出ないんだからそこまで心配することもないでしょ。それに今から新しい衣装作るって言っても時間ないよ?」

「まあそうだけどさ……あ、曽我ちょっといい?」

「なんだ?」


衣装を自分で用意することも少しは考えるが、お金もあまりないし半分諦めモードだ。

まあ紅葉の言う通りキッチンにいる時間が多いだろうし、そもそも誰に見られたところで恥ずかしいだけで問題はないのだが。


それよりも今は紅葉に付き合っている場合じゃない。文化祭実行委員に相談したいことがあったんだった。

曽我か美濃を探していたが、ちょうど廊下に曽我を見つけたので紅葉との話を切り話し掛ける。


「悪いけど俺1日目は部活の方に顔出さなきゃいけないからクラスの方手伝えないかも。うちの部活3人しかいないからどうしても手が足りなくてさ」

「え、悠の部活ってそんなに人少ないの?しゃーないか。俺達でどうにかするからまあ任せろ。2日目は大丈夫なんだよな?」

「うん、2日目も少しはあっちに顔を出すと思うけど、基本的にこっちにいれるはず」

「おっけー」


こういうとき嫌な顔1つせずこちらの事情をみ取って対応してくれるのは助かる。曽我が文化祭実行委員になってくれて良かったな。


外遊部も展示だけなら番を1人置いていれば事足りるのだが、1日目にポトフを配ることが決まったので、それを配り終えるまでは間違いなく拘束されることになる。客が多く並ぶようなことがあれば3人では手が回らなくなるかもしれない。割り切って展示の方を放置する手もあるにはあるが。


それとは逆に、クラスの方はそこまで忙しくなることはないと踏んでいる。それというのも、他にも同じように喫茶店を開くクラスがいくつもあるらしい。うちのクラスの強みと言えば、料理はオーソドックスなものしかないのだから、コスプレのバリエーションという1点に尽きる。だから、文化祭に来る客の母数が大きすぎたり、余程うちのコスプレに人が釣られでもしない限り大丈夫だろう。

それに屋台のような売り切りと違い、席数も限られているし客の回転はほとんど客の滞在時間に依存していると言えるので、やはり現在の人員でも十分だろう。


「悠の部活は何するんだ?」

「キャンプ用品の展示と、1日目にキャンプ飯ってことで軽食を出すくらいかな」

「あー、じゃあ前日の買い出しもそっちに行かなきゃいけない感じ?」

「そうなるかな。マジで悪い」


俺がそう謝ると、どうやら俺以外にも文化部連中は忙しい人間がおり、同じように何人か頼みに来たのだとか。

そんな状況だからこそ運動部も張り切るしかなくなり、曽我としては逆にやりがいを感じているらしい。


自分達も文化祭の主役になれるから忙しいことが嬉しいと、そう笑いながら語っていた。

……さてはお前、ドMだな?


「でもさ悠、それはないわ~」

「え?」

「ほら、他のクラスのやつらにも笑われてるぞ」


俺は教室に飛んで入った。

2月は不定期更新となります。

何卒ご容赦ください。

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― 新着の感想 ―
[一言]  謎の魚スタイルではどうでしょう。  丁度千葉の球団から引退?したはずですし。
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