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デレ

紅葉は昨日家を訪れ、何も問題なければ俺が今日退院するという情報を父さんから入手していたらしく学校を休んだようだ。

俺は家で安静にするだけだから学校に行けばと提案したが紅葉はあっさりとそれを棄却。仮病を使って休んだのだから、それで学校に行くのはどうとかこうとか……。


そして今、俺は自室のベッドで横たわり、紅葉はご飯を作るということでキッチンにいる。


何を作るのだろうと思っていたが、もう既に部屋の中までエスニックな匂いが立ち込めている。

そう、これはカレーだ。

確かに好きだよ?でもこういうときって普通食べやすいものとか栄養があるものじゃないの?まあ食欲がないわけじゃないからいいけど。

……いや結城にエビチリ作った俺が言えることじゃないか。


「できたよ!一緒に食べよ」


これがおばさんのカレーなら言うことないんだけどなぁ。


「ありがと。じゃあ食べよっか、いただきます」


そうしてカレーを口に運ぶ。

……ん!?!?


「ねえ、これおばさんの味がするんだけど……」

「ふふ~ん、ゴネにゴネて教えてもらったんだよねー」


久しぶりに紅葉に有用性を見つけることができた。

既におばさんのカレーの唯一性を模倣できており、ほとんど同じと言ってもいいレベル。

それに紅葉が作ったという台無しのスパイスが加えてあるが。


「で、隠し味はなんだったの?」


それさえ分かればたぶん俺でも作れるようになる。

ならば奪ってやろう、その存在意義を。

だから口を滑らせて欲しいところだが……。


「秘密ー。食べたかったら私かお母さんに頼むしかないね。あ、いっぱい作ってるからおかわりオッケーだよ」


しかしそう簡単に教えてくれない。

まあおばさんにもかなり聞いたが教えてくれないのし、紅葉からしたらチャンスを逃すことにもなるから当たり前と言えば当たり前。


そうして一度おかわりをした後、またベッドに寝っ転がる。


「ねえ、1つ聞きたいんだけど」


突然声のトーンが下がる。


「この前、早田って生徒のこと私に聞いてきたよね?悠が階段から落ちた時に階段の上にいた3人の1人が早田って生徒なのは聞いたんだけど関係あるよね?」


もう3人の事も噂になっているのか。

それ自体は悪くないことだが、紅葉にはどう言うべきか……。


「前に言った通りあんまり詮索して欲しくないけど、関係はあるよ」


ここは完全に惚けるべきじゃないだろう。最低限ではあるが認める必要がある。それ以上は話すつもりはないが。


「事情は話してくれないの?」

「幼馴染だからってなんでも話せるわけじゃない。だからもう気にしないで」

「で、でもまた同じようなことがあったら私は!……私は、悠の身になにかあったら耐えられない……」

「実際今回のことは丸く収まると思う。それにもうこんなことはないようにするから。だから胸の内に秘めておいて」


俺が頑ななこともあり、紅葉もしぶしぶではあるが了承してくれる。

いくら苦手と言っても、ここまで心配されてしまうと紅葉にすら申し訳なさを感じてしまう。


やはり病院送りともなると冷静でいられないのは当然か。


「紅葉、心配してくれてありがとう」

「うん」


だからここは人として素直に感謝するべきだ。



既に時間は17時。父さんはまだだが、紗由はそろそろ帰ってくるだろう。


「じゃあ私もそろそろ帰るね。ゆっくり休んで。あとカレーはまだまだあるからおじさんと紗由ちゃんにも食べさせてあげてね」

「ああ、紗由もおばさんのカレー好きだったから喜ぶと思う。今日はいろいろ助かったよ。明日また学校で」

「うん、またね!」


なんだかんだで世話になってしまった。

早田との事を問われはしたが、カレーは作ってくれたし、それ以外の時は同じ部屋にいたとしてもほとんど会話はなく紅葉なりに安静を心掛けてくれたのかもしれない。


紅葉が帰った後も特に何をするでもなく部屋で安静にしていると、どうやら紗由が帰ってきたようで部屋の扉が開く。


「悠、大丈夫?階段を踏み外したんだって?父さんからはなんともないって聞いたけどさ……本当ドジ」


そう、昨日父さんと話をしたときに紗由にはそう伝えると2人で決めていた。

家族と言っても中学生の女の子に聞かせられる内容ではないし、兄としても格好がつかないしね。


「もう大丈夫。心配かけたな」

「フンッ」


それで話は終わりと扉が閉められ、紗由の足音は自分の部屋へと向かう。

もう、シスコンになっちゃいそう。

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