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脳内対策会議

学校に向かいながら頭はイジメの対策について考える。


どうする。先生に頼るか?

……いやそれはない。


まず第1にこの事を他の誰かに聞かせるべきじゃない。

結城がどういう気持ちで俺に話してくれたのかは分からない。それは信頼かもしれないし、それとはまた別の感情からかもしれない。しかし結城だってやっとのことで俺に話してくれたのだ。

それが最善ならまだいいかもしれないが、結城としても簡単に誰かに話して欲しくはないだろう。


そして第2に先生という立場だ。その立場から取れる手段はあまりにも少なく、その正攻法は時としてより悪い結果をもたらすだけになってしまうかもしれない。


同じく部長にも話さない。

仲間外れにしない、頼りにさせてもらうと言いはしたが、昨日結城の様子を確認した時点でなんでもないと返信しておいた。

俺だけの問題ならばいいが、結城の、それもここまでの大事に関わらせるつもりはない。

今回は例外的事象。


『結城今日も学校に来れないみたいです。部活どうしますか?』


とりあえず部長にそうメールを送っておく。

この件が片付くまではなるべくこっちに専念したいし、前の部長の感じだと結城も揃って部活を進めたいはずだ。幸いまだ文化祭までは余裕がある。


つまりは今回の件、妙案でも浮かばない限りは俺1人で解決することになる。

果たして俺にできるだろうか?……いやなにがなんでもしなければならない。


だから俺1人でできることについて具体的に考える。


まず思い浮かぶのは録音・録画による明確な証拠の入手。紗由もこの方法で俺の無実を証明してくれたのだが、残念なことに結城がこの方法で1度失敗している。また相手も警戒心が強いらしく俺が直接聞いたとして何かを口にしてくれるとは思えない。結城がまた暴力を振るわれることがあればいくらかやりようがあるがそれは論外。1人でやるとなるとあくまで予備の一案という程度だろう。


次に思い浮かぶのは暴力。相手が暴力で来るならこちらも暴力による恐怖で相手を支配する。下手な案よりは解決の可能性があるようにも思える。だがこれもなし。まず俺は喧嘩をしたことがなければ人すら殴ったことがない。凶器でも使わなければ成立する気がしないし、それで相手に被害を出してしまえば元も子もない。どちらにしろこの方法は俺に大きなリスクが伴うことは必至。それが俺だけで完結すればまだマシだが家族にまで迷惑が及ぶ可能性が高いし、俺が退学・逮捕ともなればここまで育ててきてくれた父さんに顔向けができない。


正直この手段を選ぶなら、結城に了解を得て先生にイジメの事実があったことをほのめかし、口頭注意により手を出しづらくさせる方がまだ成功確率は高いんじゃなかろうか。

まあ結城自身がこの選択をしなかったわけだし、先程自身で考えた通り使うつもりはないが。


う~ん、なにかいい案はないかな……そう考えているうちに学校に到着してしまう。

今は4限の途中のはずだ。授業中に教室に入るのはなんかえらい注目されそうだし、昼休憩に入ったら職員室へ行って担任に遅刻の旨を伝えればいいだろう。


ブブブ、ブブブ


するとケータイがメールの受信を知らせる。


『わかった。今日の部活も休みにする。でもずっとこのままというわけにもいかない。来週結城が登校して来ないならいろいろと考えなければいけない。とりあえず私から結城に連絡しておく』


授業中にメール送るとか案外部長悪い子だわ。

俺は了解のメールを送り4限終了のチャイムを待つ。


キーンコーンカーンコーン


4限が終わるまでの間思考に没頭できたが結局何も思い浮かばない。

なので、やることは先に済ませようと職員室に向かう。


「失礼します」

「高崎、朝のホームルームの時にいなかったが、まさか今来たのか?」

「はい、ちょっと寝坊しちゃって」


職員室に入ると、いつもの場所に多井中先生が座っていたので遅刻の報告をする。


「ずいぶんえらくなったもんだな。まあいい。それと結城は大丈夫そうだったか?」

「無事でしたよ。ただまだ体調があまり良くならないみたいで、治らないようなら病院に行けって念は押しときました。あとちゃんと休むなら連絡しろって言っといたんで大丈夫だと思うんですけど」

「ああ、D組の担任からは連絡があったと説明を受けた。風邪が長引いてるらしいが、見てきた高崎がそう言うならば大丈夫そうだな」


ちゃんと言われた通りに連絡したんじゃん。えらいえらい。

とりあえず先生への対応も今はこれでいいだろう。


「今回は手間をかけたな。だがそれと遅刻は別の話だ。今後遅刻することのないように」

「はい」


遅刻の処理を終えた俺はまたいつもの日常に溶け込んでいく。

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