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クラスの出し物②

その後も思い思いに意見を出し合い、曽我が全ての候補を黒板に書き終える。


・メイド喫茶

・スク水喫茶

・執事喫茶

・屋台2つ

・彩円寺についての展示

・お化け屋敷

・紙芝居

・演劇

・スタンプラリー

・マジックショー

・絵の展示


演劇と絵の展示は演劇部と美術部がいるから完全に劣化になってしまうので良案とは言えないだろう。まあ劣化で何がだめなんだと聞かれればだめではないのだが。


しかし、クラスの多くが参加でき、客のニーズにも応えるって案外難しい。オリジナリティを出そうと思うと大抵どちらかに引っかかる。例えばスタンプラリー。見事達成すると豪華景品!とは言っても数多く用意でき、客が満足する商品なんて用意できる気がしない。それならいっそ夏祭りの的屋みたいにゲーム機なんて目玉商品を用意しておき、他のハズレをごまかせる出し物の方がまだ需要はあるだろう。


「やっぱスク水喫茶がいいよなぁ……」

「めっちゃわかる」

「スク水喫茶がいい人ー!」

「「「はーい!」」」


周りに釣られるように多くの男子から手が挙げる。こういうときはマジョリティに寄り添っとけば角が立たないだろと俺も手を挙げる。右前方を直視できない。幼馴染が目を引ん剥いて見てきている。知らんぷり知らんぷり。


余談ではあるが、2学期が始まってすぐに席替えが行われ、俺はなんと主人公席と呼ばれることもある窓際の1番後ろの席を手に入れた。俺の前にはクラスでも静かな宇井ういという男子生徒、隣にはお寺の展示を提案した黒峰さんが座っている。関わりが最も多い2方向を静かな生徒とまじめな生徒に挟まれた、教室においてのベストプレイス。ちなみに曽我は俺の2つ前の席、紅葉は真ん中の方だ。


「お前たちは本当にスク水喫茶なんてものができると思っているのか?私は言ったはずだぞ。常識の範囲内でとな」


そりゃそうだ。どこにスク水で食べ物を提供する学生を静観してくれる高校があるというのか。まあできるならそれはそれで俺はよかったが。


「どっち道喫茶店なんて飽和状態でしょ。それならもう屋台2つでよくない?」

「えーなんかそれ味気ないー」

「じゃあ何するんだよ」

「だから彩円寺の展示をと……」


となりで黒峰さんがボソッと呟いているが、近隣の席の人間にしか聞こえてないだろう。


「もーそれじゃキリがないでしょ。そうだ、そこの席から順番に自分がいいと思う出し物にチョークで正の字を書く感じで投票していって、それで多かったのにしましょ。世の中数が正義よ。あ男子、スク水喫茶はなしだから」


さすが文化祭実行委員。まとまらなそうだった話もこれで決まることになるだろう。



まずいまずいまずいまずい!


メイド喫茶とマジックショーが1票差の戦いを繰り広げている。そこで最後の投票権が俺。さっきまでベストプレイスなんて他人事のように考えていたが、そのせいで今俺は窮地に立たされている。だがここで迷ってはだめだ。すぐに今の状況を整理してタイムラグなく投票し席に戻るべきだ。

まず俺がマジックショーに入れた場合メイド喫茶と同票になってしまう。その場合俺さえマジックショーに入れなければと男子に睨まれてしまうかもしれない。その後おそらく決戦投票が行われることになるだろうが、そこでマジックショーに決まってしまうとまた新たに問題が発生する。その問題とは、俺がマジックショーの係に振り分けられた場合、出来合いのマジックグッズを使うとしても人前で披露するために結構な練習が必要になることだ。逆にメイド喫茶の場合は男の俺は間違いなく裏方に回される。


メイド喫茶に乗り気じゃない女子が多いのか、既に最後の投票に向かう俺に女子達の視線が突き刺さる。

マジックショーには既に投票する気がないし、ならばメイド喫茶に入れるか?いやそれでは俺もメイド喫茶一派として女子から睨まれるかもしれない。だめだ、もうこの状況を無傷で切り抜けることはできないだろう。マジックショー側からしたら俺が戦犯確定だ。なら票数が少なく『へー高崎君はそんなことしたかったんだ』程度にしか思われない事を願って……ここだ!


「高崎君も彩円寺に入れてくれたんですね」

「いいよねお寺」

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