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クラスの出し物①

「今から1年A組の文化祭での出し物を決めるが、その前に文化祭実行委員を男1人女1人の計2名選出する。誰か立候補はあるか?」


文化部としての出し物はあるが、もちろんクラスとしての出し物もある。この学校は部活に強制入部で、文化部の人間としてはそちらだけで手一杯の人も多いだろう。合理的に考えるならクラスの出し物は運動部の連中が主体になって欲しいところだ。だから紅葉、俺の方を見てくるな。


「はいはい!俺やりますよ!」


ナイス曽我。柔道部に似つかわしいと言えるいかつい見た目とは裏腹にこういうこと好きそうだもんな。

曽我、よかったらお前を睨んでいるその女子も引き取ってくれない?


「なら男子は決まりだな。女子は誰かいないか?」

『夕陽さんがいいと思いまーす』


言いてぇ。でも紅葉が文化祭実行委員になったからといって、だからなんだという話だ。少しだけ俺との接点が減るくらいだろう。後が怖いし、その償いとしてまたどこかに連れ出されちゃ元の木阿弥もくあみだ。


「夕陽、さっきから曽我を見つめているがどうだ?」


ナイス先生!俺からの提案でないなら話が変わってくる。大人の威厳を見せつけてその小娘丸め込んじゃって!


「は?やらないですけど」

「そ、そうか……」


先生よっわ……いや違うな、これはしょうがないか。紅葉の今の声には感情の色が全くといっていいほど感じられなかったし、しかもめっちゃ低かった。今は前を向いているので顔を確認できないが、真顔の時に見せる猛禽類のような目で先生は見つめられているんじゃないだろうか。


「え、えっと誰か立候補は?なければ夏祭りの時のようにくじ引きをするぞ」

「じゃあ私やろっかな。文化祭の委員ってなんか面白そうなイメージもあるし」


そう手をあげたのは美濃みのさんだ。バスケ部所属のお調子者って感じの女子で、雰囲気だけなら女版曽我って言っても差しつかえない。これはなんだかラブコメの波動を感じるね。

最近なにかとラノベ基準で物事考える俺はそんな風に考える。


「よしじゃあ曽我と美濃。これからお前達2人が司会となってクラスでの出し物を決めてくれ。出し物は常識の範囲内でな」

「「はーい」」


そうして先生は椅子に座り、曽我と美濃さんが教壇に立つ。


「じゃあ早速だけど何かやりたいことある人ー、曽我は言われたこと黒板に箇条書きにしていって」

「オッケー」


美濃さんが声を投げかけると、皆思い思いの事を口にし始める。


「やっぱ今の流行りであり定番のメイド喫茶っしょ」

「でもそれだと絶対他クラスと被るって。うちはセクシー路線でいこうぜ!スク水喫茶とかいいじゃん」

「うわー男子きっも」

「スク水喫茶なんて選んだら、男子も海パン一丁で給仕させるから」

「それなら逆に執事喫茶なんか……ってうちのクラスの男連中が執事やったところでって話よね」


わかる。女子の場合は女子高生というだけで価値が生じるが、男の場合はそうとは言いきれない。俺個人の趣味としては執事は歳を取っていればいるほどいい。老年で白髪をきれいに整えた品のあるおじさまなんて最高だ。


「接客に重きを置いた喫茶店形式じゃなくてもさ、普通に食べ物を提供するだけの屋台でもよくね?美味しいものを提供できればちゃんと客は来てくれるだろうし」

「あー言い忘れていたが、各クラス屋台は1つ出してもらうことになるぞ。教室での出し物に偏り、外に屋台が数えるほどしかないなんてことを防ぐためにな。もちろん屋台と喫茶店両方をやるのもいいし、屋台を2つなんてことも認められている」


先生それ1番最初に言っとくことでしょ。ちょっとだけ時間の無駄になっちゃったよ。

しかし文化部と各クラス2つずつの出し物と考えるとこの学校の文化祭、結構賑やかになるな。


「私はこの街にある彩円寺さいえんじについての展示をするべきだと思います。国の重要文化財であり、出し物としての唯一性もあります。とても素晴らしい場所ですし、知らない人には知ってもらいたい。知ってる人にはより深くを知ってもらいたいと思います」

「「「…………」」」

「なしで」

「なしね」

「なんで!?」

「いやだってそれ絶対俺達がおもしろくねーじゃん」


黒峰くろみねさんの提案はものの見事に否定される。曽我が追い打ちをかけるように『彩円寺についての展示』と黒板に書いた後取り消し線を書き加えている。


でも俺は悪くないと思うけどね。いいじゃんお寺の展示。写真やそのお寺の歴史なんかを調べて貼り付ければいいんでしょ?楽だし一定の層には需要もあると思う。まあ懸念点とすれば、先程言われていた通りそれを作る側が楽しくない者が多数ということ。そしてそもそお寺に興味を持つような年齢層の人達が来校するかということだろうか。

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