表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
49/88

ショッピング①

あれから夏期講習が始まるまでの数日は、残ったラノベを読みつつ、たまに外へ出かけては新しい発見を求めて街を彷徨さまよう日々が続いた。


初日に見つけた喫茶店ほどの発見は残念ながら得られなかったが、唯一挙げるとしたら雰囲気のある神社を見つけたことくらいだろうか。


喫茶店といい神社といい俺はその場特有の雰囲気のある場所というものが好きだ。まあ神社の方は本当にたまに訪れるくらいならいいかもしれないが、特に何か目的を持って行く場所ではないので、その機会はなかなかなさそうだ。


この数日間を過ごした中でなにより残念に思ったのは俺の意志の弱さ。出掛ける度に数百円ずつ使っていたらいつの間にか総額は3000円近くになっていた。正直かなりまずい。8月に入れば小遣いをもらえるとはいえ、それをあわせても全財産6000円ほど……詰んだか?



夏期講習が始まってからは、再び勉強のスイッチも入り期末テスト以前のような変わらない日常が戻っていた。休みに学校へ通うという少し変わった趣はあるし、講習自体は午前の日もあれば午後の日もあり1日3コマ分と少なめではあるが、やはり学校を行き来するという時点で夏休み感はまるでない。


そういえば夏休みに入ってからも外遊部は未だ活動していないが、このまましないんだろうか?部長ならアクションを起こしそうなもんだが。


そうこうしている内にあっという間に1週目が終わり、紅葉とのショッピングの日を迎える。


「なんだかちょっと緊張するね。久しぶりの2人でのお出かけだし」

「だな」


いかにお金を使わず乗り切るかのこの緊張感、たまらない。夏なのに冷や汗が出てくる。


「で、今日はどれくらいの時間の予定?」

「んー、夕食には帰るくらい?」


今10時半だよ?それってもう日が出てる間ほぼずっとじゃん。


「服買うだけだよね?」

「うんそうだけど、あとはお昼食べたり雑貨なんかも見てみたいかな~」


そんな話をしながら、俺たちは今、最寄りにある大型ショッピングモールへと足を進めている。ここ以外でこの街に服屋が密集している場所なんてないし、雑貨屋と食事処もあるので、恐らくここで全てを終えることになるだろう。


昼飯どうしようかな……。


「服一緒に選んでね」

「いいけど、俺女子の流行りの服装とかうといよ?普通に紅葉の感覚で選んだほうが間違いないと思うけど」


服装の流行りって少し特殊だと思う。俺のファッションセンスがあまりにも周りとかけ離れている可能性はあるが、俺的に微妙に思えるアイテムを皆当たり前のように着ていたりする。特に女子に関しては可愛いから着るのではなく流行ってるから着るなんて感覚が強いと聞いたことがある。他人指向で周りから除外されることを恐れる思考からなのか、もしくは流行っていればそれはかわいいになり得るんだろうか。


「何のために買うと思ってんの?悠が直感的にいいと思えるもの選んでくれればいいから」


俺が選ぶんだから俺のため?いやいや紅葉と私服で過ごすことなんてほぼない。家に行ったらだいたい家着だし。じゃあ何のために買うんだよ……これから定期的に俺と外で遊ぼうなんて思ってないよね?


「なんなら私が悠の服も選んであげるけど」

「いやいいや、今持ってるので十分」


そんなお金ないし、服なんて季節毎に何種類か無難なものを持っていればいい。


そうしてショッピングモールに着いてからは、普段紅葉が行くようなお店だけを回るのかと思っていたが、服屋という服屋を手当たり次第に回っている。これ好き?似合ってる?なんて聞かれ、俺はその度にうんうん、いいね、なんて答える機械と化していた。


「そろそろご飯食べよっか」


時刻は13時半。ご飯を食べる時間としては少し遅いが、休日ということもあってお昼時は混雑していたのでそういう見方をすればちょうどいい時間と言える。

俺たちは定食屋に入り、すぐに席に通されメニューとにらめっこする。


「こちらお水になります。ご注文はお決まりでしょうか?」

「私は5種のチーズハンバーグ定食と飲み物はコーラで。悠は?」


なかなかガッツリ食うね。

女子高生くらいになってくるとお腹周りを気にして少食になりそうなものだが、紅葉にその気配はない。テニス部で日々運動しているしそういう悩みとは無縁なのかな?


冷奴ひややっこ1つお願いします」

「5種のチーズハンバーグ定食がおひとつ、コーラがおひとつ、冷奴がおひとつ。以上でよろしかったでしょうか?」

「はい」


昼食100円!


「悠?なんでそれだけなの?」


店員が去っていくと、紅葉はそう問うてくる。冷奴1つと告げた時からジトーっとこっちを見続けてきてはいたが。


「いや、ちょっと最近健康志向に目覚めてさ」

「この前家に来たときなんてお母さんの料理バクバク食べてたくせに」

「おばさんの料理は美味しすぎるからその時だけは特別」


え、待って。若干目が潤んできてない?


「せっかくの私とのお出かけなのに……もしかして楽しくない?」

「すいませーん、注文いいですか?あ、えーっとからあげ定食1つ追加でお願いします!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ