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虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
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お腹でも痛いの?

「こんにちはー」

「高崎遅かった」

「……」

「すいません、7限に使った教材納めるの手伝えって言われちゃって。先生も職員室に寄ったらすぐ行くって言ってたんで、もうちょっとしたら来ると思いますよ」


なんか結城機嫌悪くない?いやいつも悪いんだけど、なんか今日はいつも以上に視線が突き刺さっている気がする。


「結城どうしたの?」

「……」

「ここに来た時からこんな調子。高崎が来てからさらに悪化した」


え、それって俺が原因ってこと?

わざわざこんなときに構う必要もないだろ。放置だ放置!触らぬ結城に(たた)りなし。


「そういえば、部長はキャンプ道具どうやって学校まで持ってくるんですか?」

「私は大きなリュックがある」

「あーそうなんですか。何かないと厳しいですよね。俺も考えないと……」


父さんにも聞いてみたのだが、ちょっと大きい手さげ鞄しかうちにはなかった。大荷物を持って出かけるということ自体あまりないしな。しかし、テントや薪割り台など入れるにはあれでは不十分だし、俺にはさらにクーラーボックスまであるのだ。


「遅くなったな」


荷物をどうするべきか考えていると先生も遅れてやってくる。


「それじゃあ今日の部活を始める。あ、その前に先生、これこの前買ったものと各自家から持っていくものをリスト化したもの」

「おお、準備がいいな。ふむふむ。わかった」


たしか先生も俺達が持っていくものを確認して自分の荷物を決めるとか言ってたな。なにか別に必要と思う物でもあるのだろうか。


「それで今日の議題はズバリ、キャンプを日取り。キャンプ場は前に話した通り高迫キャンプ場」

「いつも通り俺はいつでもいいですよ。たぶん結城も」


あ、最近の癖でつい結城に触れてしまった。やっと外れたと思った視線が再度向けられる。


「今日の結城はどうした。私ですらなんか怖いぞ」


ほら、大人ですら威圧感を感じてるぞ。今すぐ笑え。


「難しい年頃なんですよ俺達の年代って」

「で、結城、どう?」


そう、結城に質問をするには部長が適任だ。俺じゃ話にならないことは確定として、先生よりも部長に対する態度の方が少しやわらかい気がする。


「いつでも大丈夫です」

「私もいつでも大丈夫」

「お前たち、花の高校生なのになぜいつも揃いも揃って予定がないんだ?」

「「「……」」」

「……なんでもない。すまなかった」


察してくれたかな?(にぶ)いよ先生。


「私たちはいつでもいい、つまり先生次第」

「そうだな、いつでもいいんだな?」


先生はスケジュール帳を開き予定を確認する。そういえば先生ってそんなに予定が詰まる職業なのだろうか?ぱっと考えただけじゃテストの作成と採点くらいしかイメージが湧かない。まあ今はちょうどテスト期間だし、1番忙しい時期なんだろうな。


「ではそうだな。6月の1周目の土日ではどうだ?お前たちは入学したてで軽いテスト程度しか行われてないが、今は中間テスト期間だ。今週末は採点で忙しい」


俺たちは入学してまだ1カ月半。

1年生でもたしかにテストは行われたが、あんなもの小テストレベルだ。まだ難しい範囲に入ってる教科もないし、少し暗記さえすれば全く問題ないレベルだった。


「先輩はそんな素振りなかったですけど、テスト大丈夫なんですか?」

「私は頭がいい」

「え、意外」

「む」


先輩がジト目を向けてきているが、だって予想外すぎる。さっきまで俺を睨んでいた結城ですら驚いてるじゃん。


「いや悪い意味でじゃないですよ」

「そう」


ちょろい。頭がいいなんて絶対嘘だ。


「じゃあ6月の5日と6日、つまり6月に入ってすぐの土日で1泊2日だ」

「それで大丈夫」


ほら、先生と違って部長はもう慣れている。再度俺らに確認を取るなんて素振りすらない。

結城はさておき、俺は決してやることがないわけじゃないですからね!ただラノベを読むという趣味が時間の融通が利きやすく場所を選ばないだけだから!


「今日の部活あっさり終わっちゃいましたね」

「私たちの本番は今じゃないから。それじゃあ私はさっさと家に帰って勉強する」

「あれ、勉強はするんですね」

「時間が取れるなら一応するべき」


そう言って先輩はそそくさと帰って行った。なんか焦ってなかったか?


「じゃあお前たちも早く帰れよ」

「「はい」」


2人で取り残されてしまった。

こっちを睨みつけてきているが、用がなければ俺も帰りたいんだけど?


「一緒に帰るか?」

「なぜ私が貴様と一緒に帰らなければいけない」

「あっそ。じゃあ俺は帰るわ、またな」



今校門を出たところなのだが、後ろを見ると結城がいる。いや、別々に帰るんだったらちょっと間隔開けてくれよ。ずっと後ろから視線を感じるくらいなら、一緒に帰るほうがまだマシなんだけど。


このまま駅に着くまで後ろから睨み続けられるなんてたまらないと、俺は結城と並ぶように歩くペースを遅める。いやなんでお前まで歩くペース遅めるんだよ。


「今日どうしたの?」

「貴様はこの学校に仲がいい人間はいるのか?」


何だその質問。結城の口から出てくるような質問じゃない。


「いや別に?幼馴染がいるけどそこまで仲が良いってほどじゃないし、他で結構話すっていったら外遊部くらいだし」

「……」


いや答えたんだから反応しろよ。なんでそんな質問してきたか意味分かんないじゃん。

まあ既に並んで歩いてるわけだし、何かしら話そう。


「そういえばさ、結城はキャンプ道具どうやって持ってくの?」

「……」


答えないけどまあいいや、勝手に話し続ければ興味があれば割り込んでくるだろ。


「大きな鞄ないときつくない?あ、でもテントは『私のほうが近い』とか言って先輩が持って帰ったんだっけ。じゃあそこまで荷物が多いってわけでもないか」

「私はあまり大きい鞄は持ってない」

「キャリーケースとかは?」

「ない」


俺も何か用意しなければいけないし、結城だって今後のためにもリュックなりキャリーケースなり持っておいたほうがいいだろう。ならば一応声を掛けてみるか。


「じゃあホームセンターでも行ってみる?俺もテントだけじゃなくてクーラーボックスも運ばないといけないからキャリーカートがあれば欲しいんだよね」

「なぜ私が一緒に行かなければいけない」

「まあ嫌なら別にいいんだけどさ。俺が降りる西鳩駅前にホームセンターあるからどうかなって思っただけ」


まあ結城が来ないとしても、俺はこの後ホームセンターに寄らないとな。

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