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虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
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お買い物

「ねえ、別にすぐ隣にいろってわけじゃないけどさ、遠すぎない?」

「……」

「いや、離れ過ぎてて聞こえないんだけど」

「なにも喋っていないだけだ」


俺たちは校門で部長を待っていた。

キャンプ用品店まで3人で買い物にいくためだ。

しかし、いつもなら誰よりも早く来ている部長が遅れるのことは珍しい。学校休んでるとかじゃないよな?いや、あの人なら部活のためなら這ってでも来そう。

ってか今更気づいた、俺たち連絡先交換してないじゃん。


「でさ、声張り上げて話すのちょっと恥ずかしいんだけど」

「貴様と隣にいるほうが恥ずかしい」

「そういう感覚あったんだ」


結城の声はギリギリ聞き取れる程度、特別な意味はなく純粋に近くに来てほしい。

それというのも、さすがにこんなことをしていると周りからの視線が少し痛い。クラスで「あれ誰だったの?彼女?」なんて話しかけられたる可能性だって出てきてしまう光景だ。まあ外遊部員と言えば終わる話なのだが。


「遅れてごめん。ホームルームが長引いた」

「いや、全然待ってないですよ。じゃあ行きましょうか」


部長が来ると、すぐに俺たちは駅へと歩き出す。

今日行くアウトドア用品店は隣町、電車で言うと西鳩駅とは逆方向に2駅と比較的近くにあるらしい。普通の人は住んでる街を含め自分の行動範囲の事しか把握してない人間が多いと思う。それに加え、部長は今までアウトドアの経験がないと言っていた。隣町は買い物できるような場所もあまりないはずで、立ち寄ることも少なそうなことを考えると、事前に調べていたのかもしれない。


あ、そうそう。


「そういえば思ったんですけど、俺たちって連絡手段なくないですか?」

「必要?」

「まあなにかと知っといた方がいいかなって」

「わかった」


俺と部長は話の流れでケータイを取り出すのだが、結城は私には関係ないとでもいうような雰囲気を出している。


「ほら、結城もケータイ出せ」

「なぜ私が」


そのいちいち反抗してこようとする姿勢、一貫性だけは認めるよ。でも必要なことなんだからすんなりと受け入れて欲しいところだ。


「さすがに部員同士でもしもの時の為にも知っとかないと困るでしょ。緊急連絡先ってのは必要だと思うけど」

「チッ」


しぶしぶとケータイを取り出すが、結城がやけにあたふたしていたので、もう待てないとケータイを引ったくり勝手に連絡の交換を終える。

ってかこいつのメールアドレス初期の英数字がぐちゃぐちゃのやつだった。らしいっちゃらしい。


「でも基本的に部活で必要なことは部活の時にみんなで話す。いい?」

「ああむしろそっちのがいいです。俺も普段からケータイに噛り付いてマメに連絡を取り合うのは苦手なんで」

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               3人とも、決してコミュニケーション能力が高いようには思わない。もしかしたらメールの場合に限り饒舌(じょうぜつ)になる人もいるかもしれないが、この3人の場合それもなさそうな気がするし、部長もこう提案いてくれているので心配する必要もないだろう。

そもそもなぜ1人の自由な時間まで他人に拘束されなきゃいけないのか。まあ中学の俺の頃のように相手を友達と認識できているならばその時間も悪くないのかもしれないが。


「貴様は緊急時だろうが私に連絡してくるな」

「はいはい」


本当に俺にケチをつけなきゃ気が済まない奴。



「うわ、思ったよりお店でかいですね。マジでワクワクしてきた」

「楽しみ」


買い物を始める前に、家で確認してきたことを伝えておくほうがスムーズだろう。


「そういえば俺の家にはクーラーボックスとチャッカマン、トンカチくらいはあったんですけど、それ以外はなかったですね」

「その他だと私の家は折り畳みの椅子と机があった」

「結城は?」

「私は一人暮らしだ。だからなにもない」

「え、結城一人暮らしだったの?じゃあ今度遊びにいこうかな」

「つきまといと不法侵入で通報してもいいなら来ていいぞ」

「言っとけ」


警察まで持ち出そうとするなんて、こいつ俺のことどんだけ嫌いなんだよ。でも高校生で一人暮らしか。やっぱりボンボンか?


「えっと、食器なんかはどの家にもあるだろうし、使い捨ての紙の物でもいいとして、あとはなんでしたっけ」

「待って……テント、焚き火台、斧、調理器具、光源、敷物、着火剤、ファイヤースターター」


部長は昨日の話をまとめた紙を取り出して確認していた。


「敷物なんて最悪毛布でも持っていけばいいですかね?調理器具も家の物で大丈夫そうですし」

「じゃあ残りをとりあえず選んで、目につくものがあれば買おう」


そうして俺たちはテントから順番に選んでいき、今は会計を終え袋詰めをしている。


俺のテントは売り物の中でも最も安いものを選んだ。見栄えはどうでもよかったし、機能性なんてものも最低限寝れればいいやと思ったからだ。


あと紙に書かれていたものでは、元々は斧を買うつもりのところを店内のポップの説明を見て、斧ではなく鉈、そして(まき)割り台とナイフも購入することにした。


それ以外でなにか特別なものを買ったかといえば、部長はメスティンと呼ばれる調理器具を買っていた。目を輝かせながら「憧れ」なんて言っていたし本命だったのかもしれない。

俺も個人で椅子を購入した。部長の家にも折りたたみの物があると言っていたが、どんなものか聞いたところあまり座り心地が良さそうには感じなかった。俺は最高の環境、最強の状態で読書がしたいのだ。読むのはラノベだけど。


「こちらそのまま持ち帰られますか?当店では配送サービスも承っております」


なんて言われたがまあ持ち運べる量なので問題ないだろうと断った。しかし、今でも結構な大荷物なのだが、キャンプに持って行かなければいけないものはこれだけじゃない。当日までに大きなリュックかキャリーカートでもないととてもではないが持ち運べないかもしれないな。


「じゃあキャンプ用品の買い物はこれで終わり。キャンプをいつするかはまた先生のいる時に決める。次の部活は先生が新聞部に顔を出さない日を聞いてから改めて連絡する」


そうして俺たちの買い出しは無事終わったのだった。

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