表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
30/88

話し合い

「第4回外遊部部活動を始める」

「うちってそんなノリでしたっけ」

「雰囲気出ると思って」

「逆になんか緩さすら感じます」


歓迎バーベキューの日に言われた通り、水曜日の放課後に部室に集まると、いつもとは違う格式ばったテイストで部活動は始まる。


「えっと、何するんでしたっけ」

「キャンプのための準備」


そういえばそうだった気がする。人の会話を作業しながら聞き流してただけだったから全く頭に入ってなかった。


「そうでした。っていうと計画立てたり、キャンプ用具揃えたりですか」

「そう。まずはキャンプで使うものを揃える。誰か持ってる人は?」

「ないです」「ありません」「持ってないな」

「私も持ってない」


誰も持ってない。既に先行き不安。


「何が必要だと思う?」


必要な物を予め調べてきていないのだろう。こう見えて部長が計画的なことは知っているから、手抜かりなどではなく自分達で持っていくものを考えたかったというところか。


「テントと食べ物さえあれば、夏ですしなんとかなりそうな気もします」

「たしかに」

「そもそもテントとか1つでみんなで寝るんですか?」

「なぜ私が貴様と一緒に寝ないといけない」


びっくりしたぁ。俺からアタックしようとしてたのにまさかこいつから話し掛けてくるとは。まあ内容が内容だ。それほどに俺と一緒に寝ることが嫌なのだろう。


「たしかに。俺以外女子だもんな」

「なんだ高崎。私も女子として扱ってくれるのか」

「いや言葉の綾ですよ。先生の歳で女子って……」

「あ?」


いい大人がマジでキレてる雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。

先生くらいの年頃の女性には、この手の話はかなりデリケートなのかもしれない。苦笑しながら言ったのがさらにまずかった。

女性にはイエスマンが正解という教訓を心に刻み込むとしよう。


「いや、先生もまだお若いと思いますけど、女子ってより大人の女性というかレディというか」

「本当にこういうときだけ口が回るんだな、教室でも結城の前でもしゃべらないのに」


どうにか言い訳を口にしたのだが、やはり先生の中では素直にそれを咀嚼しきれていないようで刺々しい返答をされる。


「後者に関しては悪いの結城ですし」

「貴様最近調子に乗ってないか?」


客観的にみると、さっきからずっと俺が場を荒らしているように思える。この部の癌ってまさか俺?ならば責任をもって自身で状況を一度リセットすべきだろう。


「ほら、部長が困ってるじゃん」

「すいません」


俺を睨みながら謝るな、それは人に謝る態度じゃない。


「別に困ってない」

「それで、どうするんです?男女は分かれるとして女子は1つのテントで寝るんですか?」


部長の言葉を食い取らんが如く、俺は言葉を発する。じゃないと今でもずっと睨みつけてきている猛獣が暴れ始めそうだ。


「あー、私は高崎と同じでいいぞ」

「え、俺と先生2人きりでテントで寝るんですか?」

「何を勘違いしている。高崎と同じ1人用のテントということだ。それともなにか?私と一緒に寝たいのか?」

「いえ別に。ってことは部長と結城次第ですね」

「私は一緒でもいい」

「え、いや、私も一人が……」


人を睨んでばかりいるからバチが当たったんだぞ。いつもなら、いの一番に一人がいいって主張したであろうものを。

ほら、部長が見てるぞ。お前にその目力、押しのけられるのか?


「2人用のテントで大丈夫です」


前から思ってたけどこいつ少し部長に弱くないか?今だって簡単に折れた。部長には悪いが今後逃げ道になってもらう機会も増えるかもしれない。


「テントのことはじゃあ決まりですかね。でも他にいるものを考えるとしても、お金のことだけじゃなく荷物はなるべく少なくしたいですよね。キャンプ場まで電車なりバスなり乗り継いでいくことになるでしょうし」

「なんだ、私の事を忘れているのか?当日は車を出してやるぞ」

「まじですか。先生って結構面倒見いいですよね」

「ん、助かる」


そこまで期待していなかったと言えばあまりに失礼ではあるが、先生が車まで出してくれるとは思わなかった。免許や車を所持してない場合すらあり得ると思っていた。


じゃあ学校まで運べばいいだけと考えると、持てるだけの物を持って行っても問題はなさそうだ。頭に浮かぶものをどんどん挙げていけばいいだろう。


「クーラーボックスなんかはうちにありますし、誰かしら用意できそうなものは置いといて、あとはなにがありますかね。もうネットで調べちゃいます?」

「いや、最初から正解を見るのはつまらない。今回は自分たちで考えて用意しよう」


やはり部長は自分達で考えることを優先しているようだ。まあまだ部活動も始まったばかり。いくら失敗してもだめということもない。

部長のそういう考えに触れると、歓迎バーベキューで火の付け方をすぐにケータイに頼ってしまったのさえなんだかもったいなく感じてくる。


「みんなキャンプで何がしたい?私は火起こしと料理」

「俺は薪を割ったり料理したりですね。あ、あとはのんびり読書がしたいです」

「食べられれば」

「私は自然を味わいながら酒が飲めればなんでもいいな」


皆思い思いに自分の願望を吐露していく。これだけで誰がどういう人間か、何を求めているのかが少し垣間見えてくる。


「まあ薪割ったり火起こししたいって考えると、コンロを持って行ってそれで適当に料理なんてわけにはいかないですね。一応チャッカマン的なものや着火剤あたりは保険で持って行くとして、ファイヤースターターでしたっけ?あれがあると火起こしも楽しめるかもですね」

「よく知ってる」


完全に受け売り知識。俺自身は使ったことすらないのだが、頭にある以上伝えるべきだろう。


「流し見程度に動画見たことがあるだけですけどね」

「火起こしを楽しみたい私におそらくそれは必須。あとは机、椅子、食器、調理器具、トンカチ、斧、テントの中で敷くもの、光源くらい?」

「キャンプ場によっては直火NGとかあるらしいんで、行くところ次第では焚き火台ですね」

「わかった、それだけは調べておく。みんな、他に何かある?」

「俺はないです」「ないです」「私は私で今挙がらなかったもので欲しいものがあれば個人で用意する」

「じゃあ決まり。みんなお金大丈夫?」


そう、大丈夫だろうか。3人は高校生、先生だって前のバーベキューでの出費とは桁が変わってくるのだ。

と思ったが、みんな問題なさそうだ。部長の家は前に見た感じお金のありそうな過程だが、結城も先生も案外セレブな家庭なのか?


「ここらへんにキャンプ用品店があるか知らないんですけど、ネットにしちゃいます?」

「いやお店にいってみよう。ちょうど隣街にある。明日の放課後でどう?」

「あー、私は明日は新聞部に顔を出す。まあ別に私がいなくてもいいだろう。何を買ったかはまた後日報告してくれ」


そう、先生は顧問を兼任している。外遊部はたまにしか活動しないのだが、新聞部は毎月学校新聞を発行しているらしく、高頻度で部活が行われているらしい。そんな中でわざわざ買い出しにまでついてきてもらう必要もないだろう。


「高崎と結城は?」

「「大丈夫です」」

「じゃあ決まり。明日授業が終わったら門に集合。そのままお店に行こう。今日挙がったものは私が紙にまとめておく」


買い出しさえ終わってしまえば、あとは念願のキャンプに行くだけだ。すぐそこまで迫っているキャンプに俺は胸をときめかせるのだった。

話し合いの会でしたが、これくらいだと地の分が少なすぎでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ