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虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
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バーベキュー

「高崎、火着かないぞ」

「え、あれほんとだ」


適当に炭を並べ、もらった新聞紙にライターで火を着けそのまま投げ込むがうまくいかない。

でもそこは文明の利器、ケータイの出番だ。検索エンジンで『新聞 炭』と検索すれば問題はあっさりと解決した。本当にケータイさえあればだいたいの悩みは解決できるね。


「こっちも一通り具材は切り終わった。火も着いたみたいだし始めよう」


準備も終わりこれでバーベキューが始まる。


「じゃあまずは私から挨拶。2人とも部活に入ってくれてありがとう。こうやってみんなでバーベキューできること嬉しく思う。今日はいっぱい食べよう。乾杯」

「部長、まだ先生しか手に飲み物持ってないですよ」

「そうだった」


買ってきた飲み物を注ぎ分け、みんなに配り終えると、先輩はコホンと咳ばらいをし


「じゃあもう1回。2人とも部活に入ってくれてありがとう。こうやってみんなでバーベキューできること嬉しく思う。今日はいっぱい食べよう。乾杯」

「「乾杯!」」


まだ何も焼いてないので乾杯するには少し早かったなと苦笑する。

そんな俺も乾杯の音頭(おんど)とともに、朝を抜いていることもあり急激にお腹がすいてきた。さっさと焼き始めるとしよう。


「じゃあ俺が適当に焼いていくんで、みんなどんどん食べてください」

「私もやるよ」

「部長には家や器具も提供してもらったんです。ここは俺にやらせてください」

「わかった」


そうして次々に具材を網に乗せ、食べ進めるのと並行して焼いていく。


「ほら、結城。エビだぞエビ」

「……」

「あれ、食わないの?じゃあ俺が食うけど」

「……」


焼けたエビをトングで挟んで結城の目の前で見せびらかしてみる。

ものすっごい睨んできている。エビに並々ならぬ思い入れでもあるのかも……そんなわけないか。


「ごめんって。はい」


スキンシップじゃ済まなそうな空気を感じ取り、観念して結城の皿にエビを入れる。


「あのさ、俺ってそんなにわかりやすい?」

「……」

「まあ気が向いたら詳しく教えてよ。結城から俺がどういう風に見えてるのか」

「……」


俺が聞きたがっていることを簡単に教えてくれるなんて思っていない。まずは少しでも話せるようになるべきだろう。


「高崎、これも焼いてくれ」


俺と結城の会話が終わったのを見計らってなのか、背後から先生が声を掛けてくる。


「え、なんですかそれ」

「ステーキだ、分厚いだろう。結構高かったんだぞ」


この分厚さだと、火加減が強いところで焼くと中に全く火が通らない状態で表面だけ焦げちゃいそう。少し火力の弱そうなところで焼くかな。


「あとこれも頼む」

「貝ですか?」

「サザエだ」


先生もいろいろ買ってきたようだ。なんだかんだで俺らの買った分も食べてるし少しは分けてくれるのかな。ステーキ楽しみだ。


「先生、そろそろ焼けたと思いますよ」

「じゃあ切るからまな板の上に運んでくれ」

「はい」


先生がステーキを切り分けていく。断面を見ると俺好みなミディアムレアくらいになっているが、肉の焼き加減の好みって案外人による。これくらいでよかったのだろうか。まあ半生無理!って人がいればまた焼けばいいか。


「お、いい感じだな。ごくろうだった」


あれくれないの?


「先生、俺たちにも少し……」

「なぜだ?」


こいつ。


「冗談だ冗談。ほら好きに取っていけ。サザエも食っていいからな」


先生優しい。 


みんなで、口の中で溶けるようなステーキを堪能し、先生はビールの空き缶を積み上げていく。結城はサザエを口に入れ顔を歪めていた。苦いよな先の黒いとこ。そして部長はそんな光景をどこか楽しそうに見つめている。


あまり長い時間ではなかったが、なんだかんだ楽しめた気がする。

買い物、荷物持ち、火起こし、焼き番と休む暇もなかったがそれも悪くないと思えた。


そうして俺たちは後片付けに移る。


「今日はバーベキューだったが、次からはどうするんだ」

「キャンプをやろうと思ってる。まずはそのための準備」


どうやら次はキャンプのようだ。アウトドアと一括りにいっても、俺が興味があったのはキャンプのみと言ってよかったのだが、その機会はもうすぐそこまで迫っているようだ。

そうやって、これからの予定など雑談しながら皆で手を動かしていると、あっという間に片付けも終わる。


「じゃあ今日はここまで。みんなおつかれ」

「おつかれさまです」

「私も思った以上に楽しめたぞ」

「引率なのに酒飲んで食べてただけですもんね」

「教師とはそういうもんだ。それにいい肉も食えただろう」


どういうもんだ。まあ学生だけじゃ、あのグレードの肉を買おうとはならなかったからありがたい限りではあるけどさ。


「じゃあ俺たちはそろそろお暇しますね」

「またね。次の部活は水曜日の放課後に。気を付けて帰って」

「「わかりました」」

「ご両親には、橘からお礼を言っといてくれ。それじゃあな」


あ、またこの3人で駅まで帰ることになるのかと落胆しそうになるが、朝ほどの気まずさを感じることはなかった。

明日の2話は結城視点です

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