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虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
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計画

それから紅葉は毎日のようにうちに遊びにきた。

当初の居留守作戦は「明日も行くから」の一言で封殺されることとなった。そう指定されているにも関わらず出掛けて不在となれば、よりめんどくさいことになる予感がしたからだ。

ああ、ゴールデンウィークに入る前にうまいこと言い訳さえできていれば、と後悔があとを絶たない。


だからもう俺は半分自暴自棄になり、紅葉が来たときは心を無にして勉強に打ち込んでいたのだが、紅葉がある程度ラノベを読み進めると


「ねー、7巻で主人公がヒロインをさー……」


5巻までしか読み進めていない俺にあいつ、事もあろうにネタバレをかましそうになったのだ。話したくてたまらないという様子の紅葉の顔を見ると思い至る。


だめだ、このままだとせっかく楽しみにしてたのにネタバレされてしまう、と。


そこからは、俺も体裁など投げ捨て一緒になってラノベを読み始めた。最初は「遊びに行かないのにラノベは読むんだ」なんて皮肉を言われるかと思ったが、紅葉はそれをすんなりと受け入れた。

2人同時に読み始めたとはいえ、紅葉の方が読むペースが速いのだからずっとネタバレの危機にさらされている状態なのだが、俺が読み終わった巻の感想を言い合えば、満足したようにまた黙々と続きを読み(ふけ)ってくれるおかげでその心配も杞憂に終わる。


結局ゴールデンウィークを振り返れば、俺は確かに勉強もしたしラノベも読んだが、終始紅葉漬けにされたと言っていいだろう。

まあラノベは楽しかったし、読んでる時はあまり話しかけれられなかったことくらいは救いと前向きに考えるとしよう。



「結局3人ですね」

「まあいい。また来年頑張ろう」


連休明け、言われていた通りに部室に来ると、1人を除き顔ぶれは連休前と変わっていなかった。顧問の多井中先生曰く、新たな入部希望者は結局現れなかったとのこと。まあ人数が多くなることは俺の望むところではないので、むしろ喜ばしい結果といえるのだが。


「それでまずは何をするんだ?」

「歓迎バーベキュー」

「お前たちな、歓迎バーベキューって大学生じゃないんだから。いやでもアウトドアではあるのか?」


先生はう~んう~んと考えている。


「だが、バーベキューをどこでするんだ?場所次第では私が同伴することになるが」

「今のところ誰かの家でしようと思ってる」

「そうなんですか?アウトドアっていうくらいだから河原だったりバーベキュー場でするのかと」

「まずは歓迎会だしお手軽にと思って」


部長は既にバーベキューについて自分なりに計画立ててきているらしい。


「私の家はちょっと」


即座に結城が割って入る。自分が不利益を被りそうだからかいつもと違って反応が早い。まあ事情がなにかあるのかもしれないけど。


「部長の家はどうなんですか?」

「できなくもない、でも今月は両親とも忙しくて休みに家にいない可能性が高い」

「ああ、火を扱うんだ。その時は大人同伴でないとな。もしも保護者がいるならいいが、そうでなければ私が参加することになる」


キャンプなど泊まりになるときには大人がいないといけないってのはわかるが、火を扱う時点でそうなのか。そう考えると活動頻度が高くないとはいえ先生目線からすると外遊部って大変かもしれない。

しかし結城が断った以上、選択肢は俺の家か部長の家のどちらかだろう。おそらく俺の家でも広くはないが庭もちゃんとあるし問題ないとは思うのだが


「えっと、バーベキューセットはどうするんですか?俺は持ってないんですけど」

「うちにある」


部長に家にあるならば、それをいちいち運ぶ手間も考えれば、部長さえよければそっちの方が楽っていえば楽だ。確かに部長の両親はいないかもしれないが、引率なら先生もできる風だし。まあそこは部長次第かな。


「なら部長の家はどうですか?都合が悪いようならたぶん俺の家でも大丈夫ですけど」

「先生もいるしうちで大丈夫」

「橘の家だな。いいだろう。日取りはいつにする?」

「いつがいい?」


部長が確認を取るが、正直いつでもいい。基本俺に予定なんてないのだ。


「いつでも大丈夫ですよ。結城は?」

「……いつでも」


俺からの問いだからか少し不満そうに答える。結城も参加する意思はあるらしい。


「では来週の日曜なんてどうだ?土曜は用事がある」


俺らはいつでも大丈夫なのだから先生に合わせればいいな。でも実質休日出勤だ。少し申し訳なさを感じる。


「私もそれで大丈夫」

「じゃあ来週の日曜ですね。部長の家ってどこにあるんですか?」

「学校から徒歩20分くらい、駅からだと10分くらいの所」

「かなり近いですね。じゃあ駅集合でいいですかね」

「うん。先生、部費は?」

「部費だが月当たり3000円しかないぞ」


中学の時には全く意識したことがなかったが、そういえば部費ってものがあるのか。外遊部は少人数で、先生は放任というか、わりと生徒の主体性に任せる部分があるので俺達でその使い道を決めていいらしい。

でも3000円か、思った以上に少ない。まあ学校の看板になるような部活なら経営戦略として多額のお金を投じることはあるかもしれないが、その他の部活なんてこんなものか。いやむしろあの部活数で、3人しか所属していない部活にまでお金を配られることを考えればむしろありがたいのかもしれない。

まあ使うタイミングは部長に任せよう。


「少ない」


部長も同じ感想なようだ。


「じゃあ当日は、11時に駅の西口に集合。それからスーパーで買い出しをして、私の家へ移動。部費は全額使うつもりだけど、一応財布は各自持参で」

「「はい」」

「ああ。遅刻のないようにな」


そうしてバーベキューの詳細が無事決まったのだった。

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