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虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
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部活見学2日目

部活見学2日目。


今日も2か所を見て回るつもりである。昨日の行事実行委員は行き当たりばったりで辿り着いた感はあったが、今日はどこを見るかは既に決めて来ている。


まずは園芸部。イメージ的には乙女の花園だが……お、結構人が集まってる。


「みなさん、園芸部へようこそいらっしゃいました。私、園芸部3年の土御門花蓮(つちみかどかれん)と申します」


現代に生きる和の心がそこにいた。


「皆さん既に見かけた方も多いと思いますが、我が部は学校から用意された花壇だけでなく、学校の至る所に設置されている鉢やプランターなどの面倒も見ることになります。ただ種や苗を植え水をあげるだけではありません。花壇を耕し、必要なものを混ぜ不必要なものは取り除く、つまりは土壌作りですね。そこから始まり、育てた花から(しおり)やお茶を作るなんてこともしています」


はえー上品や。


「もちろん不必要なものを取り除くというのは、草取りも含まれます。長期のお休みですと、お世話をするために登校してもらうこともありますが、我が部は部員数も多く平時を含め当番制なのでそこまで負担はないと思います。この後質問のある方がいれば我々が個別に対応しますので、気軽に話し掛けて来てくださいね。皆さん一緒にお花を愛でましょう!入部お待ちしております!」


少し宗教チックな締めくくりだが、負担が少ないというのは素晴らしいと思う。


そこから俺は近くにいた先輩に話を聞いたが、ぶっちゃけ1番楽な部活で人気があるんだとか。花壇も鉢もプランターも有限だ。人が増えれば増えるほど楽になるのは自明の理だろう。人が人を呼び大所帯になったのも頷ける。そして文化祭では栞などの成果物を販売するらしい。


この部活ではわざわざ部室に顔を出すなどしなければ、人間関係も希薄らしいので俺の性質には合っていると言えるだろう。


そこまで期待していたわけじゃなかったが、有力候補だ。



「こんにちは」

「いらっしゃい」


教室に入ると、椅子にポツンと座った一人の女子生徒が待ち構えていた。ずいぶんと小さく見える。


「えっと、他の生徒さんは?」

「いない」

「えっと、それは……?」

「出来たばかりだから」


ということは所属人数が1人なのか?


「まだお1人ということですか。それでも部と認められてるんですね」

「申請して承認されたから」


一問一答形式である。


「……」

「……」


無言には無言で返すらしい。とても受動的だ。


「えっと、外遊部って何するんです?」

「アウトドア全般」


ならアウトドア部、せめて野外活動部とかでよくない!?


「外遊部って珍しいですね。外遊って聞くと違うこと想像しちゃってました」

「響きがいいから」

「他の1年生は来たりしていないんですか?」

「帰った」


これはあれだろうか、気まずさに負けて逃げられたか?


「アウトドアって言うと抽象的なイメージしか持っていないんですけどキャンプとかですかね?」

「今はキャンプメインで他にもいろいろしようと考えてる。入ってくれればバーベキューするよ」


勧誘文句はバーベキュー。人が欲しくないわけじゃなさそうだ。もしかして


「人が入ってきてくれないとまずい感じですか?」

「まずい、人数規定はないはずだけど何人かは勧誘することになってる。さすがに1人だとまず間違いなく部室は取り上げられてしまう」

「それはまずいですね。アウトドアっていっても文化部の範疇(はんちゅう)ですよね?この学校、結構文化祭では文化部が頑張ってるみたいですけど何するか決まってますか?」

「活動中の写真と、アウトドア用品を説明を付けて展示するつもり。需要があるかは分からない」


所属人数が1人とこじんまりとしていて、活動内容もアウトドア。悪くない気がする。

それに先輩も少しずつだが口数が増えてきた気がする。


パタン


タイマンの状況を見たからだろうか、開いたと思ったドアが閉じられた。俺がこのまま占有し続けるのも悪いかな。


「そうですか。じゃあ俺はそろそろ失礼しますね。ありがとうございました」

「もういいの?質問があればなんでも答える」


あれ、いいのかな。少しでもいろんな人にと思ったのだが。あ、大事なこと忘れてた。


「それじゃあもう少しいいですかね。えっと、アウトドア用品って結構お金かかります?」

「たぶん。もちろんピンキリだから抑えることもできるだろうけど。全て(まかな)えるだけの部費がもらえるとは思えないし、キャンプ場なんかも無料のとこばかりじゃないらしい」


あー、だよね。うーんそれはちょっと困るかも。

でもらしいってことはそこまで熟練者ってわけでもないのかな。


「先輩ってアウトドア経験豊富なんですか?」

「全然、今回を機に始める」


そこから少しだけ話をした。先輩は元々は園芸部に所属していたが、あまりに暇で転部を決めたのだとか。思い出が欲しいらしい。だけど人間関係が既に構築されている部活動に入る勇気も湧かず、どうせなら今自分が1番興味を持ってる事を始めるチャンスだと思い部を設立したらしい。


「今日はありがとうございました」

「入る?」

「まだ考え中です。お金の事とかどうしても一人じゃ決めれないので」

「気長に待ってる」


正直俺自身アウトドアに興味はある。たまに動画サイトでキャンプ動画を見たりもするくらいだ。

それに最初は気まずさすらあったが、いつのまにか心地悪さは感じなくなっていた。

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