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虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
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副産物

「悠、高校どうだった?」


夕食時、食卓につくと紗由は興味津々に聞いてきた。


「まあ普通かな。でも高校に広場があるんだけどそこはマジですごかった。見たい?」

「見たい見たい!」


俺の前でこんなテンションが高い紗由はなかなか珍しい。いつもはダウナー系妹といっても過言ではないほどに感情の起伏を見せない。俺は、広場を見て衝撃を受けて思わず取ってしまった写真を紗由に見せた。


「え、すごい!こういう広場すごく憧れるんだけど!涼修高校って制服もすごい可愛かったよね、ありね」

「ありねって。うち目指すのか?」

「元々候補ではあったのよ。将来のためにも学力の高い高校に入るのはプラスになるとは思ってたし。でも私が仲良い子達はたぶん涼修は無理。だからどうしようかなって」


そうこの妹、頭がいいのだ。勉強する前の俺みたいにまあまあ頭がいい、程度ではない。間違いなくうちの高校が視野に入るレベルだ。でももしうちの高校にくるなら、先に広場の画像なんて見せてしまったのは少し楽しみを奪う結果になったかもしれない。でも、たしかにこの広場は憧れてしまうほどのものだが落とし穴だってある。


「うちの高校部活強制らしいけど?」

「そんなこと、大した問題じゃない」

「高校でも俺がいるって嫌じゃないか?」

「何?そんなに私に同じ高校に来て欲しくないわけ?」

「来てほしいです」

「フンッ」


どうにか不興は買わなくて済んだか。むしろこういうことに対する抵抗って兄の俺よりも妹の方が強そうに思うが、そういうわけでもないのかな。


「でも部活って悠何するの?」

「うーん、まだ決めてない。家帰ってからどんな部活があるか見ようと思ってたけどそのまま寝ちゃったから。まあ文芸部があれば文芸部にしようかなって思ってる」

「へー」

「そういえば父さん。学食も安かったわ。どのメニューもワンコインで足りたから、もし学食を使うとしても全く問題なさそう」


無言で箸を口に運び続けていた父さんに、昼食のことについても報告しておく。お金をもらうわけだからちゃんとしておかないと。


「そうか、問題ないなら前話してた通り500円でいいな」

「うん、ありがと」

「えーいいなぁ。給食飽きた!」

「まああと1年の辛抱だって」


家族に高校に通う人間が出来て、それに触発されてか紗由は高校に胸ときめかせ続けている。


「どうだ、高校は楽しめそうか?」

「ぼちぼちかな?入る部活次第なところもあるけど、まあ中学の頃よりは居心地いいよ」

「そうか、1度しかない高校生活だ。3年なんてあっという間に過ぎるからな。勉強を(おろそ)かにすることなくしっかり楽しみなさい。友達も出来るといいな」

「だね」



俺は自室に戻り、学校でもらった冊子を開く。これからの高校生活を大きく左右するであろう部活動だ。気にならないわけがない。


慌てる必要はないのだが、それはもう食い入るように確認する。


運動部は一通りメジャーなものはあるな。アーチェリーなんてのもある。

それと比べて文化部は運動部と比べさらに種類が多い。英会話、映像研究、園芸、コンピュータ、ディスカッション……なんでもあるな。外遊部ってなんだこれ、旅行でもすんのか?行事実行委員なんてものもある、これは生徒会とは違うのか?そもそも委員会って部活動の区分なのかもよくわからない。

さらに目を走らせると、これだけあれば無い方がおかしいと思うが、ちゃんと文芸部もあった。

なら当初の予定通り月曜日は文芸部を見学で決定かな。


俺自身今でも人間関係を構築することに肯定的な考えは持てていないが、多種多様な部活というのは正直ワクワクした。おそらく部活動が強制じゃなければ入らないでいいやと即決しこの高揚を味わうことはできなかった。強制と聞いて最初は呆気にとられたが、そういう意味では決して悪いことばかりとは言えないのかもしれない。

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