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虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
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超高校級

「うわ、思ったより安いな」

「ね。でも私はあんま使うことなさそうかな」


ありふれた売店を見て『まあこんなもんか』と膨らみすぎていた期待を下方修正し、次に俺達は食堂を訪れ、日替わり定食が入ったショーケースの横に設置されている券売機を見て驚いていた。

品数は思ったより多い。だが注目すべきは価格だろう。定食や丼・麺類セットだってワンコイン以内で提供されている。丼、カレー、麺それぞれが単品ともなれば240円から食べられる。中学に学食なんてなかったから知らないが、これが普通の価格設定なのか?


給食だった小中と違い、高校からは弁当を自分で用意するなり食堂を使うなりしなければならない。普段夕食は俺と紗由が当番を決めて作っているので最低限料理はできるが、朝早起きして弁当を作ろうなんて気概はない。弁当にするならば前の晩の残り物を弁当箱に詰めるくらいだろうが、そこまでするなら適当にコンビニやら売店で見繕うか学食でいいだろう。

ちなみに父さんからは1日あたり500円を昼の食費として月毎にまとめて渡すと言われている。


「紅葉はどうすんの?弁当?」

「お母さんが、いつも自分の弁当作ってるんだから1人分も2人分も変わらないって言ってくれてお願いしちゃった」

「おばさんの料理おいしいから最高じゃん」

「うん!」


どうせなら月曜は学食に行ってみるかな。



うわ、なんだこれ。


「すご」


普段の紅葉なら「すごーい!」なんて言いそうだが、あまりに凄すぎて軽い放心状態でそう呟いた。


石造りの道を進んだ先に広がっていたのは一面に広がる緑。芝が剥げているなんてこともなくキレイに刈り揃えられ、周りには木とベンチがいくつも並んでいる。

そう、ここが我が校が誇る憩いの広場のようだ。

学食では他の高校と比較してどうなんだろう?となったが、これは間違いない。別格だ。このレベルはマンモス大学レベルじゃないだろうか。手入れが行き届いた公園と言っても差し(つか)えないだろう。


「あれ何だろ?」


紅葉の指した先には建物が建っていた。確かにあれ何だろう。


「ちょっと待って……部室棟だってさ」


冊子で確認すると学校の概略図にそう書いてあった。冊子に軽く目を通した感じ、言われていた通りこの学校には多くの部活動があった。あの部活動の数だと校舎だけでは足りないだろうが、別に部室棟まで用意されているなら納得だ。


校舎、部室棟、食堂、グラウンド、そして憩いの広場。これを見るだけで学費が安いことが不思議に思えてしまうくらいだった。


「へー、部活動のための建物とかあるんだ。この学校に入れて本当によかったね。たまにはここで一緒にごはんも食べようよ」

「だね」


今度1人でここで食べに来てみようかな。



予定された3か所を見て回った俺たちは、やはり流れのままに一緒に帰ることになり、今は既に自宅付近まで帰ってきていた。


「ねえ、高校ではまた一緒に登校しない?」


本当にきた。一緒にいるのが日常化するのはこちらとしても許容したくない。


「んー、それはやめよ。たまにならいいけど俺もいろいろとさ」

「いろいろ?」

「登下校で一人でのんびりいろいろ見て回りたい気持ちもあるし、いろんなお店を回ってその日の昼食を探したりしたい。それにまだ前みたいに戻るのは抵抗もある」


それに、紅葉は運動部で俺は文化部を予定しているのだ。その時点で毎日一緒に登校など現実的ではない。


「そっか……うん、わかった」

「悪いな」

「いや全然いいよ。元はと言えば私が悪いんだしね。でもたまにならいいんだよね?」


たまにとか言うんじゃなかった。時間が合わないとしても今の紅葉なら無理矢理合わせてきそう。


「うんたまになら」

「オッケー!じゃあまた誘うね!」

「うん。じゃあ家着いたしまた」

「またね!」


俺の登校初日は、紅葉の存在だけで疲れた印象が最も強く残るのだった。

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